その5
しかし『改新』は急速に拡大し『JDW』となり権力闘争の分裂が起こった。
その際、過激派が政財界で彼らの動きに危険を感じていた人物を襲撃したことで絶望し、全てを白日の下に晒したのである。
それを元に『JDW』を大掛かりに取り締まったのである。
現在は刑務所の中で模範生として生活を送っている。
ただ、刑務所の中でも特別室で他の囚人とは切り離された生活であった。
一颯は黒崎零里の身上書を見ると
「あの襲撃事件か」
あのとき有名な女優も巻き込まれて一時凄いニュースになったな
と呟いた。
テレビ界の天女と言われた美人女優で先を期待されていた朧悠羅という女性が巻き込まれて死亡したことで大きな騒ぎとなったのだ。
一颯は他のルートから襲撃については知ったのだが、一般の人々はその女優の死によって知る人が多かったのである。
襲撃に関しては黒崎零里の全く知らないところでのことで、彼はその襲撃によって『改新』の理念は失われたと自首をしてきたのである。
その黒崎零里の釈放。
一颯は暫し考えた後に署長に礼を言うと愛知県警本部を後にした。
向かうのは、立花家である。
その道中、一颯の頭の中に浮かぶのは黒崎零里と接触することで得られるモノであった。
「黒崎零里の開発能力とかカリスマ性は無理だろ」
本人にその気が無いからな
そう考えると一つしかないのだ。
「黒崎零里が管理していた『JDW』の資金か」
だが黒崎零里はその資金についても全て自白しているはずだが
「…そうじゃないのか?」
『JDW』は大きな組織でその資金も巨額であった。
幾つかの銀行の貸金庫に分割されて保管されておりその内容についても彼は自白している。
だが。
その自白が全てかどうかは分からないのだ。
一颯はその後に今回の名古屋駅女子トイレの爆破事件の詳細を見て
「…これは…どう考えたらいいのか、だな」
と呟いた。
一颯は友晴の運転する車が立花家に到着すると降り立ちインターフォンを押した。
立花家は当主が立花聡志で妻が節子であった。
インターフォンに聡志の声が返った。
「はい、立花ですが」
一颯はそれに
「一色一颯と申します」
名古屋駅の爆破事件のことで娘の茜さんにお話を
と告げた。
暫くの沈黙が流れ
「茜はその事で疲れているので申し訳ありませんが」
お帰りください
と返事があった。
しかし。
三日しかないのだ。
悠長に待っていることは出来ない。
一颯は息を吸い込み吐き出すと
「長い時間は取らせませんのでそこを何とか」
怪しいものではありません
「名古屋Nowtimeのフリーライターで今回の爆破事件を追っているんです」
と告げた。




