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ヤンデレ×ちょろイン=地雷原!?  作者: 木花 赫夜
一章 同級生は病んでいる
6/35

五話

2019/10/1

五話目の投稿です。

評価もたくさん頂き、ブックマークが200件を超え、

PVは15000に迫る勢いです!

ついには日間ランキングでも10位以内になり、

感謝の気持ちでいっぱいです!



その後も一頻(ひとしき)り質問攻めを受け、好きな食べ物や休日の過ごし方等、プロフィールを埋めていくように色々と聞かれた。


中には答えづらい物もいくつかあったが、周りの反応を見る限りでは無難に返せただろう。


クラスメイトも満足したのか、休み時間を迎えるチャイムがなる頃には自然と離れていった。


「なあ、(にのまえ)よお」


ちょうど彰と二人だけになった時に彼は話しかけてきた。


「あれ、君は確か、……家に鏡がない人」

「あるわ! 馬鹿にしてんのか!」


三人組のうちの一人、鋭いつり目に前髪を逆立てた彼は眉間に皺を寄せて険悪な雰囲気で近づいてきた。


外見だけを見るとあまり関わりたくはない部類だが、あとの二人は至って普通のインドア派のようだ。ひょっとすると彼は見た目通りの性格ではないかもしれない。


「たっくん、やめようよ」

「そうだ卓。見苦しいぞ」


「うるせえ! それとコータはたっくんって呼ぶんじゃねえ!」

「ええ、無理だよお。何年一緒にいると思ってるのさ」


話しかけてきたものの、目の前で揉め始める三人にどうしたものかと困っていると、彰が見かねて間に入る。


「はいはい、んで結局たっくんは徹になんか用か?」

「たっくんって呼ぶなあ!」


一連の流れを見ていて思ったけれど、彼は意外と面白いのではないだろうか。


「まあ、いい。今はそんなこと置いておいてだ。一」

「徹でいいよ」


「わかった、徹。俺は長谷部(はせべ)(たく)だ。俺はお前に言わなきゃならんことがある」

「長谷部くんだね、よろしく。それで身に覚えはないけれど、何かな?」


「どうやったら壬生さんと普通に話せるのか教えてくれ!」

「……え?」


「だから、お前みたいに普通に話して、あんな風に笑った顔が見たいんだよ!」

「どうもこうも、普通にしたらいいと思うんだけど」


「それが出来たらとっくにやっとるわ。なんかこう、他人を寄せ付けない感じなんだよ」

「……そうかなあ」


力になりたいところではあるが、彰も含めて彼らの言う壬生さんと俺の知っている壬生さんの印象がどうも一致しない。


俺に対する態度が優しいのは好意によるものだとわかった訳だが、そもそもその原因というかそうなった理由がわからない。


だから具体的なアドバイスもできるわけがないのだ。


「まあ、自身はないけど、会話にさりげなく混ざって慣れてもらう、とか?」

「それで本当になんとかなるのか? というかお前はいいのか?」


「そうだぞ徹。こいつは馬鹿だからあんまり信用するな」

「んだと彰てめえ。やんのかこら!」


彰も心配そうにしているが、正直に言ってしまうとどうすればいいかなんてわからない。


「うん、まあ大丈夫じゃないかな? さすがに壬生さんが嫌がるようなら止めるけど」

「そんなことは断じてしない! 徹、お前実は良い奴だったんだな! 俺のことは卓と呼べ! 」


単純なだけなのか、根が素直なタイプなのか、卓はぱっと笑顔になると礼を言って席へと戻っていく。


そういえば三人組の残り二人の名前を聞くのを忘れたけれど、そのうち機会があるといいな。


彰と放課後のことを話していると予鈴が鳴った。二限目の教科は数学、今朝会った柊先生が担当科目だ。


一限目は実質授業ではなかったので、これが最初に受ける授業になる。大丈夫だとは思うができるだけ当てて欲しくはないなと思っていると、そういう時に限って名指しで当てられる。


「一君、この問題を解いてください」


そこそこ難しい問題だったが、半年分とはいえ前の学校でのアドバンテージがあるのでなんとかなった。


三、四時限目は物理と現代文で、現代文は偶然教材が同じだったためかなり楽が出来そうだと思った。


無事に午前中の科目を終えて、昼休みを迎える。弁当があればいいのだが、一人暮らしを始めたものの荷解きも中途半端な上に自炊もまだ出来ていない。


「徹は昼飯どうすんだ?」

「うーん、食堂に行くか売店で買って食べるか迷ってるかな。ちなみに彰はいつもどうしてる?」


「彰はあたしと食堂で食べてるよ!」


坂本さんが彰の後ろから元気よく挙手をしてやってきた。


「坂本さんと一緒に? 本当に仲良いんだね」


感想を素直に伝えると、彰は顔を真っ赤にして否定する。


「馬鹿お前勘違いするんじゃねえよ。俺だって好き好んで一緒にいる訳じゃねえ」

「あらー? あたしと一緒に食べられるって言うのに、一体何が不満なのかなー?」


機嫌を損ねた坂本さんが拳骨で彰のこめかみをぐりぐりと挟み込む。


(いで)ぇ! 何すんだ暴力女!」

「なんだとお! デリカシーのない男はモテないぞ!」


二人を止めることもできずに、このままヒートアップしていくのを黙って傍観する。


「はいはい、二人ともお昼ご飯を食べる時間が無くなりますよ。その辺でストップです」

「ああ、わりい。すまん委員長」

「委員長ちゃんごめんねー」


二人の注意を引くために軽く手を叩いた朝比奈さんは、慣れた様子であっという間に二人を宥めてしまった。


「一くんには校内の案内もしたいので、私も着いて行っても大丈夫ですか?」

「ありがとう。よろしく頼むよ、朝比奈さん。それにしても手馴れてるね」


「いつもの事ですからね。それと、委員長と呼んで頂けませんか? 名前で呼ばれるの、慣れてないので」

「……ああ、うん。そういうことなら気をつけるよ」


「徹。私も一緒に行くわ」

「壬生さん、もちろん。こっちから誘おうと思ってたくらいだよ」


「……そう、嬉しいわ」


表情はあまり変わらないが、相変わらず耳が真っ赤になるので彼女はやっぱりわかりやすいと思う。



朝比奈さんから校内の案内をしてもらいながら歩いていると、前方に人だかりが出来ているのが見えた。


「あそこの人が集まっているところが食堂です。基本的には麺類や丼物、洋食、和食のメニューが日替わりで食べられます」

「季節限定のやつがある時はああやって入口まで人が並ぶんだよな」


「今日の限定品ってなんだっけ?」

「確か、デミグラスソースのオムライスだったと思いますよ」


「オムライス! 売り切れてないといいなあ」


思ったよりメニューの種類も多く、ちょっとそそられる。坂本さんはオムライスに興奮して子供っぽいと彰にからかわれていたが、正直俺もかなり気になっていた。


そのまま列に並んでしばらく待つと、緑色のネクタイをつけた二年生に後ろから声をかけられた。


「お前か。壬生と仲のいい転入生ってのは」

「……どちら様ですか?」


「なんだ、壬生もいるじゃねえか。おい、こんな冴えないやつ相手にするだけ無駄だぞ。 お前も意外と見る目がないんだな」


何がおかしいのか下品な笑い方をする。初対面にもかかわらず恐らく年上だからという理由での、上から目線にも腹が立つ。


何より俺のことは別にいいけれど、壬生さんまで馬鹿にする言い方は許せない。


流石に何か言い返そうと思ったが、それよりも先に一歩前に踏み出して発言する人がいた。


「――それ、どういう意味でしょうか?」


感情を一切感じ取れない平坦な声音に自然と背筋が伸びる。俺よりも前に出ているせいで表情も読み取れない。


しかしそれでもなお、彼女が心中穏やかではないことだけは伝わってきた。

ここまで読んで頂きありがとうございます。

なんだかんだ言って皆様が読んでいただけるので、

連日投稿出来ております。


面白い、続きが気になると思って頂けるようにがんばります

評価やブックマーク、感想を頂けると嬉しいです。

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