キイウョリンシカフノカレダ
キイウョリンシカフノカレダ
コード07は服を汚す事を異様に嫌う。
それはお気に入りの可愛いドレスが台無しになる事を恐れてだ。
ならばこういう場で着なければいいだろう。
だが、コード07はコード07なりにロリィタを着こなさなければならない理由があった。
ロリィタと言うのは、フリルを存分に使用した洋風のお姫様のようなシルエットが特徴的だ。
それがどんなにコード07にとって救いになっていると思う?
パニエで膨らませる事のできるスカート。
フリルを大量に使う事で獲得されるボリューム。
厚化粧をしないといけない程に迫力のあるシルエット。
ロリィタこそ、コード07が【ラナ】で居続ける為の一張羅なのだ。
コード07の洋服が汚れると言う事は、その服を脱ぎ捨てなければならない。
その服を脱ぎ捨ててしまえば、コード07は【ラナ】でいる事が出来ない。
コード07が自分の事を幼女と形容するのはなぜだ。
それは自分が【女】でいたいからではないか。
【子供】でいたいのではなく【女】でいたいのだ。
子供っぽい喋り方と動作をするのは【子供】でいたいと見せたカモフラージュ。
本当のコード07は【女】でいたいのだ。
彼女は生まれた瞬間から不幸を背負った。
それは【男】の身体で生まれてしまったという意味だった。
そしてその絶望から、コード07になる前の( )は親類全てを大量惨殺した後に自殺した。
コード07が語るのは記憶の改ざん後の【都合よく作られた台本】の中身でしかない。
だから彼女が紅茶を飲んだ時に、生まれた瞬間の温かみを覚えていたのだ。
アゲハカンパニーに通わせていたのは記憶の操作のため。
コード07が全てを思い出してしまっては、きっと壊れてしまうから。
せっかく背負った不幸がコード07の元へ戻ってしまうから。
アゲハカンパニーはとある薬の開発を買って出たから、コード07を提供した。
「でも、もうダメだ」
「あの女は死に損に成り下がりかけている」
死に損なう死神。
死にきれなかった死神。
こんな状況の死神に、任せておける問題ではない。
だからこそコード07を私から卒業させなくてはいけない。
もっと人間らしく、幸せに生きてもらわなければならない。
私は死神達に対して「死神だ」と断言している。
しかし、それは私が背負うべき不幸であって、あなた達が背負う不幸ではない。
だからこそ、私は終わらせなければいけないのだ。
コード07という死神を、解放しなければならないのだ。
この会話は神様には聞こえていないのは【内緒】の話。