表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ドラゴンキラーと呼ばれた女/プルムの恋と大冒険  作者: 守 秀斗
第一章 うら若き十六歳の夢見る乙女/レッドドラゴン編
12/83

第十話:ドラゴンと軍隊の決戦

 大変、ドラゴンが湖の向こう岸、山の中腹に現れた。ドラゴンって初めて見るけど、凄いデカい。

 しかも、三匹。

 鱗が黄金色でいかにも強そう。

 横顔が凛としてかっこいい。

「ドラゴンだ!」、「三匹もいるぞ!」と兵士たちが騒然としている。

 前回は一匹だから、ドラゴン秘儀団、今回は大盤振る舞いね。


 よく見ると、ドラゴン秘儀団らしき黒装束の連中もその近くにいる。

 魔法使いらしき人物が何やら采配をふるった。

 ドラゴン三匹が飛び上がり、湖の上をこっちに向かって、翼をバッサバッサと羽ばたいて近づいて来る。

 やばい!


 赤ひげ隊長、顔面真っ青。

 しかし、気を取り直して、

「か、かかれー!」と兵士に突撃命令。

「ウォー!」と叫んで、銃を持って突撃する兵士。

 ちょっと無謀じゃないかい。


 あたしはリーダーに声をかけた。

「リーダー、ちょっと隠れて様子を見ましょう」

「お、おう」とリーダーも緊張している様子。

 うちらのパーティは頑丈そうな大岩の陰に隠れた。


 兵士がドラゴンに向けていっせいに鉄砲を発射。

 うーん、何発か当たってるけど、ドラゴンにはあまり効いてないみたい。

「強弓を使え!」と赤ひげ隊長が大声で指示する。

 ブルーノ中佐の指揮で、兵士たちがでっかい弓をドラゴンに発射。

 しかし、ドラゴンたち、簡単によける。


 その間に、セルジオ大佐が指揮して、一分間に二百発ぐらい連射出来るとかいう機関銃を三台設置してる。

 機関銃が発射されると、もの凄い速度で銃弾が飛び出てる。

 おお、これは凄い。

 ドラゴンたちやや後退。

 これは効いてるかと思ったら、一匹のドラゴンが口から炎を吐く。

 機関銃を操作してた兵士が全身火だるまになって、悲鳴をあげて転げまわる。

 ひえー! 兵士さんかわいそう。

 かえって、ドラゴンさんを怒らせたみたい。

 鉄砲が蚊に刺されたとすると、機関銃はミツバチに集団で刺されたみたいな感じですかね、ドラゴンさんにとっては。


 兵士たちが動揺して、後ろに下がってくる気配。

「全員、一歩も引くな!」赤ひげ隊長、怒号を上げて兵を叱咤する。

 さすが将軍。

 踏ん張ってますね。

「ひるむな、突撃!」と兵士に攻撃させてる間に、後方で、例のバカでかい大砲を用意している。

 これならドラゴンを倒せるかな。


 ロミオ少佐が指揮している。

「ロミオ様ー! かっこいいー!」

「ロミオ様ー! 早くドラゴンをやっつけてー!」

 アデリーナさんとサビーナちゃんがキャーキャー声援しとる。

「ロミオ様ー!」とか言ってる場合じゃないと思うけど。


「こいつが命中すればドラゴンでも倒すことが出来るぞ!」と赤ひげ隊長が豪語してる。

「さあ、ドラゴン、もっと近づいてこい! 俺様に逆らうとどんな目に遭うか、思い知らせてやる」と腕を組んで仁王立ちでかっこつけている赤ひげ隊長。


 ロミオ少佐が命令を出した。

「用意! 狙え!」

 ドラゴンが精鋭部隊の前線の上で、翼を羽ばたいて空中でとまっている。

 絶好の狙い目ね。


 ロミオ少佐が叫ぶ。

「発射!」

 ドラゴンに命中か、と思ったら、味方に誤爆。

 大勢の兵士が空中に吹っ飛んじゃった。

 大丈夫かなあ。


「何してるんだ!」と赤ひげ隊長が激怒して、後方にいるロミオ少佐に向かって叫んでいる。

「いや、これでいいんですよ」とニヤリと笑うロミオ少佐。

 えっ、裏切りですか。

 前からはドラゴン、後ろから巨大な大砲。

 精鋭部隊、絶体絶命だ。


「ロミオ様が裏切るなんて! 信じられない、嘘よ! ああ、ロミオ様ー!」アデリーナさんとサビーナちゃんがショックを受けとる。

 だから「ああ、ロミオ様ー!」とか言ってる場合じゃないっちゅーの。

 半数の兵士が倒れてるぞ。

 もう撤退するしかないんじゃないかな。

 よく見るとロミオ少佐の胸にドラゴンペンダントが。

 こいつ、ドラゴン秘儀団の仲間か。


 おっ、情報省のクラウディアさんが情報省員と一緒にやってきた。

 走ってきたので、髪が乱れ、息も乱れとる。

 それでも美人。

 あたしは、クラウディアさんの方へ走っていった。


「もう少し情報を集めてから、ドラゴンを攻撃するんじゃなかったんですか」とクラウディアさんに小声で聞く。

「ロミオ少佐がアレサンドロ将軍を焚きつけて、軍を勝手に動かしたようなんです」

 うーん、宿屋の主人とか仲間が捕まったから、ここで一気に、ドラゴンと大砲使って挟み撃ちで、精鋭部隊を壊滅させるつもりだったのかな、ドラゴン秘儀団は。


「クラウディア様はアレサンドロ将軍を止めなかったんですか」

「そ、それが、その……」何やら恥ずかしそうにモジモジしているクラウディアさん。

「申し訳ありません。その頃、私、うたた寝しちゃってて……」 

 ありゃりゃ、美しすぎる美人クレリックで情報省員のクラウディアさんが『うたた寝』って、完璧美人でも昼寝するのか。ベッドで大の字になってスカーッと昼寝でもしてたの? 

 ちょっと親近感がわいてきた。


「ロミオ少佐はドラゴン秘儀団の仲間ですよ。胸にドラゴンペンダントを下げてるのを見ました」

「ええ! そんな、どうしましょう」クラウディアさん、ショックを受けて、頬に両手をそえてオロオロしとる。

 クラウディアさんもロミオ様のファンなの?


「ロミオ少佐は急に参加を願い出てきたんで、時間も無かったし、身辺調査は私の判断で簡単な報告で済ましたんです。有名な方ですし、大丈夫と思ったんですが……私の責任ですね」とちょっとうつむき加減で涙目になっているクラウディアさん。涙目でも美人ね。

 まあ、えらい心労をかかえてたからね。精神的につらくなってるのかもしれない。

 心労って何だって? もうすぐわかります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ