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説明を聞いていたらあんまり関わりたくないお寺に行くことになった

「……」


櫛井さんは難しい顔で考えている。


原典の櫛井さんは八尺様の専門家ではあったが、渦人形は原典でも正体不明の存在である。


同時に対策はいかに櫛井さんといえども難しいと思えた。


「……ここじゃ無理だね」


居間を見回す。


「この家じゃ八尺様と、その未知の怪異の両方を相手にするのは難しそうだ」


その、「どっちか片方ならなんとかなる」って自信しゅきぃ……


今の俺はその自信に頼るしかない。


「寺に行こうか」


ふむ、渦人形に効果があったかどうかはわからないが、その原典でも寺で決着をつけている。


櫛井さんの判断は俺にとっても悪くないように思えた。


思えたんだが……


「ぐぬっ」


じいちゃん、なんで変な声出すの?


「まぁ」


ばあちゃん、なんで目を丸くするの?


「え、その寺って変な場所なの?」


「い、いや……そんなことはないんだが……」


俺の問いに言いにくそうなじいちゃん。なんだなんだ、ご利益のない寺か?


「明治のころにすごい法力を持ったお坊さんを出した由緒あるお寺じゃよ」


櫛井さんが苦笑を浮かべながら教えてくれる。


いいじゃん、法力! 今の俺たちに必要なのはそれです! まさにそれです!


なにが問題なのだろう。


例えば多少性格がひん曲がってるお坊さんだったとか? それで明治のころから今までずっと微妙な表情をされるというのも理由がわからないし……


でもここまで3人とも難しい顔をしてるってことは多少どころかすげー歪んでたとかなんだろうか。


俺の不安そうな顔を見て決心したのだろう、櫛井さんが口を開く。


「そのお坊さんに法力があったのは間違いがないんだわ。でも力が強すぎて、どこかで歪んじゃったんだねぇ……邪法に手を染めて大正のはじめごろに破門されたんじゃ」


あぁー、そりゃ微妙な顔にもなるわぁー……


「そのあと、今でいう新興宗教の教祖になったとか聞いたんだけど……」


なるほどなぁ。あんまり関わりたくはない。


「物部天獄っていう名前なんだがな」


あんまりじゃないぞ! ものすげぇ! ものすげぇ関わりたくねぇ!

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