特別なキャンディーをもらったら事故に遭いかけた
「じゃあまた、いつでもこいよ」
「待ってますからね」
「うん、ありがとう! じいちゃん、ばあちゃん!」
俺の返事にニコニコと頷くじいちゃんとばあちゃん。
どうやら俺はこの2人の孫として転生したらしい。
俺は今、高校3年に上がる直前の春休みで、バイクで2時間ほどの距離の自宅から、よくじいちゃんとばあちゃんの家に遊びにきていたらしい。
やっぱり庭に止めてあったバイクは俺のものだったわけだ。
たっぷりの昼寝のあと、帰宅した2人といろいろ話をして、夕食までご馳走になって、そのあともしばらくだらだらして、ようやく家に帰ろうという気になった。
今から帰れば多分、日が変わる頃には家に到着するだろう。
さっきじいちゃんにもらった飴を舐める。
とても甘くてクリーミーで、こんな素晴らしいキャンディーをもらえる俺はじいちゃんとばあちゃんにとても愛されているのだと思った。
俺がじいちゃんになることがあったら絶対に孫にキャンディーをあげようと心に誓う。
ヘルメットをかぶって、俺は2人に振り返った。
「またくるね!」
しかし異世界での転生ではなくて、同じ世界だったわけだな。
バイクを走らせながら考える。
日本語だって通じるし、妙な文字とかもない。
ツの点が3つの世界なんていきたくもない。
狭い村の田舎道だ。
バイクのヘッドライトと月明かりだけが光源で、あとは真っ暗だった。
自然とバイクの運転も慎重なものとなる。
まぁ、異世界に転生しても困っちゃうよなぁ。
俺、なんの能力もないし……
……いや、まさか、転生したことによってなんらかの能力に目覚めたとか?
「ふんっ!」
力を込めて目を見開いてみたがなにも起こらなかった。
これじゃなかったみたいだ。
そんなバカなことを考えていたから、道に立つ人影に気づくのが遅れた。
人影はとても背の高い、髪が長く、白いワンピースの女だった。
いや、髪が長すぎて女かどうかはわからないけど、ワンピースだし……
ワンチャンレディビアーなんとかさんかもしれん。
なんでレディビアーなんとかさんがこの夜の田舎道に立ってるのかは知らん。
女の方に少し意識を向けていると、女がバイクの進路を塞ぐようにゆらぁっと移動する。
「危!」
バイクのスピードを上げていなくて助かった。
俺はギリギリバイクのブレーキをかけることができた。
バイクは女に触れる直前で止まり、俺は女を見ながら怒鳴りつけた。
「危ねぇだろ!」
女は長い髪に目を隠していたから、どこを見ているか正確にはわからなかったが、顔をこちらに向けて声を発した。
「ぽぽっ、ぽぽぽ、ぽぽ」
あっ、これ、話が通じないタイプのやつだ。




