家に着いたらじいちゃんに聞かれた
「ど、どうしたんじゃ……?」
鍵が開けられるなり、家の中に転がるように飛び込んだ俺を見てじいちゃんもばあちゃんも目を丸くした。
そりゃそうだろう。俺だってびっくりする。
「かっ、かぎっ……!」
ほぼジェスチャーで早く鍵を閉めてくれアピールすると、ばあちゃんが不思議な顔をしながら戸を閉め、ようとして……
「あらあら、バイクが倒れちゃって……」
外に出て、玄関先に転がったバイクの方に行こうとするので必死で止めた。
「事情は説明するからっ! それはあとでぇーっ!」
ばあちゃんは不審そうな顔をしながらも、鍵を閉めてくれた。
話のわかるばあちゃんだ。
「あ、ばあさんや……水でも持ってきてあげなさい」
はぁはぁと呼吸も整わない俺を見て、じいちゃんが言う。
すぐにでも事情を聞き出したいだろうに。
できたじいちゃんだ。
ばあちゃんが持ってきてくれた水道水が泣けるほど美味かった。
居間で事情を説明するとじいちゃんとばあちゃんの顔色が変わった。
やはり、じいちゃんとばあちゃんは八尺様のことを知っている。
俺は洒落怖に書かれていた以上のことは知らない。
でも2人がいてくれれば……大丈夫だ。
心の中でガッツポーズをする。
「いつだ」、「どこでだ」、「どのくらいの身長だった」……
じいちゃんが怒ったような顔で次々と質問をしてくるが、これも原典通り。
わかっていながらもなお、じいちゃんの気迫に押されてしまい、辿々しく答えると、じいちゃんは急に黙り込む。
「うーん」
「おじいさん……」
腕組みしてなにかを考える爺ちゃんに、ばあちゃんが心配そうに声をかける。
「わかっとる。だが……」
なにかを悩むように眉間にシワを寄せながら立ち上がる。
ん、なにか原典と違う展開なのか、これ。
いや、この時間帯で遭遇する時点でかなり違う展開ではあるのだが。
じいちゃんは廊下に出て……どこかに電話をかけるようだ。
やった! 俺は心の中で踊り出す。
原典ではじいちゃんは村の能力者のような人に電話をかけ、その人のアドバイスに従ったことで、俺は生き延びることができたのだ。
電話さえかけてもらえれば!
あの人がきてくれれば!
廊下からじいちゃんの声が聞こえた。
「あぁっ、誰も電話に出ん! 寝とるのかー!」
年寄りの夜早ぇー!




