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ドラゴンキラーと呼ばれた女/プルムの恋と大冒険  作者: 守 秀斗
第七章 うら若きはちとつらい二十二歳憮然とする乙女/国境警備隊編
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第五十九話:国境を視察する

 ランベルト第一副隊長と一緒に、カクヨーム王国との国境付近を視察する。

 国境の平地には大量の監視塔や鉄条網などが設置されているが、ドラゴンが現れた場所は、険しい山岳地帯で、両国とも監視体制があまり整っていないようだ。

 カクヨーム王国とは六年前の戦争以来、ずっと緊張状態なのだが、お互い戦争はしたくないみたい。


「政略結婚の噂があるんですよ」とランベルト副隊長が教えてくれた。

「え、誰と誰ですか?」

「我が国は皇太子様です。カクヨーム王国の方はどういう女性かわからないですが」

 パオロさんもそんなことを言ってたな。

 へえ~王室も大変だ。

 王室を通じて、両国の友好を高めようとしているのかね。


「しかし、友好ムードを煽っておいて、実はカクヨーム王国はドラゴンで先制攻撃を狙っているのではないでしょうか」とランベルト副隊長が心配そうな顔をする。

 いや、その認識はまずいぞ。

 けど、ドラゴン秘儀団の事は極秘なんだよなあ。


「ただ、おかしいところもあるんですよね。カクヨーム王国は積極的にモンスターを軍隊が退治して回っていた国なんです。ドラゴンなんて利用しますでしょうか」

 そうなのか。

 どうするか。

 うーん、仕方が無いな。

 ドラゴン秘儀団という名称を隠して、あたしはドラゴンを操っている連中がいることを説明することにした。


「実は、ニエンテ村のシアエガ湖で六年前にレッドドラゴンが暴れた事件というのは、人間がドラゴンを操るのに失敗したからなんですよ」

「え、そうなんですか」

「ドラゴンを操って、世界を支配しようとした団体がいて、それで、普通のドラゴンは操れたんですけどね。レッドドラゴンには通用しなくて、山が吹っ飛んだんです」

「今回も、その連中が関係していると、プルム隊長はお考えですか」

「多分、そうだと思います。その団体はシアエガ湖で、ほぼ全滅したんですが、多分、残党が活動しているんじゃないかと思います」


「カクヨーム王国と組んだんですかねえ」

「いや、それは無いと思います」

 ドラゴン秘儀団みたいな、あんなバカ集団と組むだろうか。

 もし、そうなら、もう大々的に攻めてきてもよさそうだし。


 うーん、バカなあたしでも、あのバカ集団の目的がわかってきたぞ。

 ドラゴン秘儀団の連中は、わざとドラゴンを中立地帯で暴れさせて、ナロード王国とカクヨーム王国の間に戦争を起こさせて、その隙に世界を支配する気じゃないだろうか?


 しかし、どうすればいいか。

 うーむ。

 ひらめいた!

 簡単に解決出来るぞ。


 ナロード王国とカクヨーム王国が共同でドラゴンを倒せばいい。

 そうすれば、戦争にならずに、むしろ仲良くなれるんでないの?

 もう、ドラゴンを倒せる大砲はあることだし。

 戦争したら負けよ!

 平和が一番。


「ランベルト副隊長、カクヨーム王国と共同でドラゴンを倒せばいいんじゃないですか。向こうに連絡すればいいと思いますけど」

「いや、私が連絡しても、無理でしょう。かえって、誤解を招かねないですね。これは政府の上の連中同士が話し合わないと」

 そうなのか。

 よし、フランコのおっさんの出番だな。


「私から官房長官に連絡します」

「お願いします。カクヨーム王国の軍隊とドラゴンキラーのプルム隊長の共同作戦ですね」

 こらこら、あたしは一介の泥棒なんだって、と言おうとしたがやめた。

 ちと、今さら言うのは恥ずかしい。


 すぐに国境警備隊の施設に戻って、フランコ官房長官に電話で連絡する。

「軍隊に、早くこちらへドラゴンを倒せる大砲を持ってくるよう命じてくれませんか。あと、カクヨーム王国にも連絡してください」

「了解した。閣議にかけて、外務省を通じて、カクヨーム王国に連絡を取ってみる」

「長官、これは緊急を要しますよ」


 フランコのおっさんもちょっと緊張してた。

 戦争なんてやだもんね。


 けど、これでなんとなくかたがつきそうだ。

 ちょっと、安心。

 宿舎にもどって、とりあえず、ベッドヘタイブ!

 寝る。

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