表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
94/174

94:剣王編⑨人間弾頭フランシスコ

 俺は大鷲の闇の眷属に乗ったヴァジュラマ教徒共めがけて、メイスを構えて矢のごとく高速で空を飛んでいる。


 非常に怖い。


 空を飛べているのはモネの恩寵の力だ。いらん恩寵を授かりやがって。


 だが、この恩寵がなければ制空権を握られて一方的に攻撃されていた。


 さすがは我らが聖女様。いつもありがとうございます。


「わああああ!飛んできた飛んできた!なんなんですか!そういえば前回もこの人突っ込んできたんですよ!」


 ヘイムの言うとおり、アスワン大聖堂の襲撃時にはハクモの白蛇から投げ出され、ヘイムが暴れる教皇室に窓から突撃した。そんな覚えがある。


 ヘイムが俺の接近に取り乱している。


 他のヴァジュラマ教徒も恐れおののいている。


 俺が嫌な思いして人間弾頭してる甲斐があったというものだ。


「くっ、トリコ!避けなさい!」


 ヘイムが叫ぶ。


 どうやらトリコというのがこの大鷲の名前のようだ。


「あまい!この俺はお前たちを追尾する!」


 俺は高速で飛翔しているが、モネがきちんと地上から制御している。鷲の軌道に合わせて俺の行き先を操作することができる。


「ふはははは!」


 大鷲との距離を詰めるとともに俺は高笑いを上げる。笑いは相手への威嚇であるとともに、ストレスからの逃避でもある。


 人は自身の力ではどうしようもない状況に陥ると無性に笑えてくるものなのだ。


「ひぃぇえええーー!笑いながら迫ってくるぅうう!」


 怯えるヴァジュラマ教徒がさらに笑いを誘う。


「はははははは!」


「矢だです!矢を放て!あの不快な笑い声を黙らせてください!」


 ヘイムの指示にヴァジュラマ教徒共が慌てて弓を取り出し、矢をつがえる。


「構え!射てぇえ!」


「馬鹿め!そんなものが聖女の操る俺に当たるわけが…痛ぇえええ!」


 肩に矢が被弾する。モネのやろう。矢を避けることより最短距離で大鷲に突撃させることを選びやがった。その後更に二本の矢が刺さったが、命に支障はなく、大鷲の眼前に迫った。


「わああああ!来るなああああ!」


「いつまでも安全圏にいれると思うなよぉおおお!俺の痛みを思い知れえええええ!」


 そして俺は大鷲の翼に衝突し、貫通した。


 体勢を崩す大鷲。よろめいているものの、まだ空中にあり、ヴァジュラマ教徒も無事だ。


 俺はモネの力により再度方向転換し、突っ込んでいく。


「おらああ!まだ終わりじゃねええぞおおお!」


 後少しで大鷲に止めを刺し、ヴァジュラ魔境と共を地上に叩き落とせる。その刹那、ヘイムは懐から豪奢な杖を取り出し言った。


「転移」


 そして大鷲に乗っていたヴァジュラマ教徒は一瞬で姿を消した。。


 俺は空中に残る大鷲の胴体に衝突し、大鷲を完全に撃沈する。落下していく大鷲。


 俺は大鷲の胴体を貫通し、そのまま地上へと戻る。


「おい!モネ!これ止まるよな!?まさか地上に激突したりしないよな!なあ!?」


 落下先にヴァジュラマ教徒らしき集団がいるのが不穏だ。モネなら俺をそこに突撃させかねない。俺は衝突に備え、頭部のまえで構えるメイスに更に力を込めた。




「くっ!なんなんですかあの男は!?」


 転移によって大鷲の背から脱出し、地上に降り立ったヘイムは他のヴァジュラマ教徒達と憤った。


 だがいつまでも鬱憤を吐き出してばかりいられない。


 ヘイム達にはやるべきことがあるのだ。


 眼前には聖女モネと剣王候補ヴィクトリアとフランシスコの部下たちがいる。


「狂人が上空を彷徨っているうちに地上の敵を一人でも多く排除します。ファーラ!」


「アタシは四大魔の一人。嫉妬のファーラよ。」


 ファーラの力は嫉妬した者の力を扱うことができるというもの。嫉妬の対象は生者だけに限らない。


 ファーラは壺を取り出し、中身を撒き散らしながら詠唱した。


『蘇れ』


 使用したのは死亡した四大魔嘲笑のアバロンの力。蘇り、現れたのは三人の偉丈夫。


「歴代の剣王よ。眼前の敵を殺してちょうだい。」


 剣士の里に潜伏している間に剣王の墓を暴いていた。壺に詰められていたのは歴代剣王の遺骨。原型なくとも蘇生の代償術は生前の姿を蘇らせる。


「ヴィクトリアさん、明日の剣王戦の前哨戦ですね」


「前哨戦は済ませたはずだったんだけど。」


 モネの言葉に苦笑しながらヴィクトリアは剣を抜く。


「ちょうどいい肩慣らしだね!」


 モネの加護を受け、ヴィクトリアは歴代剣王のゾンビに斬り込んだ。


 ヘイムはファーラを支援すべくその力を振るう。ヘイムの苦痛を与える力は人の行動を大きく阻害する。


『苦しめ」


「私の前で呪いは無意味ですよ」


『解放』


 聖女の数ある恩寵の一つ、呪いを無効化する解放の恩寵だ。ヘイムの力はヴァジュラマの力が解放され強化されてなお、聖女の恩寵には敵わない。


「くっ、ここはファーラに任せて、私達は生ける屍の対応をします!」


 そしてヘイムが数人の部下とともにフランシスコに視線を戻すとすでにフランシスコは目と鼻の先まで接近してきていた。


「「「ぎゃーーーーーー!!!」」」


 ヘイムもフランシスコもヴァジュラマ教徒も皆悲鳴をあげた。


 そしてフランシスコはヘイムに激突した。


ブックマーク、評価、いいね、感想等いただけると励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ