第14話「手をつないで」
今日の七夕のお天気はどうだろう。
どうか、織姫様と彦星様が出逢えますように。
僕も年に一回だけで良いから、倖子君に逢いたい。
だけど、僕の片想いだから、誰にも同情されたいとは思わない。
人は付き合うべくして付き合い、フラれるべくしてフラれる、
のかもしれない。
結婚を夢見ていた頃はあったけれど、
僕が誰かと付き合えても、とても長続きはしないだろう。
結果は100%僕がフラれて、おしまい、だ。
結婚は良いものかもしれないが、独身は気楽ではある。
僕にはもう将来の展望もないし、自身を処す必要があるだけだ。
国が野垂れ死ねと言うのなら、それぐらいの罰は許容したい。
僕の中にある倖子君のイメージが失われなければ、
わずかな希望は抱いてゆける。
もしもまさかの坂がやってきても、もう人生に未練はない。
創作も現在はやりたい事が全てできているし、
物語は生きている限り僕の中に存在し、生まれ続ける。
僕は倖子君という光に向かって飛び続ける虫さんのようなものだ。
いずれにしろ死が待っていても飛び続けるしかない。
僕のしている努力は滑稽でとんちんかんなものだ。
建設的なスタート時点に立てない以上、ひとりで歩んでいく。
だけど、毎日、
倖子君をはじめとした大勢の人のイメージは感じている。
孤独じゃない。
倖子君と家庭を持ちたいと想ってはじめた創作だけれど、
現実と夢が乖離を起こしてしまい、身動きがとれない。
倖子君と何がしたかったのだろうか?
本能に従うのであれば子作りなんだろうけれど、
現実の倖子君に性的欲求を抱いた覚えはない。
あったとすれば、手と手をつないだ夜の時だろう。
そんなシンプルなきっかけで、19年片想いを続けてきた。
セックスもキスも愛する者とするのであれば、それは素晴らしい事だろう。
だけど、夢は見ても現実、僕は、醜過ぎる。
手をつないでくれるだけでいい。
だから、僕の想いは、全て成就している。
手をつなぎたいと想える相手がいるだけで、十分に倖せな事だ。
きみがうつるせかいがみたい
ありがとう
あいしてる
歌 ユンナ 作詞 佐藤永麻 作曲・編曲 mo'doo-




