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夜になったらきた

俺は思わず「ナスの浅漬けを食べているつもりが、実は自分は発狂していてアスファルトを食べているときの顔」をしてしまった。


いや、アスファルト食べたことないけど。高度な比喩表現だと感心するね。


いや、ちっとも高度じゃない。


いや、そうじゃなくて。


「それ、今言いますー?」


ふにゃふにゃした受け答えをしてしまった。


「すまないね。でも覚悟だけはしておいてほしいのさ」


櫛井さんは真剣な目で俺を見つめている。


「私もあんたを助けてあげたいし、手は尽くしてるけどね」


ん、これ……?


「八尺様はそうやって気が緩むのを待っているのかもしれない」


あれ、どこかで、これ……


「もしこのあと、囚われてしまったとしたら……あまりにもつらかったら仏様に身を委ねるんだよ。もうつらいことしかなくなってしまったときには覚悟を決めるんだよ」


あっ、これ、リアルだ!


リアルって話の中でS先生が主人公に書いた手紙にそっくりだ!


……それ、ダメなんじゃなかろうか。




窓に新聞紙で目張りがしてあるから、外の明るさはもうわからない。


時計を見る限りすでに暗くなっている時間ではあるのだろう。


新聞紙の上には櫛井さん謹製のお札が貼られている。


効果があればいいのだが……




今回俺たちは籠城を選ぶことになった。


本来であれば選びたくはなかった作戦である。なにせ身動きがとりづらい。


櫛井さんは今夜解決できなければ、明日はないと言っていた。


だから籠城中に八尺様を撃退しなければならない。


……できるのだろうか。


できるできないんじゃなくてしなければならないんだけど。


時刻はそろそろ8時になろうとしていた。


櫛井さんは念仏を唱えている。




コツン……


窓を叩く音がして、その瞬間、音がした窓の新聞紙の上に貼ってあったお札がじゅぅっと音を立てて一瞬で真っ黒になった。


「きた!」


櫛井さんが叫ぶ。


うん、俺もきたんじゃないかと思ってたよ。

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