第一話「負けヒロインに救済を!」
『さぁ救うのです勇者よ!』
金髪美女のエルフ耳が右腕を突き上げピースサインをする。
『汝の旅はこの先より始まぁる!』
黒髪美女のエルフ耳が左腕を突き上げピースサインをする。
『『いざ来たらん安寧の地を!』』
この自称女神を語る殺人鬼達は何を言っているんだ...................
「それでなんですがぁ、負け犬ヒロインはお好きですかぁ?」
金髪のエルフ耳が突然とそんなことを言い出す。
「負け犬ヒロインお好きですよねぇ♪」
さも当然の様に同意を求めて来るのをやめてもらいたい。いや、好きですけども............
「か・わ・い・そ・う♡」
先ず説明して置こう。今の状況は決して死後、いわゆる異世界ものでお馴染みのトラックに轢かれて女神と邂逅とやらの状況下にいる訳では無い。
「そう思いますよねぇ♪」
そして突如、異世界召喚をされた訳でもない。それでは何が起きたかと言うと______
「前髪ぃ!!」
_________授業中に突如として二人の自称女神達が出現したのである。
「せ、先生.........」
教室内はパニック状態に陥いるが直ぐに静寂となる。
「..........逃げてください。」
何故ならば、自分と教師を除く生徒達は女神達により殺されたからである。教室内は鮮血と染まり、女神達はその中心で舞い踊る。
「生徒を置いて逃げられるかぁ!!」
残ったのは自分と教師のふたりだけ。しかし、身動き一つ出来ない。金縛りにのように指一つとして動かないのだ。
「ふむ、汝は邪魔だな。消え失せよ。」
先程まで金髪エルフ耳と一緒にニコニコと笑みを浮かべていた黒髪エルフ耳の表情が一瞬にして冷たくなる。
「や、やめろーーーッ!!」
熱血漢であり、生徒思いであった教師の上半身が消し飛んだのだ。
「う、うわあああぁ!!!!」
血飛沫が舞い、叫び声を上げることしか叶わない。教室は生徒達と教師の鮮血で染まっていた。
「ヒロイン♪メインヒロイン♪選ばれるヒロインはぁダァメ♡残り物には福がある♪さぁさぁ、負け犬ヒロイン達を救い出して差し上げましょう♡」
二人の女神が包み込むように自分を抱き締める。
「「ねぇ_______前髪ぃ君♡」」
二人の表情は歪んだ笑みを浮かべていた。
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「さぁ始めるザマスよ♪」
「始めるでガンス♪」
女神達に拉致され、最初の異世界に連れて来られてはいるんだが、何故か二人はセーラー服を来て踊り始めていた。
「もってけー♪最後までっ.......て歌うか!!」
バックグラウンドに曲が流れ始めたからつい歌いだしそうになってしまったわ。
「「歌わんのかーい!!」」
クスクスと笑う黒髪と金髪の自称女神達。
「いやもう勘弁して下さい本当に。元の世界に返してください。」
「え?元に戻しても良いですけどぉ、殺人犯で捕まっちゃいますよぉ♪」
右側の頬をツンツンとする金髪のエルフ耳。
「汝が大量殺戮犯で牢へと入りたいと言うのならば止めはせぬぞぉ?」
左側の頬をツンツンとする黒髪のエルフ耳。
「「ツンーツン!『負け犬ヒロインに救済を!』放送中♪」」
(おでんツンツン男か!て言うかどこ向いて言ってねん!)
明後日の方向を向いて言う自称女神達に対し心の中でつっこむ。
「..........っ」
(これからどうすればいいんだ俺は......)
この頭の可笑しい自称女神達はある条件を付けてきた。教室内で殺した計三十名+教師一名の人間を負け犬ヒロイン一人助ける毎に一人蘇生させると言うのだ。
(クソッ、胸糞悪い。逃げればクラスメイトを殺した殺人犯として捕まり投獄。逃げなくても負け犬ヒロインを救済しなきゃなんねぇ。無理ゲーだろ!!)
そもそも恋愛経験皆無な俺にどうしろと言うのだ。
(友人だっていなかったってのに........うぅ、悪夢なら覚めてくれよぉ)
「ッ........なんだよ?」
突然女神二人に両腕を絡められる。
「「アニメじゃない!アニメじゃない!本当の事さー♪」」
「さいわ!」
こいつ等何時までやってんだ。さっきからしょうもない事ばっかしやがって。
【ポチッとな】カチ
テレテレテレテンテン♪
「「だから!」」
「ニ○ニンジャー♪」
「ニ○ジャー♪ニ○ジャー♪」
「「カ○レンジャー♪ニ○ニンジャー♪ニ○ニンジャー♪」
二人で肩車し合いながら合体ごっこをし始める。て言うかチョイスが古い!ケ○ン・コスギ世代っ!!!
「はぁ.......憂鬱だ。」
こいつ等常にふざけていないと死ぬ病にでも掛かっているのではないだろうか。
「初回はチュートリアルだし、特典として何と女神ちゃん達が付き添って上げますよぉ♪」パチパチぃ!!
いや、本当に要らないです。
「それに何と!美しい女神である妾との添い寝占有権も付くのだ!そら、嬉しかろう?」
嬉しくないです。
「結構です。帰ってください。」
二人はニコニコしながら躙り寄ってくる。て言うかこの二人異様に距離が近いんだよ。
「女神【エルミア】の寵愛を受けられるというのに_____」
「女神【エレンミア】の寵愛を授けると言うのに_______」
二人は自分へと覆い被さりニマニマと気色の悪い笑みを浮かベる。
「「________照れ屋さぁん♡」」
そう言いながら舌なめずりをする二人に恐怖を覚える。
「エルミアよ......もう我慢ならぬ。食べてしまっても良いかぁ♡」
「カーニバル♪カーニバルダヨ〜♪」
食べないで下さーい!(必死の叫び)ていうかこいつ等マジで力強いな!?絡んでくる腕を引き剥がそうとするが逃げられなぃ!!
「安心して良い。妾は汝だけの性欲フレンズだからなぁ♡食べていい?」
耳元でそう呟く黒髪エルフ耳のエレンミア。
「むしろより安心出来んわ!それに食べるな!!」
作者の別作品である【闇堕ち聖女の恋物語】【ヒロイン全員非処女で何が悪い!】も是非とも愛読して下さると嬉しい限りです!