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私が魔王になる前に  作者: よしや
第一章
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おしゃれ

 冬支度をしなくていいのはかなり助かる。薪や食料を蓄えたり、防寒着の準備をしたりと、収穫の後からかなり忙しい地域もあるそうだ。

 この村は比較的温暖な地域にある上、じじ様の多大なる貢献によって、さして問題なく過ごせる。魔石による暖房や明かりがあるので薪は必要ないし、食料は冷蔵・冷凍ができ、冬場でも収穫できるものも栽培している。

 

「ちょっと小さくなってきたかな……」


 問題は防寒着だ。成長しきった大人であれば毎年買い替える必要なんてないのだろうけれど、今の私は育ち盛り。コートやセーターはまだ少し余裕があるけれど厚手のズボンの丈が短くなっていた。……足が伸びたのはちょっとだけうれしい。

 村の中でも作る人はいるにはいるのだが、買ってしまった方が安上がりだ。


「大きくなったのう。大分余裕を見ておととし用意したんじゃが……」

「買い替える?今年は我慢して来年にしようか」

「来年は他の物も買い替えることになりそうだから、今年買った方が良いかもしれん」


 一度にたくさんの出費になるのは大変だからね。リタさんが来たら声を懸けてみよう。

 行ってきますと言って暖かい家を出た。




 道場に着くと暖房が付いていた。去年の冬の始めはついてなかったのに。


「エルンストに急かされてて早めにつけたんだ」

「使えるものは使うべきです。宝の持ち腐れなんてもったいない」


 エルンストも寒さは苦手らしい。夏でも暑苦しい格好をしていたのに、冬はさらに着込んでいる。着ぶくれしていて大きなお饅頭みたいになっている。足元見えているのかな?


「ロベルトは筋肉バカだから冬でもそんなに寒くないんでしょう。寒いと思う前に走り回るようなやつですからね。これだから…ぅあっ」


 しゃべり続けるエルンストに師匠が足払いを懸けて転がした。手足をじたばたさせて起き上がろうとするエルンスト。一度動きが止まったかと思うとぜぇはぁと乱れた息を整えて、再度じたばたし始める。


「さー授業始めるぞー」

「「「はーい」」」


 起き上がらないエルンストは授業が終わるまで横になったままだった。




 広場へ行くとリタさんがお店を広げていた。温かそうな格好をしているけれど露出が多い。ミニスカートにロングブーツってがんばるなぁ。


「アリシアちゃーん、防寒具いくつか持ってきたんだけど見てく?」

「はいっ、ぜひ、あっ、ばば様呼んできますね」


 商売人の嗅覚ってすごいね。こんなタイミングで欲しいもの持ってくるなんて。ばば様と一緒に品物をいろいろ見ていると、リタさんが厚手の刺繍が施してあるスカートを出してきた。


「アリシアちゃんはスカート履かないの?」

「森を歩いたりするのであんまり履きませんね」

「せっかく可愛いのに、もったいない。」


 そうはいっても枝や草花に引っ掛ける可能性も捨てきれないのだ。村の外へ出かけることもないから、お出かけ用もいらない。


「これと…替え用に少し大きなこの辺かな?ばば様お金大丈夫?」

「子供がそんな心配せんでもええ」


 寒さ対策のため選んだ二つとも飾り気が無く、色も濃紺と茶色の地味な物だ。

 馬車の荷台の幌の内側のカーテンを閉めると簡易試着室になった。大きな方は裾を折り曲げてサスペンダーをつければ大丈夫そうだ。来年はちょうどいいくらいかも。


「ねえねえ。買わなくてもいいから試着してみない?」


 リタさんとばば様によるコーディネートでファッションショーが始まった。真っ白いファーの付いたコートや襟にリボンのついたレモンイエローのワンピース、裾に大きな刺繍の入ったスカート……この村に私ぐらいの女の子はいない筈なのに、なぜか可愛らしい服がたくさん出てくる。

 ―――そう、同年代の女の子のお友達を作ろうとしたらいなかったんだよ、この村、がっくり。

 二人が選んだものを着て試着室から出るとキャーかわいーと手をたたいて喜んだ。二人とも服を選ぶ目がキラキラしていて、なんだか私も嬉しくなってくる。


「おまたせリタさ……ん…」


 何度目かの試着を終えてカーテンを開けると、そこにいたのは師匠とエルンスト、ウィル、テッドだった。


「おーやっぱ女の子だなー」

「呪いの類はかかっていないみたいですね」

「似合ってるよアリシア」

「うん、似合ってる、…か、かわいい」


 段々顔が熱くなってきて顔から火を噴きそうになった。恥ずかしさに慌ててカーテンを閉じる。なんで、さっきまでいなかったのに。カーテンの隙間からそーっと覗いてみると大人たちは話をしていて、ウィルとテッドだけじーっとこちらを見ている。テッドの顔が少し赤い。

 覗くのを止めて元の服に急いで着替える。カーテンを開けて外に出ると、皆が残念そうな顔をした。


買い物を終え、「ばば様、早く帰ろう」と袖を引っ張って、家路を急いだ。私の顔、赤いだろうか?


七歳で恋愛要素は必要でしょうか。

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