その4
それに仲居は不思議そうに
「はい?」
何かございました?
と聞いた。
春彦はちらりと一颯と仲居を見た。
一颯は首を振ると
「あ、いや」
何でもないです
と答え、指先を口元にあてて少し思案する様子を見せた。
そして、仲居が立ち去ると春彦を見て
「お前はどう思った?」
と聞いた。
それに伽羅は
「は?」
と声を零した。
一颯は目を細めて
「松野宮じゃない」
と答えた。
大翔は黙ったまま春彦の顔を見た。
春彦は腕を組むと
「調べてみないと分からないけど…気になるな」
と答え
「一色も気付いたんだ」
だから聞いてきたんだな
と告げた。
一颯は頷いた。
春彦は少し考えて携帯を手にすると
「武藤、手間を掛けさせるが調べて欲しいことがある」
と指示を出した。
大翔はそれを横目で見ながら
「一色も島津も根っからの探偵気質だな」
と苦笑した。
一颯はふっと笑うと
「俺は職業が探偵なだけで、気質はこいつだ」
と春彦を指差した。
春彦は少し不服そうにう~んと考えると
「俺も職業は探偵だけど…中学くらいからこうしてやってるからなぁ」
否定はしないけどな
と答えた。
伽羅は頷き
「そうそう」
春彦は大学卒業してから本職探偵として
「海埜さんにあっちの事件こっちの事件って振り回されているんだよな」
芒野君も大変そうだけど楽しそうに春彦の片腕してるんだ
と告げた。
一颯は「ああ、事務アルバイトしてたってやつか」と言い
「確か科学捜査専門の可愛い女性と結婚したって言ってたな」
と告げた。
春彦は笑顔で
「そうそう、真理子さんとな」
俺は九州が拠点だけど海埜さん達は東京とか全国だから
「芒野君が色々手配やらしてくれているから凄く助かってる」
と答えた。
大翔も頷いて
「そうだな」
彼はこまめでよく気付くからこっちもやりやすい
と答えた。
話しは弾み、旬彩の後に吸い物、お造り煮物と順次運ばれ、箸を進めながら会話を楽しんだ。
最後までお読みいただきありがとうございます。
続編があると思います。
ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。




