第四話「異世界ものの大半がハーレムな件」
異世界ものって大概がハーレムだよね?俺の場合、なんのチートもないんだけど。
【私達がいるではありませんかぁ♪】
【汝は何が不満だと言うのだ?絶世の美女二人と同じ宿で暮らしておるのだぞぉ?ハーレムではないか、ハーレム!】
何がハーレムだ!迷惑ばかり掛けやがって。
「あの、小鐘島さん、俺、帰るね?」
主人公『古賀』がタイミングを見計らってかこの場からいなくなる。
(あいつ逃げたな。)
何故、省エネライフを送っていた俺がこんな面倒くさい会話を負けヒロインと繰り広げないとならないのか理解に苦しむ。まぁ大元を辿ればあの女神二人の所為なんだが。
「古賀くん.............うぅ...........味方味方と言っているけれど励ましの言葉の一つも出ないのかしら!このキノコ頭!」
「ッ」
(誰がキノコ頭じゃい!好きでこの髪型にしてる訳じゃないやい!)
女を殴りたいと感じたのは此れが初めてだ。
「この負け.........美少女!」
危うくカッとして負け犬ヒロインと言いそうになってしまった。
「あ、あら......ありがとう」
ポイント一。絶対に負けヒロインへと暴言は吐かない。特にネガティブな事は。
【怒っている振りをして褒め続けるドン!】
【10コンボ!】
こいつ等、実況に飽きて太鼓の○人で遊び始めたぞ。
「この頑張り屋!絶対に選ばれるべきヒロイン!......... アンタが一番なんだよ!」
前髪は涙目になりながら膝をつく。
(.....ほ、褒め疲れた。)
どっと疲れが押し寄せた所為だろうか。人をこれ程褒めちぎった事が無いため、汗が尋常ではない程流れる。
「うぅ//」
それに釣られ小鐘島小雪も泣き崩れた。
「グスン.......何なのよ、貴方は!」
胸元を捕まれグイッと持ち上げられる。
「だから何度も言ってるだろ!アンタの味方だって!」
無理やり彼女を抱きしめ、背中をヨシヨシする。
「ちょっ、貴方何して!?」
もう強引な手段に出るしかないのじゃい!
【妾もあれやられたいのだが?】
【うーん、小鐘島小雪........消しますぅ?なんかネーミング的に一々打つの面倒くさそうですし。】
ねぇ、お前達はお馬鹿なの?て言うか誰視点!?今いい感じに進んでるでしょ!いつ攻めるの?今でしょ!
「貴方、グスン、セクハラで訴えるわよ.......」
そんな事を言いつつも小鐘島小雪も強く抱き返して来る。
「お好きにどうぞ。」
よし、吊橋効果成功。これで多少ではあるが信頼は生まれた筈だ。