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ヤンデレ×ちょろイン=地雷原!?  作者: 木花 赫夜
一章 同級生は病んでいる
14/35

十二話

2019/10/14

第十二話投稿致しました。


台風諸々の影響により、投稿が遅くなりました。


皆様はご無事でしょうか。

一刻も早く被災地の皆様が落ち着いて生活できるよう願っております。


壬生さんと委員長がぎくしゃくしているせいもあって車内はやや居心地が悪かったが、今朝の一件以降は何事も無く学校に着いた。


「思ってたよりも随分早く着いたね」

「それはそうでしょう。車だもの」


運動部が朝練をしているのか、グラウンドの方から掛け声が聞こえてくる。


「そういえば、一くんはバスケ部に入るんですか?」

「いや、入らないよ」


昨日用事があるということで、見学には来られなかった委員長の問いに答える。


「そうなんですか? 進藤くんとは初めから知り合いみたいだったので、入部するものだと思いました。マネージャーとかもしないんですか?」

「うーん、それも無いかなあ。見てるとどうしてもやりたくなってくるからね。彰には悪いけど顔出すのは控えようと思ってる」


近くの公園にバスケットゴールがあるのを見つけてからは、GW(ゴールデンウィーク)には一人で遊びに行っていた。けれど、怪我の後遺症が原因で部活では練習に参加できないことも多いだろう。そんな奴が試合に出るようになったら周りは当然面白くない。


俺自身も以前のように動かない身体にストレスを感じるはずだ。そんな誰も得しない選択をするつもりもない。


「それなら弓道部はどうかしら」

「弓道? どうして?」


「琴葉がやってるんですよ。同じ部活だと一緒にいられますしね」

「……ちょっと、恵」


「壬生さん弓道部なんだ。なんか見てみたいかも」

「すごくかっこいいですよ。琴葉を見に他校にファンクラブ出来るくらいですから」


「それは、本当に凄いんだね」

「……二人とも、恥ずかしいからもうやめてちょうだい」


ただでさえ美人な壬生さんが、弓を構えて真剣な表情をしている様はとても絵になりそうだ。他校にファンクラブが出来るのも頷ける。


「嬉しいお誘いだけど、運動部はやめておこうと思うんだ。基礎練習で走ったりするのは参加出来ないだろうし、俺だけ別メニューも寂しいからね」


「そうですか。じゃあ文化部か委員会に入るんですか?」

「うん。そのつもりでいるよ」


「そう、それならしばらくは色々見学してみましょう」

「壬生さんは自分の部活に出てていいんだけど」


「駄目よ。徹は目を離すとすぐ他の子と仲良くするんだもの」

「へえ。そうなんですか」


「違う違う。壬生さん、委員長が誤解するような言い方しないで」

「あら、本当の事じゃない」


彼女は昨日の一件を未だに根に持っているようで、不機嫌さを隠そうともせず頬を膨らませている。


「……ぷふぅ」


ほとんど無意識の行動だった。右手の人差し指が彼女の膨らみを突き、蓄えられた空気が可愛らしい音を出して抜けていく。それを引き起こしたのが()()()()()だということを認識するまで少し時間がかかってしまった。


「あ、ごめ」

「ちょっと、何をしているの」


「ふふふ、琴葉っ……ぷふぅって言った」


ツボに入ったらしく、笑いが止まらなくなった委員長とみるみるうちに顔が赤く染っていく壬生さん。彼女らとは対称的に自分の仕出かしたことを理解して血の気が引いていくのを感じた。


「これは、その、つい」

「つい、何かしら」


「か、可愛かったよ。壬生さん」

「――か、からかわないでちょうだい」


壬生さんの百面相は顔を真っ赤にしたまま怒りから羞恥に、そして今は照れに変わっている。


「ふふ、はあ。ほんとに可愛かったよ琴葉」


眦に涙を蓄えるほど笑っていた委員長も、ようやく落ち着いたのか普段通りのように見える。


「恵、後で覚えていなさい」

「ごめんね。だって一くんがあんなことするから、ふふ」


思い出し笑いでまたも再燃してしまった委員長を、壬生さんが未だに頬を赤くしたまま恨めしそうに睨む。


「いや、こんな所で朝からいちゃつくなよ」


「うわ、なんだ彰か」

「なんだとは失礼な」


「おはようございます進藤くん」

「ああ、おはよう」


ちょうど登校してきたらしい彰のおかげで、平静を取り戻す委員長だが、まだ少し我慢しているようにも見える。


「そんで、朝っぱらから何してたんだよ」

「いや、どこの部活に入るかっていう話してただけだよ」


「そうなのか? なんかただならぬ雰囲気を感じたからつい話しかけちまったけど、それなら邪魔しちまったかもな」

「いいえ、助かったわ。ありがとう」


「あ、え? おう、どういたしまして」


壬生さんから感謝されるとは思っていなかったようだ。少し気恥しそうにしながらも、満更では無さそうな彰だった。


「教室行くんだろ? 一緒に行こうぜ」

「うん、俺達もそろそろ行かないとね」


「誰のせいでこうなっていると思っているのよ」

「琴葉、もういいじゃない。可愛いって言ってくれてたのよ?」


「それは、まあ。そうだけれど」


やや不服そうな壬生さんだが、怒っている訳では無いようだ。


「おーい。行かないのかー」

「ごめんごめん。今行くよ」


程々のところで壬生さんにも謝り、二人を連れて彰を追う。話はすっかり逸れてしまったけれど、部活動をどうするのかは真剣に考えないといけない。



「そんで、結局徹はどこの部活に入るんだ?」

「まだ決まってないんだよね。たっくんはどこに入ってるんだっけ?」


「たっくんて呼ぶな。俺はサッカー部だな」

「サッカーかあ」


「なんだ、文句あんのか」

「いや、文化部に入りたいんだけど、なにかおすすめとかある?」


「文化部か。こいつら二人ともそうだぞ」


そう言って紹介してきたのは昨日たっくんの両隣に控えていた二人だった。


「俺は漫研所属の清水 類(しみず るい)。以後よろしく」

「ぼ、僕は美術部の川西 秀(かわにし しゅう)


「漫研と美術部か。そこになんでサッカー部のたっくんがいるの?」

「だからたっくん言うな。こいつらとは小中で一緒なんだよ」


所謂幼なじみというやつなのだろう。壬生さんと委員長もそうみたいだけれど、高校でも変わらず仲がいいのは素直に羨ましいと思ってしまう。


「二人ともよろしくね。それで、他にどんな文化部があるか教えて欲しいんだけど」

「け、結構あるよ?」


「え? 結構ってどのくらい?」

「うちの学校は五人集めれば部活、三人集めれば愛好会もしくは研究会を立ち上げられる。部活と違って愛好会なんかは生徒会の許可が降りれば顧問不要で、みんな好き勝手作っていくんだよ」


「それ、いくらなんでも自由すぎない?」

「原則部活動に入ることっていう規則を守るためにやりたくないことやるくらいなら、好きなことやらせて生徒の自主性を伸ばそうっていう方針らしいよ」


随分寛容な校風なようで、これは全部見て回るのは骨が折れそうだ。生徒会が管理しているらしいので、一覧があれば貰えないか放課後にでも交渉してみよう。



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