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その影にご注意  作者: 秋元智也
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第五話

不機嫌そうな声の主は恵を睨みつけるように立っていた。


「聞こえてんだろ?話があるって言ってんだよ!さっさと来いよ」

「こっちは何もないけど?」

「俺が、話があるって言ってんだよ!」

「僕にはないよ。」


完全にスルーすると鞄から荷物を出して机に押し込む。

イラつくように前の席に座ると恵の机に足を乗せてくる。


恵が睨むと、ニヤニヤと笑いながら何かいいたげにしていた。


「邪魔なんだが?」

「悪いな〜俺の足が長くて〜」

「悪いと思っているならやめてくれ、君とは二度と関わりたくないんだ」

「へ〜そうなんだ〜…俺はこれからも関わっていきたいけど?」

「…?」


恵は眉を上げると睨みつけた。

関わってくるなという思いを込めて…。

しかし、相手はそうは思っていないらしい。田辺は平然としていて、悪びれ

もせず足を退けるつもりもないらしい。


後ろを女生徒達が通り過ぎていくなかで、女生徒の肩についていたモヤが恵

に吸い寄せられるように移ろうとする。

咄嗟に避けようとすると、目の前に腕の伸びて来てソレを掴んだのだ。


それは掴めるモノではないはずなのだが、田辺は確かに掴んだ。

そして…パシュッと音を立てて霧散した。

こんな事初めて見た。

目を向けると田辺も恵を見て、見えているのかといいたげだった。


「それ…どうして?」

「お前、やっぱり見えてるのか。」


知りたい…どうやったら退治できるのかを…。

興味が湧いたのを察すると不敵な笑みを浮かべた。


「知りたいだろ?なら、ちょっと付き合えよ」

「それは無理だ。今から授業だ。」


はっきりとキッパリと断った。


「だが、昼の放課なら構わない」

「そう来なくっちゃな!それでいいや。」


田辺は足を退けると自分の席に戻っていく。

他の生徒はその光景を見ても、誰も咎めようとはしないし、女子生徒

はいつも田辺をうっとりした表情で眺めている。


そんなに惚れるほどいい男か?

たしかに顔はハーフっぽくて綺麗だけど?


男の恵から見たら、全く理解出来なかった。


昼休憩になると各自弁当を開いて食事を始める。

恵はパンを齧りながら目の前にいる男を眺めていた。


誰も来ない空き教室で二人きりと言うのはすごく気まずい。


「弁当は持ってこなかったのか?」

「あぁ、それなら目の前にあるからな〜」


ぽかんとするとパンを隠した。


「やらないからな!」

「そんなもんいるかよっ!俺はこっちのが…」


恵みに近づくと目が赤く光った。

まるで金縛りにでもあったように身体の自由が効かなくなる。

あの時と同じだった。


「なっ…っ…」

「いただきま〜すっ…」


田辺唯の手が恵の上着を脱がすとシャツをはだけさせた。

首筋を舐めると歯が当たる。

皮膚を破る感触が伝わると首筋に強烈な痛みが走る。


なにっ…噛まれて…違うっ…これは…。


痛みが引くと全身が熱くなって来て下半身に熱がこもる。


どうして…こんな…。


考えるより先に田辺の手が股間の辺りを弄ると揉みしだく。

背中を伝いズボン中に手が入ると尻を伝って割れ目へと指が伝う。


うそ…だろ…?

このままじゃ…おかしくなるっ…。


「気持ちいいだろ?食事するとさ〜こっちもシたくなるんだよ?」

「やっ…だ、この…変態野郎がッ…」

「そんな事言ってられるのも今だけだぞ?ほらっ…勃ってきた…」


言われた通り田辺に触れられたところが熱く火照ってくる。


「こんなの…卑怯だっ…」

「卑怯も何もただの食事だろ?昨日は適当な女連れ込んだけど、お前

 なら男だし害もねーだろ?気持ちよくしてやるよ!」

「ふっ…ふざけんなっ!触るなっ、変態野郎がッ…」


腕を振り解くと殴りかかる。

上手く動かせない身体でよろよろと動くとまたあの瞳が行動を阻害する。


「へ〜まだ動けんだ〜、すげーじゃん。」

「誰がお前の思い通りになってやるかよっ…」

「まぁ、いいけど。食事も終わったし俺はいいけど、そのままだと辛く

 ねーか?」

「近づくな!変態っ!」

「ふ〜ん、まぁいいや。じゃ〜またな〜」

「はぁ?話は!」

「あぁ、飯が食いたかっただけだから…それに、そっちの処理が先だろ?」


笑うと、田辺は出て行ってしまった。

残された恵は身体の火照りを鎮める為にトレイへと向かった。

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