第五十四話:ゾンビハンター
ダゴンダ市中央区の超高級ホテルに宿泊することにした。
出張なんて初めてだったので、パオロさんに聞いたら、旅費の宿泊費は定額制なんで、みんな安い宿屋に泊って余った分を自分のものにしちゃうらしい。
けど、あたしはこの前のギャンブル大勝利で懐が温かいんよ。
ホテルのレストランで美味しい夕食を取った後、部屋に戻って風呂場に行くと、なんか変な空間があるぞ。
ハンドルをひねると、うわ! 上からお湯が降ってきた。
シャワー室というものらしい。
バスタブもデカい。
ゆっくりと浸かる。
ふう、生き返る。
しかし、どうしようかなあ。
相手はゾンビ。
もう逃げたくなってきたぞ。
フランコのおっさんは、あたしが「ドラゴンキラー」と呼ばれているので、無理難題を押し付けるつもりなのだろうか。
嫌がらせかよ。
やれやれ。
ちょっと様子見て、やばくなったらバックレるかな。
さて、明日の午後、待ち合わせの相手はダリオ・アロジェント博士。
ゾンビ研究家。
考古学者でミスカトニク市立大学教授。
しかも、医者の資格も持ってるそうで。
博士かあ。
おまけに考古学者で医者。
例の自称吸血鬼ハンターのルチオ教授の十年来の友人らしい。
あと、アロジェント家ってのはかなりの名家みたい。
大金持ちだな。
本当はルチオ教授が来たがってたんだけど、腰痛でまた入院中。
ゴルフのやり過ぎね。
ダリオさん、なんだか偏屈なお爺さんみたいな人じゃないかと予想。
盛り上がらんなあって、おっと、失礼なことを考えてはダメよ。
風呂から出て、着替えようとすると、ゲッ! ありゃ、ショーツに小さい穴が。虫食いか、それとも安物だからか。やれやれ、情けない。これも潤いの無い生活をしているからか。
まあ、いっか!
誰もあたしの下着姿なんて見ないしー!
高級ベッドにダイブ!
寝る。
なかなか眠れない。
チェーザレやアベーレ、ベニートのことを思い出す。
子供の頃は三人とも明るく、よく遊んだなあ。
その後、グレちゃったけど。
もう、この世にいないのか。
墓まで破壊されるとは。
悲しくなった。
鬱々とする。
結局、ほとんど眠れなかった。
翌日。
ホテルのレストランで高級料理を食べた後、ラドゥーロ市西地区行き乗合自動車のダゴンダ市役所前停留所で待ち合わせ。
お腹がいっぱいで、なんか眠くなってきた。
二夜連続でほとんど寝てないし。
お、イケメンと美女のカップルが歩いている。
いいな~あ。
ああ、あたしも素敵なイケメンとデートしたーい! 楽しいデートしてみたーい 死ぬまでに一度はデートしてみたーい。
え? いまだに、一度もデートしたことないのかって? そうなんよ。正式なのは、一度もないんよ……。
妄想デートなら、五千回はしてるけどね、ベテランよ。
って、何だか空しいな……。
あら、ものすごいイケメンが荷物を持って歩いていらっしゃる。
旅行者かしら。
ウォ! 本当にイケメンだ。
今まで見た中で最高のイケメンだわ。
あたしには全く手の届かない人ね。
喋る事も近づく事もないだろう。
え? イケメン、イケメンって、いまだにお前そればっかりだなって?
人を外見で判断しないって、反省したんじゃないのかって?
いや、そーなんだけど、やっぱりイケメンに惹きつけられるのは仕方が無いじゃん。
みなさんも、美女に惹きつけられるでしょ。
あれ、そのイケメンさんが近づいてきた。
道に迷ったのかな。
困ったな、あたしもこの辺りは詳しくないぞ。
「すみません」
ひえ、声をかけられた。
それだけでドキドキよ。
「プルム・ピコロッティさんですね」
あれ、何であたしの名前知ってるの?
「ダリオ・アロジェントです。ダリオと呼んでください」とにこやかにイケメンが右手を差し出す。
「は、はい、プルム・ピコロッティです。政府から派遣されました。プルムと呼んでください」
握手しながら、乙女心がヒートアップ!
さて、ライフルを届けにくるはずのサビーナちゃんがなかなか到着しない。
「お客さん、もう出発の時間ですよ~」とせかされる。
困ったなあと双眼鏡で探したら、乗合馬車の停留所にいるのを発見。
サビーナちゃんが鞄を持って、キョロキョロしとる。
サビーナちゃん、乗合馬車のほうに乗ってきたのか。
前にも言ったけど、乗合自動車と乗合馬車の会社は仲が悪く、同じ名前の停留所でも、かなり離れているんよ。
「ちょっと待っていただけますか」と運転手に言って、サビーナちゃんの方へ走る。
「プルムさん!」とあたしに気づいたサビーナちゃんが乗合馬車の停留所でぴょんぴょん飛び跳ねてる。飛び跳ねる暇があったら、こっちに近づいて来んかい。
「これを預かってきました」とサビーナちゃんから、細長い鞄と箱型の鞄を渡される。
中にはライフル二丁に銃弾が入っていた。
「ありがとう、じゃあ、フランコ長官によろしくね」
乗合自動車で、ラドゥーロ市西地区へ向かって、進む。
後ろを見ると、サビーナちゃんが乗合馬車の停留所でいつまでも手を振っている。
あたしが双眼鏡を向けると、今度は両手を振ってウサギのようにぴょんぴょん飛び跳ねている。
十九歳にしては子供っぽいんじゃないかい。
かわいいけど。
「それは双眼鏡ですか」とダリオさんに聞かれる。
「はい、最新鋭のです」とドキドキしながら答える。
「ちょっと、貸してもらっていいですか」
「どうぞ、どうぞ」
ダリオさんがいろんなところを見ている。
「随分遠くまで見えますね」
「王様の御下賜品です。表彰式でもらったんです」
「そうだ、あなたは確か、かの有名なドラゴンキラーと聞いてきましたが」
「ええ、まあ」
「そんな凄い方と一緒に仕事が出来るとは光栄です」
わーい、ダリオさんから光栄と言われた、嬉しいな!
ちょっと待てよ! お前、ドラゴンキラーと呼ばれるのはうんざりしていたんじゃないのかよ、相手がイケメンなら嬉しいのかよって? うーむ、とにかく嬉しいもんは嬉しいの!
「ダリオさんはルチオ教授と長年の友人なんですか」
「ルチオ教授とは友人というか、教授の講義を受けていた学生でした。十九歳のころからですね」
十年来の友人と聞いていたから、今は二十九歳か。
あたしは二十一歳、少し離れてるけど年齢的にはたいして問題ないわね。
は? 何を期待してんだって? 期待するだけならいいじゃないの。
「アロジェント家ってかなりの名家ですよね」
「はあ、まあ大したことないですよ。私は次男で、独り者で好き勝手にやらせてもらってます」
やったー! 独身だあ!
だから、何喜んでいるだって? だから、嬉しいもんは嬉しいの!
「ライフルをお貸ししますが、ダリオさん、ライフルは撃ったことありますか」
「ええ、いざという時のために習っておきました」
「ところで、ゾンビってどうすれば倒せるんですか」
「脳を破壊することですね」
ふーん、ホラー小説と一緒だなあ。
「私からはこの懐中電灯を貸しましょう」とダリオさんから鉄の棒みたいな物を渡された。
「おお、こんなものがいつのまに発明されていたんですか」
手で握れるくらいの棒で、先端に小さい電灯がついている。
乾電池なるもので点灯させる。
ランプより全然明るい。
午後四時頃、ラドゥーロ市の西地区モローゾ街に到着した。
あたしの故郷トランクイロ街の隣にある。
ここは、昔は中流家庭の街だった。
立派な石造りの家も多い。
ただ、どんどん貧民が住み始めて、中流の人たちは出て行ってしまった。
その後、スラム街みたいになったんだけど、今や、スラム街どころか、すっかり人が居なくなったようだ。
もう廃墟みたいだな。
崩れた建物が多い。
不気味な感じ。
ダリオさんと二人で歩くが、さすがにデート気分にはならない。
「フランコ官房長官が言うには、ゾンビを操っている奴がいるってことだったんですが」
「そうですね、もともとゾンビとは魔術師が死人を操るものです」
「ゾンビを操っている奴を捕まえればいいんですか」
「そうだと思います」
「一応、犯人はこの街に逃げ込んだと情報があったんですが、もしかしたら、もう逃げている可能性はありますね」
「それは、夜になれば分かるでしょう」
「なぜですか」
「ゾンビは、夜しか操れません。太陽が出てくると死体に戻ります。そして、操っている人物は、ゾンビのすぐ近くにいます。夜になって、もし、ゾンビが一切出て来なければ、もうこの街にはいないでしょう」
そう言えば、あたしがクティラ街の宿屋で襲われた時も一人だけ、歩き方がしっかりしている奴がいたな。
あいつが操っていたのかもしれん。
それにしても、もし、犯人がもう逃げていて、ゾンビが出て来なかったら、ダリオさんとずっとデート状態ってわけか。嬉しー!
お前はアホか、ゾンビと対決しようとしているのにって? うーん、そうだな、少し真面目にやるかな。
だいたい、フランコのおっさん、昼間に捕まえればいいとか言ってたけど、結局、犯人を捕まえるには、夜になるまで待つしかないんじゃないかい。
無理難題を押し付けやがって、四角い顔のおっさん!
ダリオさんとモローゾ街をかなりの時間歩き回ったが、まったく人のいる気配が無い。
陽が落ちてきた。
しかし、ゾンビが出る気配は無い。
何時間も歩き回ったので、疲れた。
通りに面した、人の居ない二階建てのアパートに入る。
二階に上がって、
「ここで少し休むことにしましょう」とダリオさんに言われた。
部屋はかなり荒れているが、スプリングが飛び出たソファセットがあった。
机の上にランプが置いてある。
まだ、油は切れてないみたい。
眠い。
横になりたいが、我慢する。
埃を払って、スプリングをよけて座る。
向かい合わせのソファに座った、ダリオさんが少し深刻そうな顔で言った。
「実は、ゾンビを操っている人物に心当たりがあるんです」
「え、誰ですか?」
「大学の同僚で、名前はマリーオ・バーバ。ゾンビ研究に打ち込んでいたんですが、ある日、なぜかゾンビを操れるようになったんです。操るのが楽しくなってしまったようで、それが大学で問題になって、その後、退職してしまいました」
なんか、クトルフ研究してたら、クトルフに憑りつかれたオガスト・ダレスみたいだな。
あまり頭が良くても、人間ダメになってしまうのかね。
「この犯人が、もしも、そのマリーオ・バーバとして、その目的はなんでしょうか?」
「うーん、ゾンビを操るのが楽しくなってしまったということは、結局のところ単なる愉快犯と言うことになるんでしょうか。ただ、なんで急にゾンビが操れるようになったのか、分からないんです」
「そのマリーオという人は、どうやってゾンビを操っているんですか」
「彼は黒い本を持っていました。それを使ってゾンビを操っていたようです。方法は分かりませんが」
黒い本! もしかして、『根暗な蜜柑』、じゃなくて、『ネクロノミカン』か!
「あのー、その本はデカくて重い本でしたか」
「いや、普通のノートサイズの本でしたね」
うーん、ネクロノミカンではないのかな。
「どういう背格好の人だったんですか」
「男性で中肉中背、眼鏡をかけて、目立たない感じでした。年齢は、確か四十代でしたか」
眼鏡をかけて、四十代か。
ますますクティラ街の奴と似ているような気がしてきたぞ。
「実は、マリーオさんがゾンビ研究にのめり込むのに心配になった私は、ルチオ教授に相談したんです。そしたら、ルチオ教授が大学当局に報告したんです。本人のためと思ったようなんですが、かえって恨まれたようです」
しょうがねーなあ、ルチオ爺さん。
やる事がちょっと迂闊だなあ。
「そうですか、ただ、ダリオさんが派遣されるとは予想していないでしょうね」
「うーん、そこまではわかりませんね。ただ、大学でゾンビ研究している人は少ないですね」
全くの静寂だ。
懐中電灯はもったいないので、テーブルの上のランプを点ける。
ダリオさん、どこから見てもイケメンだ。
ずっと、このままでいいな。
犯人、さっさと、どっかの外国にでも逃げてくれればいいのに。
真面目にやれって? すいません。
ダリオさんが牛肉の缶詰を出してくれた。
ちょっと、軽く夕食。
なんだかますます眠くなってきた。
眠いよう。
目の前にイケメンがいるのに、あたしとしては珍しい。
ここ数日、ちゃんと眠っていなかったからなあ。
そんなあたしに気付いたのか、
「私が起きていますので、少し仮眠してもかまいませんよ」
「あ、はい、すみません。では、お言葉に甘えて」
背もたれに寄っかかって、うつらうつら。
やはり目の前にイケメンがいるとちゃんと眠れないな。
頭の中は、ぼんやりと妄想デート。
もちろん相手は、目の前に座っているダリオさん。
キモイって? キモイですね。
うつらうつらしながら、あたしは目を瞑ってソファにうずくまっている。
周りも静かだ。
どれくらい時間が経ったんだろう。
ちょっと、目を開けて懐中時計を見ると、今は午前四時。
これはもう犯人は逃げて、ゾンビは出ないんじゃないかと思ったんだけど。
足音が外から聞こえてきたぞ。
これは普通の人間の足音じゃないな。
変な奇声や唸り声が聞こえてきた。
すっかり目が覚める。
「誰か来たようですね」とダリオさんが窓際からそっと外を見る。
あたしもその後ろから見てみると、十人ほどの人間がアパートに近づいてくる。
腐った匂いがしてきた。
歩き方がおかしい。
ランプの明かりで、あたしらに気付いたのか。
迂闊だった。
しかし、ゾンビが来れば、犯人もその近くにいるはず。
「あれはゾンビでしょうか」
「歩き方からすると、多分、そうです」
と言うことは、近くにいる犯人も見えるかもしれない。
懐中電灯で照らして、双眼鏡で辺りを見回す。
歩いているのは、青白く、皮膚が腐った感じの人間ばかり。
全員ゾンビだな。
操っている奴の姿は見えない。
ノロノロと歩いている。
最近のホラー小説で流行りの、オリンピック選手並みに走るゾンビはいないようだ。
「とりあえず倒すしかないですね」とあたしは、ライフルを取り出して、ゾンビの頭部を狙う。
額を打ち抜く。
一人が倒れた。
しかし、他のゾンビは気にせず、あたしたちのいるアパートの方へ、近づいてくる。
あたしは、次々とゾンビを撃つ。
一発も無駄にせず全て命中。
ゾンビたちは、全員地上に倒れた。
「凄いですね、プルムさん! 一人も外さなかった。それも全員、額のど真ん中に当てるとは」とダリオさんに褒められた。
「うーん、元警備隊員でしたので、訓練の成果です……」
イケメンに射撃の腕を褒められたけど、盛り上がらん。
死体とは言え、頭部を吹っ飛ばすとは、なんとも気分が悪い。
おまけにあたしの故郷、トランクイロ街の近くだから、もしかしたらあたしの知っている人だったかもしれんし。
たとえ死体でも嫌な気分だ。
「犯人を逮捕するため、下に降りましょう。近くに必ずいるはずです」とダリオさんはライフルと鞄を抱える。
あたしもライフルを持って、一緒に下へ降りた。
懐中電灯で周囲を照らしながら、二人で地上へ出ると、誰かが逃げて行く。
すぐ近くに隠れていたようだ。
眼鏡をかけて、手に黒い本を持っていた。
「おい、待て!」とダリオさんと追っていく。
男が角を曲がって、狭い路地道へ入っていった
あたしたちも、角を曲がって追う。
すると、何十人ものゾンビが待ち構えていた。
「まずい、罠だ」
一旦、後退しようと、振り向くと、後方からもゾンビが。
挟み撃ちにされた。
「建物の中に逃げましょう」とダリオさんと二人で、近くの安っぽいアパートに逃げる。
二階まで逃げて、階段をふさぐ。
「太陽が出るまで、応戦するしかない」とダリオさんもライフルをかまえる。
日の出まで、後三十分くらいか。
タンスや机など、そこら辺に置いてあったもので、バリケードを作る。
続々とゾンビたちが二階への階段を上って来るぞ。
バリケードの隙間から、ライフルでゾンビを撃つ。
ダリオさんも撃って、二人で応戦。
しかし、倒しても倒しても、それを乗り越えて次から次へとゾンビたちは迫って来る。
まずいね、これは。
ドカッと音がして、ついに、バリケード崩された。
慌てて、隣の建物へ窓から逃げる。
ダリオさんが飛び移り、こっちへ手を伸ばす。
「プルムさん、早く」
あたしも飛び移ったが、何人かのゾンビがあたしの右脚にぶら下がって、一緒に落ちそうになった。
ダリオさんがあたしを必死に掴む。
「ウギャ!」
右脚全体をゾンビに引っかかれたり、噛まれたりした。
やばい! ああ、もうお終いだ。
あたしはゾンビに変身するのか。
陽が上って来る。
ゾンビどもは、また動かなくなり、あたしの脚に喰い付いていたゾンビたちも地上へ落ちて行った。
あたしは、ダリオさんに引っ張り上げられる。
ゾンビに噛まれちゃったよ……。
あたしがすっかりしょげていると、
「プルムさん、どうしたんですか」とダリオさんが心配そうな顔する。
「右脚をそこら中、ゾンビに噛まれたんです。私、ゾンビに変身するんですよね」とあたしは泣きべそかきながら、ダリオさんに言った。
あたしがゾンビに変身したら、ダリオさんに頭を撃ちぬいてもらおう。
ゾンビになってまでこの世に居たくない。
恋愛も出来ないし。
だけど、ダリオさんに頭を撃ち抜かれるなら本望よ。
乙女のまま死ぬのは残念だけど。
恋した人に撃ち殺される、これも運命だから仕方がない。
何かロマンチックな感じさえする。
『花の命は短くて苦しきことのみ多かりき、命短し恋せよ乙女、恋をすれども成就が出来ぬ、成就せぬなら死を選ぶ』とヘンテコな歌があたしの頭を駆け巡った。
何というバッドエンディング。
主人公がゾンビになって終わり。
この物語もこれでおしまい。
ああ、みなさん、サヨウナラ。
って、読んでる人いたのかしら。
誰も読んでいないのに、主人公が死んじゃうって悲しい……。
すると、
「ああ、それは都市伝説ですよ。死体が操られているだけなんで、ゾンビに噛まれたからと言って、ゾンビに変身する事はありません」とダリオさんは笑いながら言った。
「あ、そうだったんですか」
何だ、ホラー小説の読みすぎね。
ホッとして気が抜けた。
疲れた。
休みたい。
ああ、緊張が解けて眠くなった。
昨夜もうつらうつらしてただけだし。
太陽が出ている間はゾンビは襲ってこないし、少し寝るかなとあたしが考えていると、
「プルムさん、ズボンを脱いでください」とダリオさんが言った。
「はい?」




