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逃げた先の地雷原

アシュリー、痛恨のミスに気付く編

評価、コメント、ブクマありがとうございます(*- -)(*_ _)ペコリ

ご感想は日々の栄養源です!ありがたやー!



「タダ肉ウェーイ!!」


「屋台の串焼きごときでそんなに喜ぶものか?」


「甘いですよ、アレクシス様! この通りは見ての通り屋台の密集地! 競争率が激烈激しい激戦区の中の激戦区! それぞれのお店に独自の食材の卸しルートと、秘伝のタレや調理法があり、一見一緒に見えても味は千差万別! しかも、一つ一つは大したことなくても、お腹いっぱい食べたいとなると結構お金がかかるんです! 基本食べ歩き、立ち食いオッケーなので煩わしいテーブルマナーなんて一切ない! 自分の赴くがままにかぶりつけるという心の贅沢仕様! テーブルクロスがあるお上品な場所って、コースが決まっていたり、お替りできなかったり、高級食材を妙にこねくり回し過ぎてワケワカランのも多いのですよ!」


「まあ、たまにはこういうのもいいかもしれん。ツェルニオなんかは喜びそうだな」


「あの赤メッシュの従弟さんですか? いやあ、あれとは歩きたくないですね、ときどきわたしを見る目が明らかに厄介ごとの気配がします」


 アレクシスに魔法を教わる時や、剣の手解きをうけているとき、ちょろちょろとやってくるのだ。ツェルニオ自体もアシュリーと手合わせしてくれたり、色々教えてくれたりするのでそれなりに会話もする。

 アレクシスは文官として有能なだけでなく、魔法使いや騎士としても立派な腕前を持っているが、ツェルニオも同じタイプなようだ。


「悪くない判断だ。あいつは面白いものが大好きだからな」


「静かに茂み近くで座り込んでいたと思ったら、わたしに無言で蛙を差し出してきたことありますよ。

 通りすがりの女官が悲鳴を上げたので蹴りを入れてやりましたが」


「蹴りを入れるな、蹴りを。あれでも上級貴族の令息だ」


「他の方にはするわけないじゃないですか。なんか粗雑に扱われると、ツェルニオ様が妙に嬉しそうなのが気持ち悪いですが」


「・・・優秀なんだが、余り友人がいない子なんだ」


「気さくな方ですのに」


「ツェルニオにとっては、気を許せる友人もいない貴族社会は息が詰まるのだろう」


「あの方、騎士見習いですわよね? 貴族のご友人がいないとは?」


「ああ、まだ正式ではない。本来爵位を継ぐはずだった兄たちが相次いで夭折してしまったんだ。

 いくらアルビニオン侯爵家が大家といえど、爵位継承に備えて育てているのは長男、次男までだ。三男以降もある程度、他家に婿に出たりしても良いようには備えていたが、やはり上には劣る。

 四男のツェルニオに至っては他家にいくも、武官でも文官でも、家を出て生計を立てるも良し、と放任に近い状態で教会の騎士見習いをしていた。

 それが相次ぐ不幸で急に実家に呼ばれて侯爵子息としての徹底教育が今更始まったんだ」


「つまり、今まで教会でしか人間関係がないと?」


「ああ。教会も堅苦しいところがあるが、現在聖下は今までの聖下よりも厳粛ではないこともあって丁度いい時期にツェルニオは来たからな。

 それに貴族といっても爵位とは遠かったから、友人は平民寄りが多い・・・それも、爵位継承の話で疎遠になってしまったらしいが。

 それでも実家にいるよりは肩の力が抜けるようだから、私の仕事を手伝うという名目で一時的にこちらに呼んでいる」


「ツェルニオ様以外の方が継ぐのは無理なんですか?」


「譜代の忠臣であるアルビニオン侯爵家である以上、直系の子孫がいる限り、余程の問題がない限り分家にすら侯爵家をかわりに継がすことは問題となる。

 なまじあいつが利口な分、適当に見繕ろうなんて真似はもってのほかだ。侯爵たちも譲れんだろう」


 あれで利口なのか。確かに飄々と食えない感じではあったが、あのちょっとチャラいというかシャラシャラキラキライケメンが。アシュリーは首をひねる。

 ただ、あのシャイニーフェイスで蛙を差し出してくるいたずらっ子だ。ついでにメリーに跨ろうとして何度も失敗している。メリーの背中の操はとっても固い。少なくとも、アシュリーが許可を出さない限り、ぽっと出のやつには早々乗せない。小さな子供なら、鳥や虫が乗ると同じ扱いなのか無視しているようだが。


「そういえば、アシュリー。あの儀式の後に変調はないか? かなり無理をさせたな」


「疲れたと云えば、疲れましたがほぼ原因メリグ様ですし」


「まあ、今回の件で流石に聖女候補としての身分も剥奪されたがな」


「最近見ないと思いましたが、やはり」


「能力はあるので、戦地の慰問を命ぜられた。事実上左遷だな」


「真面目にお勤めしているといいですね」


「させているだろう。もうあれを野放しにする理由もない」


 ブラック就業決定ってことかな。アシュリーはメリグの今後を考えないことにした。

 それよりも串焼き美味しい。噛み締めると肉汁があふれ出し、ニンニクの香りがする甘辛いたれと混ざりあって舌を楽しませてくれる。安物だといっていたものの、アレクシスも味に文句を言わないあたり、美味しいのだろう。ザルツの屋台群の中でも、アシュリーが厳選した美味なお店ばかりをチョイスしている。ちょっと得意になったのは秘密である。


「あ、そういえばアレクシス様」


「なんだ?」


「メリグ様が落とした聖杯拾いに入った時なんですけど」


 アレクシスの動きが止まった。


「水の中でメッチャ美人の青い瞳と長い髪を持ったヒト? 神? 精霊? 分からないんですけど、キスされたんですよね。

 人外感満載でしたので、女神様の関連なのかなぁと思うんですよ。あの後やたら泳ぎやすくなって、水中でも楽々だったんです」


 アシュリーは果実水を売っている屋台から購入した、トロピカルジュースっぽいミックスジュースにちらりと目をやる。少し念じると温くなり始めていたそれから、冷気が立ち上る。


「しかも、水魔法が使えるようになりました。ご加護効果なのか、近くて狭い範囲ならアイシングも余裕です」


 氷魔法は水魔法の応用だ。氷魔法しか逆に使えないってレアパターンもあるが、基本は応用編。

 ついでにアレクシスの持っていた果実水も指パッチンでざらざらっと氷を入れる。これ、冷やした方が断然美味しい。

 唖然としたアレクシスだが、すっかり冷えた果実水に恐る恐る口をつけた。


「・・・・・・・美味いな」


「暑い季節にはアイスティーもご用意しますよ」


「楽しみだ。恐らく、咎めはないだろう――寵を頂いたのなら、怒りを買っているはずもない」


「わかりました」


「あと、このことは他言無用だ。私も折を見て上に報告をするか決める。

 下手をすれば、抜けたメリグの代わりに聖女として強制的に召し上げられ、派閥抗争に巻き込まれるぞ」


「うわあ、御遠慮します。癒しの魔法より物理で魔物叩いているほうが性に合ってるので」


「それは知っている」


「理解ある上司でうれしいですわ。アレクシス様」


「いっとくが、お前がメリグに私のことを方便だろうが売ろうとしたのは忘れていないからな。他に方法はなかったのか?」


「流石に教皇様の前で聖女候補を平手打ちは不味いかなって」


「・・・・・・・・頼むから大人しくしてくれ。このことは胸にしまっておこう」


「理解ある上司で嬉しいですわ!」


「はいはい」


 ついでにあの粉もの系の屋台も寄りたいです、と裾をひっつかんでグイグイ押していく。

 アシュリーはアレクシスに話すべきか正直迷っていたが、アレクシスが上部にアシュリーをすぐさま売り飛ばす気配がしたのなら、とっとと教会――延いてはこの国自体からおさらばすればいい。

 アシュリーはもともと冒険者志望。根無し草上等である。メリーと一緒なら大抵は怖くない。


「ああ、そういえば」


 冷えた果実水に口をつけながら、アレクシスが言う。アシュリーは、熱々の洋風お好み焼きモドキに悪戦苦闘していたため、返事はできなかった。


「儀式に良く貢献してくれたと、聖下や枢機卿らからもお褒めの言葉を頂いた」


「んぐ?」


「食べながら聞いていて結構だ。お前に褒美をやるらしい――といっても、お前が聖女ではなく聖騎士希望と伝えたら、特別褒章として教会に保管してある武具を一つお譲りしてくださるそうだ」


 いいのか、聖遺物とか保管してあるんじゃないのだろうか。

 アシュリーは口をもぐもぐと動かしながら、微妙な顔になる。話がうまくいきすぎじゃなかろうか。


「お前に選ばせてやるとのことだが、呪物もあるから気を付けるように」


 なんつーやべーロシアンルーレットだ。

 アシュリーは鑑定スキルがあるが、あくまでCランクである。アシュリーが得意とする鑑定は、動植物系だ。武具に関してはそれほどではない。ノーマルアイテムならともかく、伝説の〇〇とかいうレジェンドアイテムのなど鑑定できない。そこまで来ると、国に一人いるかどうかのレベルだが、御褒美でくれるというくらいだからそれなりにレア以上の価値があるものも少なくないだろう。

 アシュリーは自分の運勢や能力がピーキーだという自覚はある。認めたくないが、ある種の主人公補正がバリバリ効いているのか、トラブルとラッキーがめったやたらにやってくる。

 やはり玉の輿系ヒロインだからか。

 隣のアレクシスを見る。

 美形だ。

 うん、最近馴れてきたけど、めっちゃ美形だ。

 クール系やインテリ系に分類されそうな美形である。眼鏡はつけていないが、似合いそうである。

 しかもお貴族様だ。滅茶苦茶乙女ゲーム系ヒロインの王道キャラクターにいそうである。貴族嫡男というのは、長子であれば当然その家を継ぐ者として教育が施される。次男三男も、ツェルニオの例と同じような感じであり、以降も以下省略でそんな感じだ。


(確か『魔法の様に恋して』の攻略キャラクターは・・・ゼクセン帝国の第一王子ウィルフリートと第二王子ヘルムート、魔法の天才トーマスに騎士のディオン、豪商子息ライネル。

 確か隠しキャラだか裏キャラに隣国王子と、ちょいキャラ公爵子息のショタがいたっけ?)


 メインキャラクターだけで5人。隠しが1人。

 ちなみに隠しキャラはメインをすべて落としてハーレムエンドクリア後、漸くルートが開通する。

 しかもその隠しキャラの運要素が結構からむし、ミニゲームのハイスコア必須であり、本人を口説き落とす選択肢より違う要素が絡みまくりなので最も難攻不落である。

 ちなみにショタは落とせない。だがこいつ、連作以降にも出てくる。放置はやばい、黒幕属性持ちのショタである。その辺は長くなるので割愛する。

 少なくともアシュリーがヒロインであるのならば、要注意は普通に考えて最初の5人だ。


(んーっ、悪役令嬢のアウローラやアイリスは侯爵と公爵だけど、両方アルビオンやサルドリュクスって家名は関係ないとこだったよな・・・

 あとでノートを確認しよう)


 アシュリー・ゴーランドがヒロインの作品は乙女ゲームだが、現在体感RPGである。

 恋愛ナニソレオイシイノ? 状態だ。アシュリーは別に玉の輿希望ではない。堅実志望なので、愛だの恋だのキャッキャウフフとしまくって学び舎で現抜かすつもりはない。心に太く深く鎮座するアラサー喪女精神を舐めるな。あれは二次元だから許されるが、三次元で見たらステゴロ上等で殴り倒したくなる胸糞シーン満載だ。

 黙っていたアシュリーを不審に思ったのか、アレクシスが少し眉をひそめた。


「私もその場についていこう。部下に呪いのアイテムなど持たせたくない」


「有難く存じますわ。わたしとしては武器も良いのですが、容量多めのマジックバッグも捨てがたくありますが」


「気を付けろよ。ミミックや人食い箱の類も古いのには混ざっているからな」


「待って。それダンジョンにでるやつじゃないですか」


「呪いのアイテムをしまってそのまま魔物化したのもあると聞く。まあ所詮温室ならぬ教会育ちのモンスターなんて、人の気配だけでガタガタうるさいからすぐわかる。

 教会の聖魔法や光魔法の影響で魔物自体の劣化が激しく知能も低い」


「なんで処分しないんですか」


「いつの間にか変質しているし、基本愚鈍が多いからな」


 教会で魔物が発生しているってどうなんだ。

 アシュリーは思ったが、そもそもヤバいものを入れてて呪物化してたのだからどうしようもなかった結果なのだろう。

 だが、教会の雑用をしている中にはアシュリーよりも若いというより幼い行儀見習いもいる。大人なら対処できても、子供はどうなんだ。

 しょっぱい顔をしながら、果実水を啜って気まずさを誤魔化すアシュリーだった。






 復習のお時間がやってきた。

 アシュリーは女官がいないのをしっかり確認し、マジックバッグから一冊のノートを出す。そして、それとは別で購入した紙も用意している。

 何か思い出せるようであれば、追記するのだ。思い出したいが、10年以上前の記憶の掘り起こしは劣化が激しくて難しい。

 『魔法の様に恋して』のメインキャラクター。

 第一王子ウィルフリート・レヴェン・ゼクセン。身分の低いお妃様の子供の為、第一王子で優秀にもかかわらず、王太子ではない。同い年の弟がおり、第二王位継承権を持つ。

 ちなみに銀髪緑目と聖下と被るカラーリングだが、聖下も王族といっていい――前皇帝陛下の妹が母親という超高貴な血筋だった。(女官情報)

 第一王子は超有能らしく、人柄も素晴らしい。人望も厚いとのこと。前世が民主主義としては、是非こちらの王様になって欲しい。ゲームでもThe王子だった。キラキラの正統派イケメンである。

 第二王子ヘルムート・エルソン・ゼクセン。正妃の息子の為、第二王子にして王太子。紫紺の髪に緑の瞳。性格は粗野でやや傲慢。剣術や馬術が得意で、どちらかというとアウトドア派の皇子らしい。

 エルソン公爵家はゼクセンでも指折りの名家の大貴族。バックボーンがずば抜けている為、兄がいても王位継承権が高いのがこちら。

 アシュリーはゲームのノリでリアルに絡まれたら鼻っ柱を物理的に折る可能性があるので、とても会いたくない。故郷を追われるなんて御免だ。

 俺様キャラと、時折見せる王子キャラのギャップがたまらないというファンも多かったが、アシュリーはお断りだ。

 天才魔法使い『トーマス・ノクト』。黒髪碧眼で、憂いのあるアイスブルーの瞳をもつ、華奢な美少年だ。複数属性を使いこなす、将来王宮魔術師としてお呼びがかかるともいわれる若き天才。だが、彼には秘密がありその身にはヴァンパイアの血が流れている。それ故の魔力量でもあり――吸血鬼狩りや異端諮問を恐れている。

 ダンピール(広い定義でヴァンパイアとの混血)だが、吸血鬼の始祖が混じっている為か、人の血が濃いのか魔法耐性も強く、日光や聖水も平気でほぼ人間。

 ストーリーでは主人公に救われて孤独から救われるって話だ。

 騎士見習い『ディオン・フランネット』。灰金髪とグレーの瞳。騎士を目指すだけあり、やや堅物。女性や子供に優しく親切だが、脳筋で直情的なところもある。第二王子の護衛もしている――ぶっちゃけ第二王子もわりと怒りんぼなので、文官よりの側近を付けた方が良かったのではと今思えば首をひねる。ストッパーがいない。

 学園一の剣豪だが、学科に関してはちょっと危ないのでこいつのルートではある程度頭が良くないと『お勉強を教えて好感度アップ』イベントが失敗する。

 『ライネル・トヘロス』。王都でも有名な豪商トヘロス家子息。トヘロス商会は、ディアファロット学園に多額の寄付金も収めているので色々情報通のうえ融通が利く。

 茶髪に糸目。目を開けると結構鋭い三白眼。口が上手く頭の回転が速い。

 アシュリーとは最初庶民同士仲良くしましょうって顔で近づいてくるけど、完全庶民というか田舎娘を値踏みしに来たという出会いなのだ。ちなみに悪役令嬢断罪になると、こいつの情報網が唸る、敵に回すと厄介そうなブレイン役だ。

 隠しキャラこと隣国王子『ゼルフィルド・エレン・ウォリス』。金髪碧眼で正統派王子その2と思いきや、中身が結構グレていたりする。グレているというか、滅茶苦茶冷めているというか達観系? 不思議ちゃん? 周りに興味が薄く、自分自身にも薄い天才肌。

 こいつ堕とすと、超デロ甘となる。まあ他のも甘ったるいことこの上ないが、今のアシュリーにリアルでやってきてもドン引き以外の何でもない状態だ。

 ちなみにゼクセンブルクの王子たちに絡むと悪役令嬢が出てくる。

 流石王子の婚約者たちというべきか、大貴族の御家柄。野心家だったり、権力全開で潰しにかかってくることもある。

 本気で乙女ゲーム回避をするなら、裏キャラの出身国であるウォリス王国に逃げるのも手だ。一応友好国だし、審査も滅茶苦茶厳しいわけではない。冒険者になったのは、国外退去も視野に入れていたからでもある。

 ちなみに10歳現在のアシュリーは、通常の10歳ではあるまじき23レベルという高レベルだ。

 強いのかと首をかしげるが、ベテラン冒険者レベルである。日々ザルツ周辺の魔物をメリーと狩りまくった甲斐があったものだ。


(問題は、その魔物の歯ごたえ無くなってきたってことなんだよなー・・・)


 叩きまくれば確かに少しずつ経験値はたまるが、レベルが上がれば当然次のレベルへの経験値は更に必要となる。

 ロブソン村から毛の生えた程度のザルツの魔物では物足りなくなってきた。

 ダンジョンに向かえばそれなりに粒ぞろいの魔物もいるが、教会の騎士見習いとして登録した以上、長期不在にはアレクシスの許可も必要だろう。

 教会で一通りの魔法の基礎は教えてもらったが、ステップアップをもっとしたい。

 アシュリーは自分の力不足を感じていた。せめてホルシュタイン城にいた吸血鬼をワンパンで沈める程度の能力を持たなければ、今後の平穏は保障されない。

 アシュリー・ゴーランドにはそのポテンシャルがある。周回やデータ引継ぎによる能力引継ぎはないが、知識はあるのだから本編開始の時期までに遣りこみクラスの実力まではいかないが2周目クラスの能力は欲しい。

 主に体力的な部分はデフォルトアシュリーをすでに抜いているだろう。学力も、学科はともかく実技は押さえている。

 いまのところ原作キャラクターには関わっていないが、ノートを読み返してやっべえ事実が判明した。

 アレクシスとツェルニオは『魔法のように恋して2』のキャラクターだった。

 同じくディアファロット学園でアシュリーたちが卒業後を舞台として、講師や侯爵子息として現れるのだ。ツェルニオは特定条件を満たすと、アレクシスルートから分岐で攻略できる。

 まさか他にもいるんじゃないかと思ったら、時折メリーを触りに来る水色っぽい白頭のフリューゲル(聖下の小間使い兼側近候補)や聖下も3か4あたりの攻略対象だった。

 道理で美形だよ!! コイツら!!!

 しかもフリューゲルは聖下の腹違いの弟だってさ・・・。なるほどー! ここにもスペア現象があったんですねー! 知りたくなかった!

 アシュリーはかなり見過ごしていたが、実は教会も結構ヤバいのではなかろうかと今更狼狽している。2以降は履修不足というか、アシュリーメインではないのでそれほど力を入れてかきこんでいない。

 むしろ、こちらのほうが碌に知らないので危険地帯なのでは?

 アシュリーは一人頭を抱えて唸る。

 前世知識など、うっかり他の人間に漏らせば狂人扱いか、利用される可能性が高い。

 余程信用できる相手にしか話せないが、あいにくそれを披露できるほどの相手はメリーのみ。メリーは頼りになるし大好きだが、人間社会のあれこれにまでは対処できないだろう。だってメリーは魔羊。いくら賢くても無理。




「あーっ、もう・・・まいったなぁー」




 地雷原から逃げようとしたら、別の地雷原に飛び込んでいた。

 とりあえず女子力より武力を上げようと、強く心に誓うアシュリーだった。




なにかありましたらしたからどうぞ!

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