教えてエルンスト先生
短い話なので一挙更新します。
「はい、では今日は魔法に関する質問に答えていきます。アリシア、何かありますか?」
「呪いの見分け方を教えて」
エルンストにできて師匠にはできない事だ。何か特別な魔法なのだろう。出来ることならば私も使えるようになっておきたい。
「鑑定の魔法は闇の魔法なんですよ。ロベルトは意図的に使わないようにしています。」
「えっ……てことは私も使わない方が良い?」
「ええ。ダークエルフがどんどん闇魔法を使っていったら最終的に魔族になってしまう可能性が出てきます」
てっきり物事を明らかにすることから光の魔法かと思ったら闇の属性だったとは。自分で魔王化を防ぐ手立てを持っていたかったのに……うん?あれ?
「いろいろな異世界の魔法が乱立している状態なんだよね?鑑定が闇魔法とは限らないのでは?」
「今まで何人か、この世界に転移してから鑑定魔法が使えなくなった人がいます。その人たちの魔法のもとである神や精霊がこの世界にいなかったり、魔法以外の『能力』であったりした人たちです。今現在定着しているのが闇魔法による鑑定だという事です」
鑑定はどちらかと言うと魔法よりもスキルだったりすることが多いものね。
「どうして闇魔法なのかわかる?」
「闇から光は良く見えますが、光から闇は見えにくいからです」
なんか抽象的な答えだなあ。
「普通の人が闇魔法を使っても平気なの?」
「ダークエルフや貴女のように闇が肉体に表面化して出ている種族でなければ平気です。」
「ウィルなら平気だって」
「うん、覚えたら次の秋祭りはエルンストじゃなくて僕と一緒に回ろうか。僕にとっては最後のお祭りだからね」
ウィルの言葉にエルンストが慌てている。もしかして教えないつもりだろうか。悪い先生だなあ。
「テッドは光属性の剣を手に入れたけれど、光魔法は使えないの?」
「魔法の素養が無い人でも使えるようになることがあるのですが、テッド君はそれすらも使えない体質でした。まあ、たとえ使えなくても光属性のモンスターはほとんどいないので大概の敵に大きなダメージを与えられますが」
テッドがしょんぼりしている。垂れた耳としっぽが見えるような気がする。
「先祖にいろいろな世界の人たちがいていろいろな種類の魔法が使える『血』を受け継いでいたとしても、本人に素養が無かったら全く使えないという事です。テッド君の子や孫は使えるかもしれませんが」
「いいよ、魔法なんか使えなくたって俺は剣を極めるからな」
ウィルと私で拍手をしながら「テッドかっこいいー」と声援を送る。テッドはえっへんと胸を反らした。
「師匠が治癒魔法を使えるのに私が使えないのはどうして?」
「ドラゴンの血自体に治癒能力があるのは前に話しましたね。そのことからもともとドラゴンや王族は治癒魔法が不得手な人が多いようです。自分の血と効果が重なってしまうからでしょう。加えて貴女は闇属性の体質なので、無理という事です」
「ドラゴンの血で誰かを癒すときは、どうやればいいのか知ってる?……そんなに怖い顔をしないで、万が一の時に備えて言っているんだよ。」
誰かが救えなくて魔王になってしまう可能性が一番高いから。
「一滴、経口摂取です。口の中にさえ入れば効果はあります。ただし、それ以上与えると拒否反応が出る可能性があるので一滴だけです。欲をかいて不老不死になろうとコップ一杯飲んだ愚か者が昔いましてね。意識を保ったままの肉の塊になりました」
怪談話でもしているかのようなエルンストの表情と声色が怖い。気を付けないと。
「師匠とエルンスト、どちらが強いの?」
「魔法に関してだけで言えば私の方が強いです。戦闘に関してはロベルトの方が強いでしょう」
「ウィル君は何か無いですか?」
「最初の授業よりも呪文の語感やイントネーションが変わってきた様な感じがしますが…」
「先祖が様々な異世界から転移していると、使う魔法や属性ごとに呪文の相性が変わってきます。ある程度多岐にわたって教えていますが自分でもより効果的な異世界の呪文を探ってみてください」
「以上。今日はこれで終わりにします」
「有難うございました」
うちに帰って夕ご飯を食べながらばば様に今日の授業内容を話す。
「魔法ならわしも使えるぞ」
「えっ、どんな魔法?」
「料理がおいしくなる魔法じゃ。」
「愛情たっぷりの魔法だね!」
段々書いていて分からなくなってきたので魔法のまとめです。Q&Aの形にしようか迷いました。私が考えていなかった設定までエルンストはするすると答えてくれます。こんな事ってあるんですね。




