2人がイケメンだったから胸が熱くなった
じいちゃんが沈鬱な表情で受話器を置く。
これは俺も想定していなかったことだ。
原典ではKさんという老女が俺を救ってくれる能力者だった。
彼女のおかげで俺は一晩越えることができた。
Kさんの手渡してくれたお札があったおかげで俺は村から出ることができたし、Kさんの力があってなお、お札は黒く変色するほど八尺様は強い。
……そう、八尺様は強い怪異なのだ。
じいちゃんががっくりと肩を落として居間に戻ってくる。
しかし俺の視線に気づくと、笑みを浮かべた。
「大丈夫。じいちゃんがなんとかしてやる」
その笑みは明らかに無理をしているもので、じいちゃんが八尺様の怖さを知っているからこそのもので……それでも俺に心配をかけまいと笑みを浮かべてくれてて……
こんないい人を悲しませないために、絶対に死ねないと思った。
「ばあさん、俺は今日はこいつと一緒に一晩過ごす」
じいちゃんは毅然とした態度でばあちゃんに宣言した。
「幸い俺とこいつは血が繋がっている。俺がこいつの側にいれば八尺様もどっちを連れていくか迷うはずじゃ」
「そんな! じいさん、危険ですよ!」
「そうだよ! じいちゃんにそんな危険なことはさせられないよ!」
ばあちゃんと俺の抗議をじいちゃんはからりと笑ってやり過ごす。
「なぁに、八尺様の顔を見てやりたいって思ってたんだ。まぁ、うちのばあさんほど別嬪さんじゃねぇだろうがな」
あの、そういうのはあとにしてもらっていいですか?
「じいさん……」
ばあちゃんもじいちゃんを見つめないでもらっていいですか?
ばあちゃんはしばらくじいちゃんを見つめていたが、やがて口を開いた。
「私も、この子とは血が繋がっています」
ん、なにを言い出すんだ?
俺もそうだったが、じいちゃんもばあちゃんがなにを言い出すのかと首を捻った。
「私も一緒にいますよ」
「なっ……!?」
じいちゃんと俺は思わず声を上げた。
「だ、ダメじゃダメじゃ! ばあさんには危険じゃ!」
「そ、そうだよ、ばあちゃん! じいちゃんにも遠慮してほしいのにばあちゃんまでとなったら俺……俺……!」
2人で反対するがばあちゃんは穏やかな笑みを浮かべる。
「私もじいさんと一緒です。血縁者が同じ場所にいれば八尺様の目をごまかせますからねぇ。じいさんだけが一緒にいても2分の1。私が一緒にいたら3分の1になるじゃないですか。この子が助かる可能性が上がるのなら、なんだってしましょうよ、じいさん」
じいちゃんもばあちゃんも、必死で俺を助けようとしてくれている。
しかも命がけで。
こんな状況なのに、俺は胸が熱くなった。




