誕生日
七歳の誕生日になった。この辺り…か、この国か…この世界かは分からないけれど、ここでは誕生日を祝う習慣がないらしく、去年と同じくばば様と二人でケーキを食べた。
ばば様の誕生日を訊いてみたけれど、日本の日付とこちらの日付が同じではないのでわからないらしい。じじ様がいたころは結婚記念日と転移してきた日が同じなのでその日をお祝いしていたけれど、今は悲しくなるから嫌だ、と。
祝われるばかりなのは申し訳ない気もするから、お手伝いをたくさんしよう。
一年を振り返ってみる。村に行っていろんな人と出会った。師匠、テッド、ウィル……他にもいろいろ。 守りたい人や無くしたくない物が増えるのは、良いことだ。純粋にうれしいのもあるけれど、それだけ私を人にとどめておく鎖になるかもしれないから。
そういえば、ばば様と二人きりの時はよく森へ行っていたけれど、最近は調合の材料を採るときぐらいしか行かない。家の周辺しか歩かないけど、森から結界の外へ出ることもあるのかな?今度試してみたい。勿論、通行証を持って。
モンスターを初めて見た。大きな牛だった。結界の中に転移してくるとか、無いのだろうか?花が降ってくるんだからあり得ない話ではないよね。気を付けよう。
魔王にならないために一年間頑張ったこと。勉強、稽古、調合、人助け。
勉強、主にエルフ語。多分順調に進んでる。比べるものがないからよくわからない。その他の勉強は至って順調だ。私の知識とこの世界のものとずれがあるかもしれないので一通り教わっている。
稽古。強くなることよりも体を動かすことを目的にしている。もとよりその心算だけど、ほんの少しだけ物足りない。
調合、作れるものは少しずつ増えている。質の高いものも。ただ、売るには免許が必要だそうでこの年ではその免許もとれない。そのうち人助けにつながるかな。
人助け。自分のための人助けは偽善かな?最近はそんな考えも浮かんできてしまう。やらないよりはやった方がいいと思うけれど。困っている人も狭い村の中では早々見つけられない。
「どなたか困っている人はいませんか~。小さなことから大きなことまでなんでもやりますよ~」
大きな声を出して村の中を歩き回る。ばば様は、ちり紙交換とか選挙カーみたいだと言って笑った。
ウィルには「次期村長の座を狙ってるってほんと?」と聞かれた。どこからそんな話になったのか。
ゲームみたいにステータス画面見られればいいのに。そうすればこの数値が上がると魔王になりますよ~とかわかって、具体的な対策がとれるかもしれないのに。……日本で受けた健康診断を思い出した。魔王は病気か、と自分に突っ込みを入れてみる。虚しい。
いろいろ考えてみたものの、現状維持しかないことに改めて気づく。普通に頑張るしかないか。日々是精進なんてね。
魔王を封じるアイテムや魔王化を防ぐ魔法が使えればいいのに。
もっと情報がほしい。もっと確実な、魔王にならないための有効な情報が。
そのうち村を出ることも視野に入れてみようか。
まとめのお話。アリシア、性格悪い感じがする。




