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ツセイカケダトッョチ

ツセイカケダトッョチ


ラナにある幸福を持ってしても、コード01からコード03までの関係性は解からない。

決定的に、誰が見てもわかるのは、彼らは幼馴染という事だけ。

そして知っている人が知っているのは、コード01とコード03が許嫁であると言う事。

幸せの鐘が鳴り響くのはいつになるのかだとか、どんなドレスを着ようかだなんて、彼らには関係ない。

彼らは7年前のあの日に全ての不幸を背負って死神になったのだ。

死神に伝えられている7年前の災厄。

その果てに生まれ落ちた死神が現在の最高位の死神達。


「あれ?」

「昔は4人いたようなぁ~……」

「いなかったようなぁ~……」


花嫁姿というものは乙女の憧れである。

8年もフライングだが純白のウエディングドレスに身を包んだラナは言った。

ゆっくりとバージンロードを歩き、父親役の案山子を引き摺る。

この手には真っ赤な薔薇のブーケが握られている。

鐘の音とウエディングマーチと共に祭壇の前へと来た。

新郎役の案山子が黒子によって動かされ、ラナに手を差し伸べる。

その手を取って父親役の案山子から離れた瞬間、その案山子はバラバラに砕け散った。


【永遠に愛する事を誓いますか?】


砕けた案山子をよそに、案山子だらけの式は進む。

これに人間味が少しでもはいれば幸せなのだろう。

しかし、コード03が望んでいるのは、きっとこんなものではない。

誓いのキスをする数センチ前で、ラナは新郎の案山子を突き飛ばした。

その瞬間に新郎も、牧師も、招待客も、スタッフも、全てが粉々に砕け散った。

鐘の音だけが鳴り響き、烏が一斉に料理を突き床に降りて翼を休め始める。


「お姉様は幸福なんて望んでいないぃ~」

「不幸である事を望んでいるのぉ~」


そう、お姉様は献身的だ。

白くて、白くて、白くて。

誰にも染められない程に、誰にも染まれない程に、彼女は不幸だ。

ラナはウエディングドレスの裾を持ち上げながら荒らされたバージンロードを歩く。

烏達がじっとこちらを凝視して、一声鳴いた後に一気に飛び立った。

そう、それでいい。

周りが羨む程に幸福で、幸せで、幸ある人生を歩むのはラナだ。

だから彼女が不幸を望むと言う行為が理解できない。


理解しえない、理解する事もない。


それは彼女にとっての王子様の役目だから。

それに、彼女は最初から他人に理解される気もないのだ。

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