ヤヘオイロシ ←
ヤヘオイロシ ←
ラナはそわそわとしながら椅子に座る。
豪華なシャンデリアに猫足の机と椅子。
壁紙はピンクの花柄。
テーブルクロスは純白。
その上には色とりどりのマカロンとプチケーキが並んだハイティスタンドがある。
高そうなティーカップにお茶が注がれて、ウエイトレスは一礼して下がった。
一月ぶりにお姉様に逢えると考えると、気持ちが高揚してじっとしていられない。
約束の時刻まではあと1分だ。
ゆっくりと動く秒針にもどかしさを感じてしまう。
ここに来る前にお姉様は何をしていたのだろうか。
人間として仕事をしていたのだろうか。
自宅で家事でもしていたのだろうか。
どんな姿でも素敵だが、やはりお姉様は高貴なお兄様方といる方が更に素敵だと思う。
あの凛々しい表情から浮き出ている信頼しきっているからこその安堵の表情。
許嫁と叫ばれ続けても、揺らぐ事のない敬愛と寵愛の集大成であるその御心。
そして、お兄様方だけに見せるほんのり赤くなる表情。
「素敵過ぎるぅ~…!」
ゴテゴテにデコられた携帯電話を片手に次々とスライドしていく。
画面に表示されるのは、全てがお姉様の写真である。
アゲハカンパニーとの特効薬作成の契約条件にお姉様の隠し撮りを追加したところ、しっかりと仕事をしてくれているようだ。
毎日送られてくるので、これでアメリカにいてもお姉様の変化を画面越しに見守る事が出来るのだ。
「ああ、お姉様ぁ~」
その純潔すぎる御身体の全てはお兄様方に捧げると言わんばかりの純白な肌。
一糸纏わぬその御姿でお兄様方と触れあう事で究極の美が完成するとラナは信じている。
だから、お姉様の生まれたままの御姿は頂戴していない。
それは穢れなきまま、お兄様方に渡さねばならないからだ。
「遅くなってごめんなさい?」
ラナは顔を上げた。
そしてお姉様の姿を見て一気に頬に血液が集中するのを感じた。
真っ白なドレスに不規則についた赤い模様。
同じ色で化粧をしたその御顔。
素敵を通り越して言葉にならない程に素晴らしい!
「お姉様ぁ~…お綺麗ですぅぅぅぅ~!!!」