その3
加子は泣きながら何度も頷いた。
耕作も頷いて
「わかりました」
と答えた。
10分後に犯人からの電話が入った。
『金は用意できたか?』
警察の勧めで妻の加子が電話をとり
「い、一億は会社も町工場で零細なので…でも…3000万なら…何とか」
と告げた。
「本当に家には全くお金がないんです!」
犯人は直ぐに
『分った』
と答えると通話を切った。
一颯は警察を見ると警察は首を振った。
場所の特定には至っていないということである。
一颯は息を吐き出し
「でもすぐにかかってくると思います」
と言い二人を見た。
即座に電話がかかり
『3000万を用意しろ』
と減額に応じたのである。
一颯は加子を見ると
「葵ちゃんの声」
と口の動きで告げた。
加子は慌てて
「あの、葵は無事ですか!?」
声を!
と叫んだ。
犯人は『後で聞かせる』と通話を切ったのである。
耕作は疲れたように立ち上がると
「少し手洗いに」
と部屋を出てトイレへと入った。
一颯はそれを見送り部屋に飾っていた写真を手にすると
「ご家族の写真が多いですね」
この人は耕作さんのお兄さんですか?
と聞いた。
久世家と一緒にバーベキューをしている男性の姿があった。
家族写真が多く飾られておりその中の何枚かに映っていたのである。
加子はそれを見ると
「ああ、この人は夫の高校時代からの親友で長浜さんです」
とても優しくて葵も可愛がってくれて
と告げた。
一颯は「なるほど」と呟いて写真を戻した。
その時、耕作が戻り加子の隣に座った。
ピーはパタパタと羽ばたき耕作の上に止まると
「ダイジョーブ、ダイジョーブ、アーオイ」
と鳴いた。
耕作はピーに驚き腰を浮かしつつ
「と、とり」
と呟いた。
一颯は腕を組むと
「ピー、勝手に離れたら連れてこないぞ」
と顎を動かした。
最後までお読みいただきありがとうございます。
続編があると思います。
ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。




