青春病
この作品は、藤井風さんのKAZEFILMSという企画のために制作したストーリーで、青春病という曲を参考うにしています。その企画自体には落ちたのですが、この作品をそのまま風化したくなかったので投稿させていただきます。完全に自己満ですみません。小説自体今回初めて書いたので読みにくいところもあります!すみません、先に謝らせていただきます!ですが、一度読み終えた後にもう一度読んでみてほしいです。そして、まだ何物でもない彼らの行動をどうぞ上から目線で観察してやってください。きっと彼らはこれから大人になりますから。
青春病
卒業式が終わり家に帰っている途中、教室に忘れ物をしてることに気づいた。卒業したばかりの学校にもう一度行くのは少し気が引けるが今度取りに来るのも面倒だったので戻ることにした。教室に入ると彼がいた。彼はベランダ沿いの席からぼーっと外を眺めていた。しばらくして彼は僕に気づき少し驚いた表情をした後声をかけてくれた。
僕と彼の出会いは、高1の時だ。同じクラスになり、同じアーティストが好きということもありすぐに仲良くなった。また、二人とも同じスポーツをしていたということもありそのまま同じ部活に入った。しかし練習についていけなくなると僕は練習をサボるようになりそのまま部活を辞めてしまった。彼にはなにも言わずに。
僕と違って練習に一生懸命取り組んでいる彼に、僕のやめるという独り言で邪魔をしたくなかった。そこから彼とは、話さなくなった。高2になってクラスが別々になったこと、それぞれに違う友達ができたこと、たくさんの理由はあるがやはり一番の理由は彼にどこか後ろめたさがあったからだろう。しかし、僕は彼をよく目にしていた。友達とだべりながら学校を後にするときも、夜遅くまで学校にいて帰っていたときも、彼は一生懸命練習をしていた。その様子を僕はただただ遠目で見ていた。その関係が続き気づけば高校三年生の夏になっていた。しかし、事件が起きた。コロナウイルスの影響によって彼の最後の大会がなくなってしまった。
私は、負けず嫌いだ。キャリアに差がある勝負で負けることには諦めがつくが(相当悔しがるが)、同じ条件での勝負にはなにがなんでも負けたくない。そんな性格のまま私は高校生になり、すぐにあいつに出会った。あいつと仲良くなった理由はあまり覚えていないが、同じスポーツを昔からやっていたこともあり同じ部活に入った。しかし、彼はすぐに部活に来なくなった。怪我でもしたのだろうか。私は、こんな性格でもあるせいかあまり友達がいないし周りからも少し距離を置かれていたことにも自覚はあった。だが、あいつはそんな私になんの隔たりもなく話しかけてくれるいいやつだった。気が付くとあいつは部活をやめていた。さみしさもあったが私は大会に向けての練習に必死だったため、あいつと話すことはそれ以降なかっ
た。そんなこんなで、気が付けば高校三年の夏になっていた。しかし私は薄々気が付いていた。コロナウイルスだ。学校も行くことができない状況だったため、案の定大会も中止となった。あまりにもあっけなかったためか涙は出なかった。しかしずっとなにか心に引っかかった日々が続いた。そしてあっという間に卒業式の日がやってきた。そこでも私は泣くことはなかった。コロナのせいもあり卒業式もすぐに終わった。私は学校を後にする前になぜかこのまま帰りたくないと思い、教室に寄ることにした。教室には誰もいなかった。私は自分の席の椅子に座りぼーっと教室からの景色を目に焼き付けていた。しばらくすると足音が聞こえてきた。その足音が近くで止まった時 私は思わず振り返った。
いきなり声をかけられた僕は戸惑いながらも「よっ」とあいまいな返事をした。彼の顔を見るとすこし目が潤んでいた。そんな姿を初めて見たため僕は驚いた。あんなにきつい練習をしているときも、大会が中止になった時も彼は人に涙を見せなかった。しかし、もしかしたら彼はみなが知らないところでたくさん泣いたり悔しさをあらわにしたのかもしれない。そんな時に僕は彼のそばにいてやれなかった。僕が壁を一方的に作ったからだろうか、いやそれ以前に彼に黙って部活をやめたからだろうか。このままでいいのだろうか、ここでこの言葉を言うのは単なるエゴなのではないか、そんなことも考えたが、、
僕は口にした。「あの時、なにも言わずに辞めてごめん」
すると、彼はすぐに「なんのことかわかんないな」といい笑った。つられて僕も笑ってしまった。なぜこんな短い言葉をすぐに言わなかったのだろう。そのまま僕たちは昔話をしばらくした。そしてそのまま二人で教室を後にした。
青春は土留色と僕たちの好きな歌手が歌っていた。
しかしこの時ばかりは同じ色であった気がする。
振り返ると、そこには担任の姿があった。「卒業おめでとう、鍵ここに置いておくから帰るとき戸締りよろしくな」そう言って教室を後にした。しばらくすると、窓からあいつが学校を出るところを目にした。結局あいつとは、部活に来なくなってから話すことはなかった。きっとあいつは私のことなど気にしてもないに違いない。それほど遠い関係になってしまっていた。なぜこんなことになってしまったのだろうか、怪我の具合を聞けばよかったのだろうか、いやそれ以前になぜ練習にこなくなったのかもっとあいつと話すべきだった。もっとこんな自分を知ってもらうべきだった。そんなことを考えているとなぜか涙があふれてきた。あいつのせいだろうか、いやきっとそれだけではないだろう。これまでのことがどうしようもなさでいっぱいになったからだろう。
教室の外から少し足音が聞こえたときに涙は乾きはじめた。
あぁ、私の青春は儚かった。
読んでいただきありがとうございました。
読んでくれたあなたが大好きです。