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ツシサンケ ←

ツシサンケ ←


変な機械に通されて、血液を採取されて、質問に答えて、薬を打たれる。

いつものパターンだ。

無機質で、機械しかない白い部屋。

そこにこんなに色彩鮮やかな幼女がいるのは、とても不気味だ。

不気味というよりも、不快に近い不愉快さを感じる。

機械と機械の間に挟まったベッドにラナは横たわる。

そして蝶のような紫色のドレスを着た女がラナに訊いてきた。

面白がる目で、コード07に訊ねてきた。


「身体の具合はどう?」


「特に何もないですよぉ~」

「6番目のお姉様ぁ~?」


この検査室に居座る蝶はラナのカルテに目を通す。

前回とは殆どの項目で数値の変化はない。

要するに、前回の薬は失敗だったというわけだ。


「だめよー、もっと女の子らしくなってもらわないと、ね」


蝶の触手がラナのスカートに伸びる。

咄嗟にベッドから飛び起きて、機械を倒して蝶から距離をとった。

故障音のブザーが部屋の中で鳴り響く。

それを聞きつけた研究者達がざわめきながら部屋の中に飛び込んできた。

壊れた機械を見て、狭間にいないラナを見て、研究者達は顔色を変えて手を伸ばす。


「みんな死ん……!」


「お止めなさい」

「今日のこの子は疲れているの」


この言葉を掻き消された。

蝶の気まぐれな飛び方によって、研究者達とラナの間を蝶が遮った。

そしてラナの肩に蝶は止まって、優しい声色で呟いた。


「何も失いたくないでしょう?」


失いたくないのは……どっちだ。

いつも邪魔される「みんな死んじゃえ」の言葉は、それを言おうとした殺気は、蝶によって吸い取られる。

蜜を吸う様に、美味しい部分だけを吸い取ってしまう。

コード07は虫が心の底から嫌いだ。

もちろん、紫色の蝶の事だって嫌いなんだ。

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