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リフノャシンカウボ ←

リフノャシンカウボ ←


今日は警察の人達に暇はないだろう。

この街、桜京市では月に一度だけ事件と事故が多く発生する日があるのだ。

ある時にはこの街の学校全校が臨時休校になるぐらい、7日という日は不幸の日だ。

7は運の良い数字だろうが、ラナにとってのそれは3つ並ばないと意味がないと思う物だった。

だから、77月とか77日とかがある世界じゃないから、基本的には毎日が不幸だったりする。

でもまあ、ラナにそれは関係ないか。

だってラナだけはいつだって幸福だから。

たとえ世界に7がなくたって、この身体には3つの7が付属されている。

この自信は、まあ【7など(等)】っていう屁理屈で。

だからラナはいつでも幸福なんだ。


燃えるビルディングはラナがアメリカの自宅に着いた頃に鎮火するだろう。

それぐらいの燃え方でないと、1番目のお兄様がくれたジッポライターの名が廃る。

すぐに火を消したい場合は2番目のお兄様の水が必要だと、ラナは思う。

だいぶ離れているというのに、燃える臭いはここまで届く。

パトカーが連続でラナとすれ違い、その度に疲れ切った表情を浮かべていた。


くだら……


考えかけた言葉を白紙に戻す。

そうでないと、警察まで炎に巻き込まれてこんがり焼けてしまう。

あまりの熱さにもだえ苦しんで、炎の中をぐるぐる回って、上手に焼けましたー!なんて台詞が流れてしまう。

とりあえず【くだら……】をバックスペースで消して、そもそも脳内のキーボードをゴミ箱に捨てる。

よし、これで入力機器はないから警察はしばらくこの火災に集中できるはずだ。

ラナは良い事をした、と少し誇らしげに笑った。

その誇らしげな表情のまま、右往左往するタクシーを停めてそれに乗り込む。

もはや煙草臭いのか焦げ臭いのかよくわからない車内の臭い。

ラナはそれを顔に出さないまま、自宅の住所を運転手に告げた。

気だるげに返事をして、運転手は車を走らせる。

ラナは流れるラジオに耳を傾けた。


【ビルディングが炎上し、消防隊が出動するものの鎮火の見通しは不明のまま……】


ラナは頬杖を付いた。

そして退屈そうな表情を浮かべる。

外は真っ赤な炎に負けないぐらいの夕刻の空だった。

明日のフライトでラナは帰らないといけない。

それまでに自分に課せられた任務を全うする為には、とにかく殺すしかないのだ。


闇雲に殺して、適当に殺して、全てを殺して。


綺麗に並べられたドミノの一枚を殺す事でしか、不幸の連鎖は断ち切れない。

倒れ始めたドミノは止まらないけれど、倒す対象がないドミノは止まる。

他の人間のように、倒れ始めてすぐに手を挟むような事はしない。

倒れ始めたドミノが止まるまで、ラナは楽観すべきなんだ。

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