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浮遊と墜落

作者: 蕃 茄子


たまにありませんか、たまに、心がほわっと浮くような感覚。

なにかをやり遂げた時とか、綺麗な眺めを見た時とか、何気ない太陽の下でもあることだって。優しさが溢れている人を見た時とか。

ほわっと、しません?心の中が、心臓だけが綿あめみたいになるとき。

優しくて、目を閉じると、私はそこにいません。

いるのに、いないっていうのは傍観的に自分の状態を知りたいから。

心の中と体の合致は絶対ではないから、こうしてても、こうは思われていないんだなとか。

そうして、私という人間はどこからきて、どこで果てるのか。

というものが根源でさらに根深く深く、奥へ。深く深く、奥へ。

一生、付き纏う種子なんでしょう。雑草と同じで抜いて抜いても根元から抜かなきゃ断たれない。でも、それが叶うならたつのは命しかないですね。絶つ。代償はない。


目をこすって、ぼやけて合わない焦点が少しの間のことでも、これがずっと続く人ってどんな思いをしているんだろう。そんな、ことも思ったりして。

舐めてるような、私としては大真面目な疑似体験だなって、VRがなくてもなんとかなるでしょって、無理は頭の中に頼って、イメージで固めよう。

人が人ではない日が来るとしたらそれはもうこの世界に訪れているだなんてことを言ったところで戯言くらいの、軽い気持ちで、ただのそれっぽい、で終わりそうだから。

云々は気まぐれの褒め言葉なら受け取ってあげるけど、それが常時説明力にかける反抗なら、徹底的に私は嫌いをぶつけるし、関わらないし、見たくもない。

仕方ないの対象なら、こっちも仕方ないを被る。墜ちて、どぼんと、沈んでく。深々と、下へ下へ、緩やかな速度で。


ありますよね、ほわっと。あ、心臓だけが飛び出て、落ちる。そのまま降下する感覚。それも然り。

スリルとは、混同しないでください。あれは、信号みたいな、狼煙みたいな。

静かに、または、急激に。落ちる。

なんでもない日に限って、ガス欠してしまうのは、調子に乗って使いすぎたか、気が緩んで忘れたか。歩けなくなるのも、ですよね。スイッチなんて付いてる訳ないのに、訳なかったら、付けたらいいのかも。それはどこからどういう回線で、配線で繋がるのだろうか。

付けても、切ることなんて、切れることなんて、例え1人でいたって、ない。

ないよ、まずない。

ペンチでどこか自分で切ってしまったんだと思うの。線。回路が違ったり、多かったり?

何百通もあればいいけど、無限にはなれないから。限りが追いついて今は何周目なのかな。

根は腐っていくのに、全然、引き抜けないのは、柔らかくなって途中で千切れてしまうから。


新しい葉は瑞々しくて、掘れば自主規制の根っこ、とか、それがありふれていることになんら、不思議を与えないのは、葉が綺麗すぎるせいかもしれません。

どのみち、深く深く、奥にいってるもんだから、届きやしないと思うけど。

ボーリングでも用意してやんなきゃ、でもさ、ほら、全部ボーリングするとかありえないでしょ。ノルマにしたって、有限の中でもさ、時はさ、流れるもので結局、届かない距離にいってしまうんだよ。

限界はあるもので都合よく、魔法なんて使えません。超能力は習得出来ません。もしかしたらって、そのもしかしたらだって、限界がきてしまうものなんだよ。

逃げてもいい気がする、そうさせてくれるのは幸あること。逃げを学ばず習わず、それが偉いって、すごいって決めてなにに使うの?それだけの評価、紙切れ同然。破産宣告の無害版的な、例外はもれなく別で、そんなスタンスでいいよね。

助けてって値段にすればどのくらいの価値がつく?腕時計と比べてもピンからキリまで。

ただし、選べるか、選べないかで。

選択したって、決めるのは自分じゃない。相場を予想して掲げられた提示価格で納得いくかいかないか。お気に入りを見つける楽しさは秒針に刻まれて、悲鳴は安く買い取られて。

情も情けも変わりないって、ほとんど変わらないって、見ればなんとなく分かるし、それでも違うと思うし、そう言いたいし、認めたくない。これっぽっちの主張も轢音に掻き消されて、ずっと、そこで、乾いていくだけみたい。


ざぶんと落ちてしまえたら、墜ちても大丈夫、浮いていても安心感。

それが、汚泥、の蓄積した沼でも、硬い地面に叩きつけられるよりも断然、そっちを望む。

強がっても、前にもいたよね、っていうのがあるから、しょうがないなっていうのと若しくは、笑えるって貶されるかだろうな。

埋まらないピースで埋められた体はテトリスみたいにぴったりとはまって抜けないの。

また、上からどんどん、上から沈められて、もう、浮けないように。

落ちたら、浮遊できなくなってしまう、その証拠は既に出回っていたり。

文字列に並ぶのは、わくわくして、特別な出来事のようで、戻らないようずっと、前の人に合わせて進んでいかなきゃ。

忘れ物をしても、取りに行ったらまた、だってね、並び直し。

濁流が突如として飲み込んで、文字が砕けても、それもそれで芸術だって、エクセレントって、手を合わせてくれる無法者はどこにいるか、探しても、なかなか、見つからない。

偶然を待って、停留所で傘を差しているのには、退屈だ、果てがない。それも味があるけど、停まる乗り物は、霊柩車ばかりだから、私はまだ、乗れないよ。

乗れないから、ここから、ずっと、いるここから、ここから離れなくちゃ。

飲み込まれてしまうのは故意であってほしい。水溜りがいつか、湖に変わってしまった時にでも、もう一度戻ってこようと思うの。戻る?ううん、訪れる、がいいのかも。


瞑った分だけの時間は取り戻せないから、過ぎていく時間で、見えない一瞬があるのは、なんだか苦しくて、というより悔しくて、何分目を開けていられるかっていうのを、繰り返した。繰り返しても閉じた分はやっぱりあるわけで、リセットされるわけでも切り捨てられるものでもない。

それに集中した時間の方が有益ではないと気付いてから、無意識に置いていって、存在に餌をあげることもやめた。やめたけど、多分ね、それは自力で追いついてくるんだよ。

手抜きをしたら、失敗した時に責められるのは自分です。はい、そうですね、くらいでこさえた感情をトカゲの尻尾と重ねている、この私はきっとその尻尾の大部分。

遠のくたびにぽやぽやして、忘れてしまうんだと思うよ。確かなものから順に。

考えたくもない風邪を最後まで取っておいてさ。

かかりつけ医はとっくに死んだ。そんなものありゃしないんだろうけど、あるって忠実に具現化したものがあるなら、誰もそれをないとは言わない。誰だって、あるだろって野次を飛ばすの。おおよそ、中立にやじろべぇがいるかいないか、気にしたところでそれは試行錯誤してもやじろべぇ、その一点。だってね、倒れてしまったら起き上がれないもの。

手を貸してくれる人は一体、何本の手を伸ばせる?

折れていくのは芯ではなく、骨組みなのに、欺くのが優しさというのは、つまりは、それが真実だよって頭を撫でてくれる手の暖かさを利用してのことですよね。

糧になるのはヨレて埃を被った知識が大元を占めて、それは目を向ける、のではいいだろう。でもね、それが生き写しになったら支配されたら、意思こそが思い込みの元凶に、なってしまう。動くのはあくまでも、自我であれ。


息を吐くと、何回魂が抜けたのか、息を吸うと、どのくらい魂が戻るのか。

目分量で計れないから、見えたらね、人間は不死になれたのかな。

50歳が今の20歳ならもっと長く青春とか、若いうちに、っていうものを謳歌出来たかな。

魔女が裁判にかけられた時、きっと私が惨殺するのは双方で、人魚が歌った時に欲しいと思うのはその喉仏。でしょう。淡いだけの似顔絵はシュレッターにかけていくの。

舞うことはなくて、浮くだけのね、生み出すものが疎ましくたって、支持されるなら支援するかしないか、また、興味がないかでさ、済ませるしかないよね。そこでさ、ないものにすることは出来ないから。出来たらやり直しがきくの?成功とかいうものになるの?

崇めて救われた人は、救われたで終わるでしょう。布教者が消えたら、生まれるのは新たな崇拝者、そしてさ、それでもさ、変わるものは変わるでしょう。

1ミリでもズレたら、1ミリの修正は、困難。かな。気づけないよ、大広間で大勢の子が戯れていたら。積み木は流行らなくなったなぁ。


たまに、たまにありませんか、たまに、心がほわっと浮くような感覚。

または心臓だけが飛び出て、落ちる。そのまま降下する感覚。


どっちにしても、さ、似てません?


浮遊と墜落





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