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97:剣王編⑫ミカルゲ・ブイガノン・ヴォークト

 ヴォークトの登場にヴァジュラマ教徒だけでなくミカルゲの仲間の剣士たちもどよめいた。


「やべえよヴォークト師範出てきたよ」


「よかった。今日は師範の虎徹が野ざらしじゃない。まだ理性があるみたいだ」


「虎徹ってなんだ」


「知らねーの?ヴォークト師範のオスの象徴のことだよ。言わせんな恥ずかしい」


「あの人は性欲が高まるほどに理性が薄くなって服を脱いでいくからな。下を来てるだけ理性が残ってるってことだ。たまに全裸で暴れてる時あるだろ、あの人」


「剣気が性欲で高まるのはいいんだが、こっちまで攻撃してくるからな。ヴォークト師範は」


「だがこれで勝つる!ヴァジュラマ教徒!お前たちはおしまいだー!!」


 剣士たちの盛り上がりにヴァジュラマ教徒は顔をしかめる。


 それはブイガノンも例外ではなかった。


「ヴォークト師範。力は強いが奔放な振る舞いが目立つ。情報通りの人柄のようだ、なっ!」


 ブイガノンの言葉を遮りヴォークトは剣を振るった。


 ブイガノンは寸でのところで黒剣の大槌で受け止めた。しかし、ヴォークトの膂力は想像以上に強く、黒剣によって強化されているはずのブイガノンでさえ受け止めるのでやっとだった。


「御託はいい。死ね」


「獣め!」







 剣を合わせてからそれほど時間はかからなかった。


「がはっ」


 ブイガノンは血反吐を吐いた。体中切創だらけで地に伏している。


 ヴォークトの圧倒的な戦闘力を前に手も足も出ず、もはや指一本動かせない。


 ブイガノンのぬかるみを作る力もヴォークトにはまるで通じなかった。


「グッ、化け物め」


ブイガノンが吐き捨てる。


「お前は強かった。だが、僕にはお前より強い仲間がいた!僕の勝ちだ!」


 ブイガノンを見下ろし喜色を浮かべて勝ち誇るのは、ブイガノンを打倒したヴォークトではなく、ブイガノン相手に劣勢だったミカルゲだ。


「流石にそれはどうなんだ」


「今日の師範代、ちょっと倫理の枷が外れちゃってんな」


 剣士達がミカルゲを批難する。


 ヴォークトはすでに他のヴァジュラマ教徒に襲いかかっている。


 よって他の剣士にも多少の余裕が出来ていた。


 ヴォークトに残った理性がこの場を収めるには剣士は襲わず、ヴァジュラマ教徒のみを倒したほうが効率がいいと判断した。ヴォークトはこの場を収め、早く寝室に戻りたいのだ。


 だが、ヴォークトはすぐに寝室に戻ることはできそうにない。


 ヴァジュラマ教徒をもうすぐで一掃できようかという寸前で、二人の老齢の剣士が黒く怪しい光を放つ黒剣を手にヴォークト目掛けて斬り込んできた。

 剣気と黒剣によって増幅された力がヴォークトの防御ごと吹き飛ばす。


「待ち望んだぞ!この時を!生意気な貴様を打ち倒す時をな!」



「楽に死ねると思うなよ!貴様には地獄の苦痛が待っていると思え!」


 それはガンピード師範とダビッドソン師範だった。


 二人は目を血走らせ、口角泡を飛ばす。


 これまでのヴォークトに対する苛立ちと屈辱が恨みとなって二人を駆り立てる。


「まさか師範!裏切ったのか!?」


「剣士は金で動く。裏切るも何も仕事を受けただけのことだ」


 ミカルゲの言葉にガンピードが鼻を鳴らして応える。


「誰かと思えばクソ老害共か。おもちゃをもらってはしゃぎたいなら他所でやれ。俺は今忙しい」


 吹き飛ばされながらも体勢を整え、着地したヴォークトは心底煩わしそうに言った。


「儂らがおもちゃではしゃいでいるだと!?この力がわからぬか!?どこまで馬鹿にすれば気が済むのだ貴様は!」


「黒剣の力で全盛期以上の力を得た。全盛期より更に巧みとなった技を受けてみよ!」


 ガンピードは瞬時に間合いを縮め、ヴォークトに切り込んだ。ダビッドソンはガンピードの動きに合わせ、ヴォークトが最も防ぎにくいタイミングを狙って剣を振るう。


「はっ、威勢のいいこと言っといて結局二人がかりか。」


 ヴォークトは二人がかりの猛攻を難なく凌ぐ。


「このタイミングに姿をあらわしたのも俺が消耗してから戦おうと考えたんだろう」


 ヴォークトの言葉に、二人の師範は顔を怒りで紅潮させ、攻撃は激しさを増した。


 それでもヴォークトは余裕を崩さない。


「別に責めてるわけじゃない。立派な戦略だ。まあ、それでもお前らが何人束になっても俺に敵わないわけだが」


「ほざけ!」


 ガンピードとダビッドソンは二人同時黒剣を天へとかざし唱えた。


「偉大なるヴァジュラマよ!我にさらなる力を!」


 黒き力が二人の師範に流れ込む。そして更に剣気による奥義を行使する。


『黒神体』


 二人の師範は剣気と黒剣の力を融合させ、新たな奥義を完成させていた。


「どうしたクソガキ。顔がこわばっているぞ」


「今さら泣いて詫ても遅いがな」


 ヴォークトをして身構えるほどの力を二人は纏った。


「ふはは!なんだやればできるじゃねえか!どんな老いぼれも命をかければそれなりになるんだな!面白い!」


 ヴォークトは口角を吊り上げ奥義『超越体』を使用し迎え撃った。


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