Kさんがいなかったが立て篭もることになった
Kさん不在で一晩を切り抜けなければならない……
その事実は俺を打ちのめす。
俺は八尺様の知識があるとはいえ、あくまでそれは洒落怖に書かれた知識だけだ。
原典でKさんの助けを得たのと同じように、俺が助かるためにはKさんの助けが絶対に必要だった。
だからこそ、じいちゃんとばあちゃんが危機に陥るリスクを考慮してなおじいちゃんの家に帰ってきたのだ。
いや、そうではないのかもしれない。
俺はここに転生した身だ。
もしかしたら特殊な能力に目覚めている可能性だってある。
「ふんっ!」
拳を前に繰り出す。
特になにも起きなかった。
これじゃなかったみたいだ。
「ど、どうした?」
あまつさえじいちゃんを驚かせてしまった。
ごめんよ、じいちゃん。
「……」
ばあちゃんに案内された部屋は1階の一室だった。
原典では2階の一室だった。
しかし、この部屋には仏壇がある。
ただ……
「外が見えるぅー」
「そうね。カーテンをしめましょうね」
ばあちゃんが部屋のカーテンを閉めるが、多分それだけでは不十分なのだろう。
原典では……
俺は2階の新聞紙で目張りされ、お札を貼った上で、四隅に盛り塩をした部屋で立て篭もったはずだ。
あぁー、ここで守り切れるのかなぁー!?
目張りはされていない。
お札はない。
盛り塩は……まぁ、これは今からすればいいか。
だが、なにより重要なこととしてKさんがいない。
……これは今さらいっても仕方のないことだった
窓を新聞で貼ることが防御策となる。
新聞で目張りをすることがディフェンスの一手段として知られているということは、つまり、八尺様は「視線を重要視する怪異である」ということだ。
……であればカーテンでもある程度の対策にはなるのかもしれないが。
とりあえず一般的な怪異の防御策として部屋の四隅に盛り塩をすることを提案し、じいちゃんもばあちゃんも特にそれを疑わずに盛り塩をする。
あとは原典に比べて恵まれている点として、室内に仏壇があることだ。
Kさんは確か「なにか起きたら仏様の前でお願いしなさい」と言っていたはずだ。
お札はないが……それでもなんかとなるんじゃないか。
そう思っていた。




