ウコイスムンニ ←
ウコイスムンニ ←
やっと自由の時間になった。
その頃にはキラキラとした星空が輝いていた。
流石にこの夜を幼女一人で出歩くのは悪目立ちする。
目立ちすぎるな。
キャリーケースから黒一色のロリィタ服を取り出して、夜に紛れてそれに着替えた。
別に隠す事なんてない。
この白い肌も、金髪の髪も、青い瞳も。
この身体を隠す必要は、どこにもない。
「さてぇ~……行きますかぁ~」
黒いドレスとシルクハットの飾りがついたカチューシャ。
これで夜に紛れるのは簡単だ。
とりあえず、明りの多い繁華街は通らずにいよう。
ラナは笑顔で地面に埋め込まれたマンホールの蓋をとる。
腐敗臭と不快臭が漂うそこに、ラナは思い切り飛び込んだ。
まあ、警察に補導されて無駄な時間を過ごすよりもこっちの方がまだマシなんだ。
警察は余計なところまで介入してくるから、解析してくるから面倒くさい。
水滴が落ちる音を聞き流し、ラナはとりあえず下水道を歩いた。
どこか目的があるわけでもない。
歩いていれば、そのうち向こうからやってくる。
幸運は人間が掴みとるものではなくて、自分から歩み寄るものだ。
コード07の場合は、待ち構えているはずの幸運が待ち切れずにこちらに来てしまうだけだ。
「それがぁ~、ラッキー・エンカウントォ~♪♪」
この異能力の正式名称である。
ラナは楽しそうに、スキップしながら下水道を進んだ。
結局のところ、今回の任務はたぶんここが最終地点だろう。
だからこそ、楽しいのだ。
キャリーケースのカラカラと回る車輪の音が反響する。
いつ出てくるのか、いつ出会うのか、楽しみで仕方がない。
「あと3歩で、ラナはきっと潰されるはずだったぁ~」
ラナは急に足を止める。
そして2秒後に大きなヘドロの塊が目の前の頭上から降り注いだのだった。
ラナはくすくすと笑って、舌を出した。
「いや、ヘドロまみれになってたぁ~♪」