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第三話「黒髪ヒロインは清楚系と相場がきまっている!?」

「...................私、何してるんだろう。」


夕焼けの公園、一人ポツンと座り込む第一負け犬ヒロイン事『小鐘島小雪』。雪の様に透けた肌、黒髪を靡かせる美人な女性。


「心春さんが古賀君の事を好きなのは知っていたわ。だけど、私の方がずっと彼の事を好きだった!!」


涙が頬を伝う。昨日、小鐘島小雪は古賀小夏に告白をした。けれども帰って来た返事は辛いものだった。


「小鐘島の気持ちは嬉しいけど、俺____好きな人が出来たんだ。」


少しづつと距離を縮めた。彼に気に入られる様にお弁当だって毎朝早くに起きて作ったのに。


(全部、心春さんの所為。あの女が現れなければ、私が古賀君の隣に立っていたのに。)


彼女が転校してきて一年、古賀小夏の心は彼女へと傾いて言った。


「...........辛いよぉ。」


負け犬ヒロインは一人ポツンと涙を流す事しか出来なかった。








「さて、どう行動に出るか。」


1.隣に座り慰める。

2.何か唐突に彼女の前で面白い事をする。

3.復讐、手伝って上げようか?と悪魔的に彼女の耳元で呟く。

4.彼女の心を古賀小夏から奪い取る(NTR)


【さぁ〜て始まりましたよぉエルミアさぁん!第一回負け犬ヒロイン救済大作戦!楽しみですねぇ〜。】


頭の中でサッカー実況の様な声が聞こえて来る。


【えぇ、始まりましたね。最初のキックオフは大事ですからね。彼の選択が試合の鍵となっていくでしょうから、どう試合が転がって行くか見物ですねぇ。】


おい、マジでやめろ。

 

【前髪選手、緊張の余りその場から動く事が出来てないようですねぇ。】


お前らの実況が煩くて集中出来ないんだよ!!


【えぇ、初戦ですからねぇ。身体が強張って行動に移ることが出来ないんでしょう。】


あぁ股間が硬くなって動けないんだ。どうにかしてくれ。


【おっと、ツッコミだけでなくボケも出来るアピールをして来ましたね〜。】

【えぇ、まだ拙いながらも努力してるんだな感は伝わって来ますよ。下ネタに頼る辺りは減点ですがねぇ〜、惜しい。】


なんか下ネタで無理にボケてすいません。恥ずかしからやめて............


(よ、よし..........無難に選択肢一で攻めるか。覚悟を決めろ、俺!)

「____________あ、あの。」


心の支えにならなくとも前進する何かを与えられればいい。とりあえず隣に座る。


「........グス、気にしなくて貰っても結構です。私は大丈夫ですから。」

「いや、女の子が泣いてるのに放っとけないよ。」


ガタッと女神側の椅子が倒れる音が聞こえる。


【あれれ〜可笑しいですわねぇ〜急に涙が出て来ましてよぉ?】


何処ぞの名探偵風味に言う金髪女神のエルミア。


【うむ、唐突に涙が零れ落ちて来るな。あぁ〜何処かに涙を流していると放って置けない殿方はおらぬものか?チラチラ_(┐「ε:)_】


黒髪女神エレンミアも金髪女神エルミアに同調してそう言ってくる。と言うかちらちらを言葉に出して言うな。


「あの、本当に結構ですので。」


本当に助けは要らないと言った様子でベンチから立ち上がる小鐘島。


(ヤバいっ、どうにかして彼女との接点を繋がないと!)


「ズグダンズブングン!ズグダンズブングン!」


リズムに乗せて彼女の前へと立ち塞がる。厳しいか。うん、厳しいな。古いし。


「あの本当に帰りますので退いて貰って良いですか?」


あぁ、もう最悪だ。これでは唯のナンパ師の手口じゃないか。


「お願い!少しだけでいい!自分に時間をく「「おい!!」」


おうふ............グレート。最高の登場だ。さながらナンパ野郎から助ける主人公のよう。


「小夏くん?」


主人公の小夏くんです、はい。


「小鐘島さん、行こう。」


小鐘島の手を掴み、歩き去って行こうとする。


(は?行かせるかよ!)

「ちょ待てよ!」キム○ク感


自分の元から歩き去って行こうとする二人の手を掴み、止める。


「小鐘島、済まないがアンタには異性として興味はない!!ただ、アンタが泣いていたから声を掛けただけだ!」


もう面倒くさい。こうなれば破れかぶれでこの負け犬ヒロインを救済してやる。


「古賀ぁ!お前は小畑心春を選び、小鐘島を選ばなかった!どの面下げて小鐘島の前に現れとるんじゃい!」


バツの悪そうな顔をする古賀。


「あ、貴方が何故、その事を。」


小鐘島を掴んでいた手が離れる。


「貴方はさっきから何なんですか。人の恋事情に勝手に入り込まないで下さい。」


「アンタが古賀の事を好きなのはずっと知ってた。それは他の同級生だってそうだ。健気に頑張るアンタを応援してたんだ。だけどこいつはアンタを泣かせた!!」


なんとなくそれっぽい事を言う。


【あれ、同級生じゃないですよね?】


ここで無理やり押し通すつもりなんだから黙ってろ!


「嘘言わないで。貴方の様な変な髪型の同級生なんか知らないわよ!」


【あ〜とうとう言われちゃいましたねぇ♪】

【エロゲの主人公みたく鼻下まで髪が伸びておるからな。て言うかその髪型で汝は前が見えておるのか?】


「お、俺の髪型は今は関係ないだろ!!」


急に叫んだ事で二人は疑心の目を向けてくる。


「おほん、あ〜なんだ、小鐘島小雪、俺はアンタの味方だ。」

「ストーカーの間違えじゃないのかしら。」

「さっきも言ったがアンタは俺のタイプじゃない。」

「なら何で私の周りの関係を知っているのよ!」

「其れは同級生だから『嘘!』嘘じゃねぇ!『嘘!私の事が気になってたから弱みにつけこもうとしたのでしょう?』


この女、自意識過剰にも程があるんじゃないのか。


「周りから美少女だの氷結の女王だかと呼ばれてるのは知ってる。俺みたいな奴に話し掛けられるのも本当は嫌な事も理解している。」

「いや、別にそこまでは言って.....」

「だけど、そう言った好意はないって事は信じてくれ!」


真っ直ぐと彼女の瞳を捉える。そして彼女も自分を真面目な顔で見る。


「一つだけ良いかしら................貴方の顔、口元も見えないし、怪しいのよ。」

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