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ヤンデレ×ちょろイン=地雷原!?  作者: 木花 赫夜
一章 同級生は病んでいる
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四話

2019/09/30 四話目の投稿です。


読んでくださってる皆様のおかげもあり、

この度日間ジャンル別ランキングで16位を頂きました。

本当にありがとうございます。


今後ともよろしくお願いします。


「……そうだったらいけないの?」


何故か周りの反応が理解出来ない様子で、そう言った彼女の真意がわからない。


そもそも今朝会ったばかりのほぼ初対面で、当たり障りのない世間話程度しかしていないはずだ。


「琴葉って徹くんと初対面だよね?」

「……いいえ。今朝通学中にも会ったわ」


俺が出会った中でも上から数えた方が早いくらいの美少女だ。転校初日から好意を寄せられていると噂がたった日には、男子生徒諸君から漏れなく敵認定を受けることが予想できる。


「そういえば壬生さん、今日時間ぎりぎりで教室に来てたね。宮崎先生が来るの遅かったからセーフだったけど」

「あ、それは」


「徹を職員室まで送っていたのよ」


誤解を重ねる前になんとか説明しようとしたが、そんな思惑を嘲笑うかのように壬生さんの言葉が遮った。


「……おいおい徹くん。ちょっとこっちで詳しく説明して欲しいんだが、来てくれるよな?」


そうして人の輪から少し離れた教室の端の方に追いやられて、彰をはじめとしたクラスメイトの男子諸君に囲まれる。彼らから沸き立つ殺意にも似た圧力を感じて思わず萎縮する。


「嘘だろ。嘘だと言ってくれ」

「独占する気か? みんなの姫だろうが」

「まだ確定じゃない。信じない、僕は信じないぞ」


まだ話していない男子からも呪詛のようにぶつぶつと聞こえてくるそれに、背筋が凍る思いがした。


一方で壬生さんは坂本さんと朝比奈さんを始めとする女子達に囲まれ質問攻めにされていた。ガールズトークというやつだろうか、こちらの雰囲気とは大違いである。


「い、いや実は今朝通学中に道に迷って、たまたま通りがかった壬生さんの車に乗せてもらったんだよ」

「本当に、それだけか?」


「ご、誤魔化そうとしてないよね?」


尚も疑う彼は気弱そうだが優に190cmは超えているであろう。前髪で目元が隠れているせいで上手く表情を読み取れないが、彼は周りと違って俺のことを案じてくれているように感じる。


「ほんとだって。後で壬生さんにも聞いてみなよ。……えっと」

「あ、えと、僕は笠井 宗次郎(かさい そうじろう)です。」


「わかった。宗次郎って呼ばせてもらうよ。俺のことは徹でいいから」

「うん、よろしくね」


「それで、宗次郎も壬生さんに聞いてみたらわかると思うんだけど」


尚も疑ってくるクラスメイトにそう提案するも、予想外にあっさりと拒否された。


「いや、それは無理、です」

「……え? な、なんで? 聞けばいいのに」


「そもそもこのクラスの男どもであの子とまともに話したことあるやつはいない」

「彰、どうゆうこと?」


「美少女すぎて緊張するってのが一つと、あの娘が怖いってのが大きな理由だな」


なんとも残念すぎる理由に拍子抜けをしたが、壬生さんが話す度に空気が固まったように感じていたのはその辺が理由だろうか。


「確かに美少女っていうのには納得するけど、怖いってどういう事?」

「お前はまだ知らないだろうが、かなり有名な話なんだよ。入学試験の時に既に二桁を超える男子に誘われ、入学して一ヶ月では上級生からも言い寄られ、その尽くを切り捨てる様が侍みたいだなんて呼ばれるくらいにはな」


確かに美少女だとは思ったけれど、そこまで凄かったなんて。そう考えると、今の立場はかなり危うい。さっきの話が本当なら、上級生も敵に回しかねないとわかってしまったからだ。


「実際、このクラスにも無惨に切り捨てられた落ち武者共が数人いるしな」

「参考までに彼らはどんな誘い文句を使ったのかな?」


「それは本人達に聞いてくれ」


彰は親指で後ろを示し、そこには先程まで呪詛を呟いているとしか思えなかった三人組がいた。


「どんなも何も、俺は普通に遊びに行こうって誘っただけだ」

「同じく遊びに誘ったが見事に断られた」

「お、俺は姫に挨拶しただけだ」


三人ははそう言うが、壬生さんだけが悪いと決めつけるのは時期尚早だ。


「ちなみに、どんな風に断られたんだ?」


「『もっと気の利いたことは言えないの?』って言われたよ。 一瞬何言われたかわからなかった」

「それならまだいい方だ。俺なんか『あなたの家に鏡はないのかしら』だぜ?」

「お、思い出したくない」


青い顔で口々にそういった彼らにほんの少し同情する。


「なあ彰」

「どうした徹」


「もしかして壬生さんって結構毒舌?」

「もしかしなくてもそうだと思うぞ」


「なんと言うか、俺の知っている壬生さんとはだいぶ違うみたいだ。」

「だろう? そんな中で転入生がいきなり親しげなんだ。嫉妬くらいはするさ」


「嫉妬なんて大袈裟な。壬生さんみたいな綺麗な人は俺なんかには勿体なさすぎるだろう?」

「――そんなことないわ」


いつの間にか隣に来ていた壬生さんが会話に割って入って来た。


「……壬生さん? どうしてこっちに?」

「なんだか気になってしまってつい口を挟んでしまったわ。ごめんなさい」


「いやいや謝らなくていいよ。ちょうど壬生さんの話をしてたんだ」

「そうみたいね。何を言われていたのかしら」


話し方は普通だったが、鋭く細められた目線がさっきの三人を捉えると、彼らは人垣の後ろへと逃げていった。


「壬生さんは俺には勿体ないんじゃないかなって言ってたんだよ」

「どういうこと? 徹がなにか困るのかしら」


「壬生さんすごい美人だからね。困ることって言ったら、周りの反応が気になるくらいかな」

「……そう。それでも、周りの目には意外とすぐになれるものよ」


今朝も思ったが、直球で褒められるのに弱いのだろうか。正面からだと耳が真っ赤になっているのがよくわかる。


「――壬生さんってさ、すごくモテるんじゃない? 」

「そんなことないと思うけれど」


「あれ? でも入学以来たくさん告白されてるって聞いたけど」

「なんのこと? 確かに何度か知らない方から遊びに誘われたり、連絡先を聞かれたけれど、普通に考えればそんなの警戒するでしょう?」


「確かに。それもそうか。というかこれに関しては壬生さん悪くないよね?」


振り返って彰に問いかけると、額に皺を寄せたまま腕を組んで頷いた。


「どう考えてもこいつらが不信すぎる。緊張して挙動不審にでもなっていようものなら、女子からすると尚更怖いだろう」

「要領を得ないけれど、誤解は解けたようでよかったわ」


「ああ、こっちこそ変なこと聞いてごめんね」

「気にしなくていいわ。それで話を戻すけれど、徹はもっと自分に自信もっていいのよ?」


正直に言うと、戻して欲しくなかったところではあるが、戻されたからには答えるしかない。


「とりあえず、お友達からということで、どうかな」

「もちろん。()()()()私のことよく知らないものね」


そう言ってふふ、といたずらっぽく笑った彼女に見蕩れてしまった俺は、これは時間の問題かもしれないと焦るのだった。


この度は読んで頂きありがとうございます。


活動報告でも書きましたが感想を頂きました。

筆者は単純なのでとても嬉しくなって連日投稿してしまった次第です。

次の更新は今週末頃を予定しておりますが、

書き上がってしまえば早めにあげるかもしれないです。


もし良ければブックマークや感想などいただけますと今後のやる気につながります。

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