第六話
身体が熱く…火照ってくる。
早く抜きたいけど、トイレまでが遠く感じる。
走りたくても身体の自由が効かず壁を伝いながら向かった。
一番奥の個室に駆け込むとズボンをおろした。
自分のを必死で扱くがなかなかイケない。
こんな事は始めてだった。
こんなに強い欲求など体験した事がない。
彼女などできた事もないから余計かもしれないがただの生理現象として
家でもヌくぐらいで、そこまで重要視した事などないし、エロい気分に
なる事も無かった。
なのに、さっき田辺に噛まれてから触れられた場所が痛いほど気持ちよ
かった…。
もっと触れてほしくて、どうにかなってしまいそうで怖かった。
前はすでに勃起していて、痛いほどに張っている。
それだけならまだよかった。
尻に触れられてから尻の奥が疼いてたまらない。
まるで尻の中になにか入れたくて疼いている様な感じが取れない。
「嘘だろ…こんな事…したくない…のにっ…」
分かってるのに、止まらない。
嫌なのに…手が勝手に動く…。
まるで操られているかのように股を開くと自分の指が吸い寄せられるよ
うに尻の蕾をつつく。
一旦口の中で濡らすと蕾を開いて奥へと入っていく。
狭い入り口をゆっくりと押し広げくちゅくちゅと音を立てる。
やだっ…こんな事したくない…。
したくないのに…止まらない…うっ…あぁっ!…奥っ…気持ちいい…。
うそだっ…いやっ…そんなところで、感じたくない…。
前を必死で扱きながらもう片方の手が尻の中を煽る。
同時に刺激されていると頭がふわふわして止まらない。
予鈴のチャイムが鳴るが今はそれどころじゃない。
丸々1時間かかってやっとヌけきると身体が少し重いが、普段の自分に
戻ったきがする。
もう、出すものも無いというほど今日だけでいっぱい出した気がする。
ちんこも擦り過ぎて今はヒリヒリするし後孔もいじり過ぎて今は痛い
くらいだった。
「くっそぉっ〜田辺の奴、覚えてろよ〜」
どうしてこんな事になったのか?
鏡を見ると首筋に牙が刺さった跡が残っていた。
「これは…まさか…」
まるで童話の吸血鬼にでも噛まれたような痕が残されていた。
冗談だよな…?うん、冗談であって欲しい。
昼の授業をサボってただけに教室へと戻るとみんなの視線が痛い。
「おい、授業終わりだぞ?一体何してたんだ?」
先生から指摘されるが、事実など話せるわけもなく迷った。
「おい、顔色悪いぞ?気分でも悪いのか?」
「はい…朝から体調が悪くて…」
「そうか、それなら仕方ないな、保健室行くか?」
「大丈夫です。少しよくなったので…」
誤魔化すと席に戻った。
田辺は平然と席についていて、こちらを見てニヤニヤとしていた。
あの野郎、絶対に許さないからなっ!
心の中で悪態をつくと睨み返したのだった。
授業も終わりホームルームになり、部活動以外の生徒は早々に帰って
いくなか、今日の日直日誌を付けると職員室へと持って行った。
その帰り、教室へと入る手前でいきなり引っ張られると押し倒された。
いきなりの行動に驚きを隠せないのと、体力的にも辛かったのもあったか
支配にすら気づかず逃げるという判断すらできなかった。
押し倒してきたのは隣のクラスの生徒で、合同体育の時に見る顔ばかりだ
った。
しかし、いつもと違うのは彼らの身体に纏わりつくモヤの様なものだ。
操られている!!
思った時にはもう、遅い。
覆い被さるように押さえつけられ恵の身体にモヤが移ると身体の中に入って
くる。
いつもなら、抵抗できる事なのに、今日はそれも敵わない。
生徒達からモヤが離れると次々と倒れていく。
「かはっ…やばっ……ッ…」
精神へと入ってくる感覚に息が止まる。
気づくと全身に痛みが走り身体がちぎれるような痛みが降りかかってくる。
これは幻だと分かってはいる、だが実際に痛みと衝撃が身体を襲ってくる。
しかも、入り込んだ分の死を体験する。
そのまま抵抗しなければ身体ごと持っていかれる。
意識を強く持つように心がけているが、今日に限ってそれも叶わない。
遠のく意識の中、誰かが呼ぶ声がしたが深い微睡の中に落ちていった。
悪意のある死霊の気配にドアを開けて入ってきたのは田辺唯だった。
その場に意識なく気絶して倒れている生徒とその反対に悪意のモヤに取り憑
かれた恵を見つけたのだった。
「おい!浅田!?」
意識は奥深くに押し込まれ、自分では出てこれないところまで落ちていた。
「なんで浅田が…?」
取り憑かれやすい人というのは悪意を持っていたり、恨みを抱いている場合
が多いのだ。しかし、そんな気配は浅田にはなく、至って普通だった。
いつも一人でいることが多いだけで、そこまで警戒する人物ではなかった。
しかし、血は極上に美味かった。
「仕方ないな…」
意識のない恵の唇にキスをする様に息を吹き込む。
正確には力をゆっくり送り込んだ。
そうすると中に入り込んでいたモヤが一気に噴き出してくる。
逃がさないとばかりにひっ捕まえると食べてしまった。
「あれ…美味い!」
いつもは味気ないはずのモヤが今日ばっかりは美味しく感じたのだった。