その3
一颯は笑みを浮かべると
「俺の高校時代の親友だ」
と言い
「今もな」
と告げた。
社長の尾米正は立ち上がると
「どちらにしてもお疲れさんだね」
と言い
「二人とも閉めるから帰った帰った」
と呼びかけた。
一颯も坂路理沙も荷物を持つと事務所を後にした。
しかし翌日。
一颯は久世家を訪問したのである。
加子が姿を見せると
「おこめ探偵事務所の…支払いならキチンとしますけど」
と告げた。
一颯は頷き
「ああ、それはお願いします」
ただ最後の仕事が残っているのでそれが終わってから
「俺は探偵で警察ではないので依頼を最後までこなすだけです」
と告げた。
加子は頷くと
「どうぞ」
と一颯を中に入れた。
一颯は中で父親と遊びに来ていた長浜隆一と葵が遊んでいるのを見て小さく会釈をした。
そして、笑顔で
「葵ちゃん無事でよかったな」
と言い
「お父さんとお母さんに話があるので長浜さんと他の部屋で遊んでおいてもらえるかな?」
と告げた。
長浜は優しく葵を見ると
「行こうか、葵ちゃん」
と手を携えて二階の彼女の部屋へと向かったのである。
一颯は加子を見ると
「葵ちゃんに睡眠薬を飲ませたのは耕作さんですね」
その後の電話は長浜さんが自宅から掛けられた
「葵ちゃんは体育館の倉庫で眠ったままで起きる時間までに解決しなかったら長浜さんが迎えに行く予定だった」
違いますか?
と告げた。
「貴方は耕作さんから連絡を受けてから警察へと電話を入れた」
遺産をきちんと配分しない兄から3000万という金を取るための
…三人の狂言誘拐ですね…
加子と耕作は顔を見合わせた。
加子は一颯を見て
「証拠は、ありませんよね」
と告げた。
一颯は息を吐き出し
「警察が気付くとは思いませんが」
幾つかの矛盾は上げられます
「葵ちゃんの声をどうやって用意したか」
交渉中ずっと葵ちゃんは眠っていたのに声が流れた
「そして貴方はその違和感に疑問も提示しなかった」
と告げた。
「でも葵ちゃんは分かってます」
だから自分にジュースを渡した人を黒い帽子をかぶった知らない人と告げた
「貴方がたを彼女なりに守りたかったんだと思います」
加子も耕作も顔を伏せた。
最後までお読みいただきありがとうございます。
続編があると思います。
ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。




