表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
早水家の日常  作者: 恋刀 皆
14/57

第14話「手をつないで」

 今日の七夕のお天気はどうだろう。

どうか、織姫様と彦星様が出逢えますように。


 僕も年に一回だけで良いから、倖子君に逢いたい。

だけど、僕の片想いだから、誰にも同情されたいとは思わない。


 人は付き合うべくして付き合い、フラれるべくしてフラれる、

のかもしれない。


 結婚を夢見ていた頃はあったけれど、

僕が誰かと付き合えても、とても長続きはしないだろう。

結果は100%僕がフラれて、おしまい、だ。


 結婚は良いものかもしれないが、独身は気楽ではある。

僕にはもう将来の展望もないし、自身を処す必要があるだけだ。


 国が野垂れ死ねと言うのなら、それぐらいの罰は許容したい。

僕の中にある倖子君のイメージが失われなければ、

わずかな希望は抱いてゆける。


 もしもまさかの坂がやってきても、もう人生に未練はない。

創作も現在はやりたい事が全てできているし、

物語は生きている限り僕の中に存在し、生まれ続ける。


 僕は倖子君という光に向かって飛び続ける虫さんのようなものだ。

いずれにしろ死が待っていても飛び続けるしかない。

僕のしている努力は滑稽でとんちんかんなものだ。

建設的なスタート時点に立てない以上、ひとりで歩んでいく。


 だけど、毎日、

倖子君をはじめとした大勢の人のイメージは感じている。

孤独じゃない。


 倖子君と家庭を持ちたいと想ってはじめた創作だけれど、

現実と夢が乖離を起こしてしまい、身動きがとれない。


 倖子君と何がしたかったのだろうか?

本能に従うのであれば子作りなんだろうけれど、

現実の倖子君に性的欲求を抱いた覚えはない。


 あったとすれば、手と手をつないだ夜の時だろう。

そんなシンプルなきっかけで、19年片想いを続けてきた。


 セックスもキスも愛する者とするのであれば、それは素晴らしい事だろう。

だけど、夢は見ても現実、僕は、醜過ぎる。


 手をつないでくれるだけでいい。


だから、僕の想いは、全て成就している。








手をつなぎたいと想える相手がいるだけで、十分に倖せな事だ。

 


きみがうつるせかいがみたい

ありがとう

あいしてる

歌 ユンナ 作詞 佐藤永麻 作曲・編曲 mo'doo-

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ