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ArkRoyalを吸う君が好き  作者: 月下白明
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プロローグ

初めまして。

月下白明(ツキモトアカリ)です。

初投稿、初執筆です。御手柔らかにお願い致します。

梅雨が開けてまもない頃。

太陽がちょうど真上に来て僕らを焼き付ける時間、いそいそといつもタバコを買っている宮本タバコ店に入った。

いつも吸っているタバコが切れたため午後の授業までに買って学校に戻らないといけない。

それなのにレジでは店主のおばちゃんとOLの人が喧嘩をしていた。

次の授業が始まる10分前、ようやく喧嘩が終わりお会計を済ませようとしたその時、先程のOLが僕の手に握られていたタバコを取りレジに差し出した。

OLは、

「ごめんね待たせてしまって。これお詫びとして奢りね。」

と言って支払いを済ませたタバコを僕の胸元に投げた。

一目惚れをした。

それからと言うものの僕、平沢裕司(ひらさわゆうじ)は何も手につかないほど風船のようなふわついた状態になってしまった。

昼間の彼女はどこで働いているのだろうか、彼氏はいるのだろうか、考えるだけで胸が苦しくなった。

お陰で午後の授業は全く頭に入らない。

ボーッとしながら帰路につく。

今日は金曜日で街は仕事終わりのサラリーマン達で賑わっており、どこの居酒屋もパンパンだった。

そんな店の横にスッカラカンの居酒屋が一件佇んでいた。

その店は僕の体を吸い込むかのように引き寄せ、無意識のまま戸に手を掛け開かせた。

店内には女性が1人カウンターで寂しそうにタバコを吸いながらビールを呑んでいた。

またもや体が勝手にその女性の隣へと動く。

そして、隣に座りチラッと顔を覗いた。

なんと、昼間に出会ったOLだった。

思わぬ偶然で思わず声を漏らしてしまった。

彼女はそれに気付きこちらを見て、

「あれ昼間の学生くんじゃない?」

と同じような調子で話しかけてきた。

僕は慌てて、

「先程はありがとうございました!」

とお礼を言った。

彼女は歯を見せながら、

「いいってことよ! それより呑まないの? ここであったのも何かの縁だ折角だし一緒に飲もうじゃないか!」

と僕を誘ってきた。

男らしい口調とは裏腹に小さく整った顔、黒くサラリといい香りのする長髪、程よく豊かな胸。

そんな彼女にドキドキしながらビールを注文し、一気に飲み干す。

正直、酒はあまり強くない。

特にビールは体にあっていなく、すぐにフラフラになってしまう。

先程から体が言うことを聞かないせいで無意識に苦手なビールを飲んでしまった。

体は正直ですぐに目の前が歪み始めてそのまま机に突っ伏して寝てしまった。

目が覚めると、知らない天井が視界に入った。

ガンガンする頭を抑えながら体をゆっくりとお越し辺りを見渡した。

そこは女性の部屋だった。

化粧品が並べられた机、女物のブランドバッグ、脱ぎ散らかされた下着。

いくら目をこすっても変わることは無かった。

その時、後ろから、

「気が付いたかい学生くん?」

と聞き覚えのある声がした。

ゆっくりと振り返ると、Tシャツに下はパンツだけのあのOLが後ろでタバコを吸っていた。

「お水飲むかい? 気持ち悪くは無い? トイレは廊下にあるから。」

と痛い頭に一気に情報が入ってくる。

深呼吸をして冷静になると遅れて驚きがやって来た。

「そんなに驚くことは無いよ。ここは私の家さ。誘拐じゃなく君を介抱するために連れて帰ってきたのだから感謝したまえ。」

とタバコ片手にOLが話す。

「あっ! そういや名前を言うのを忘れてたね。私は紅谷海咲(あかやみさき)。OLだよ。年齢は〜・・・・・・ひ♡み♡つ♡。なーんてね! 25だよ。よろしくね。」

こちらもしなければと思いオロオロしながら、

「ひ、平沢裕司です。専門学生で20です。ご迷惑をおかけしてしまい申し訳ありません。」

とお礼をしながら自己紹介をした。

「よろしくね裕司くん。君は今日から友達だ! 早速だが連絡先を交換しないかい?」

海咲さんはスマートフォンを僕に向けてニッコリと笑った。

僕のまだ始まってもいない夏がフライングでスタートした。

挿絵を描ける腕があればなぁ。

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