第42話「For フルーツバスケット」
僕は、いつ壊れたんだろうか?
それとも、まだ壊れてはいないんだろうか?
僕個人の精神状態は常にギリギリではあるが、
ひとりで居れば安定は保たれている気がする。
いつ壊れた、
小三で学校を諦めた時か?
そうして、人に無視されてきた時だろうか?
ナオト、セイゴ、コバタンと決別した時だろうか?
それが恥ずかしくて情けなくて家族に話す事を諦めた時だろうか?
借金を抱え、バンドを辞め、倖子君まで失った時だろうか?
それから、幻聴で「死ね」と毎日聴かされ続けてきた時だろうか?
それに疲れて自殺未遂を繰り返していた頃だろうか?
両親の確かな老いを感じた頃だろうか?
父の遺体を見つけた時だろうか?
母が認知症で会話がままならなくなっていた時だろうか?
それとも、
今も壊れ続けているのだろうか?
現状は、生まれてこのかたなかったくらいには幸せだと思っている。
それでも僕は弱い。
健全な精神状態とはとても言えない。
僕は依然として、チンピラ以下で卑怯でズルくて汚い。
眩しいものを消し潰そうとする、闇の中に身がある。
どれ程の人々に支えられ、恵まれているかも知ろうとせずに。
でも、僕は僕を、許す、しかない。
少なくとも僕よりも暗いお方々に失礼だから。
だから、起こる事を全て受け入れねばならない。
僕は、倖子君と、出会った全ての人たちに出会う為に生まれてきたんだ。
善行もすれば、悪行もする、だからやらない方が良い事が解る。
成功は失敗の積み重ねありきだ。
できる事なら、僕の知ってる崖は回避してもらいたい。
痛い目をみないと学べないなら、仕方ないですが……。
僕が壊れているかどうか、僕自身にはもう判らない。
あるがままで朝昼夜の恩恵にあずかるしかない。
幸不幸もどちらにしたって、
与えられたら――……、
感謝して楽しむしか、笑うしかない。
よわいものはゆるすことができません
ゆるすことはつよくなるためにひつようです
ぼくにはとてもむずかしい
歌・作詞・作曲 岡崎律子




