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Reshot  作者: 如月いさみ


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13/61

その3

おこめ探偵事務所の探偵は一色一颯ただ一人。

彼の為だけに作られた探偵事務所だからである。


そのバックボーンの中心にいるのが那須幸一と益田達雄の二人であった。

那須家と益田家は政財界に通じる資産家で社長の尾米正は那須幸一から派遣され、事務員の坂路理沙は益田達雄から派遣された一色一颯の護衛兼お目付け役でもあった。


仕事の多くは那須家からの依頼が多かったが、それでも極々普通の探偵業の仕事が入ることもある。


今、一颯は正に普通の依頼を受けている最中であった。

外は梅雨の時期に似合いのどんよりと曇った空が広がりシトシトと雨が降り始めていた。


リショット


名古屋市中央区にある住宅街に建っている二階建ての家に一颯はオカメインコのピーと共に訪れていた。


家の主は久世耕作。

小さな町工場を親の代から引き継いで経営をしていた。

彼の妻である久世加子は現在夫の耕作と共に家の広いリビングの中央のソファに座りジッとテーブルの上の電話機を見つめていた。


一颯は二人の正面に座りながら

「電話が鳴ったら」

必ず葵ちゃんの安否を確認するうえでも

「声を聞かせるようにお願いしてください」

と告げた。


妻の加子は震えながら頷き

「…はい」

と答えた。


周囲には一颯だけでなく警察の人間も居て、電話には録音機と発信元探索機が取り付けられている。


通話時間が30秒を越えると場所が特定できるのだ。

しかし。

昨今はその事が周知の事実となっており短時間通話が常套手段となっている。


人々がそう言う知識が豊富になる裏側には

「マスコミの功罪だな」

と一颯は小さくぼやいた。


昨今のニュースはまるでドラマ仕立てのようにかなり詳細に事件を解説するのでその直後暫くの間は似たような手口の犯罪が増えるのである。


その辺りに関して表現の自由が保障されているとは言え一颯的には『そこまで詳しくする意味があるか!?』というのが本音であった。


今回の誘拐犯の電話も短いもので場所の特定までの時間に及ばなかった。

緊張の糸が張り詰める室内で一颯は飾られているものをスーと見回していた。


久世家は耕作と加子そして娘の葵の三人家族であった。

その一人娘である葵が昨日の昼に公園へ遊びに行き夕方に一本の電話が入ったのだ。


『お宅の娘は預かった一億用意しろ』


電話に出たのは妻の加子であった。

彼女は驚いて直ぐに娘の携帯に電話をしたが電源が切られており携帯会社で位置を特定することもできなかったのだ。


直ぐに夫である耕作に電話をして警察へ電話した方が良いかと相談したのだが、耕作は良く警察に知らせると…となると娘の命が分からないといい自宅へ戻って電話を待ったのである。


すると、耕作が心配したとおりに電話がかかり

『警察へは知らせるな』

という通告が入ったのである。


単発単発の電話の上に受けるしかない状態であったが、妻の加子は警察が駄目なら探偵をと近隣のおこめ探偵事務所へ連絡を入れてきたのである。


最後までお読みいただきありがとうございます。


続編があると思います。

ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。

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