第1話「転校生は昨日の黒猫でした」
初投稿です。
ゆるく見ていただけると嬉しいです。
ヤンデレ要素があります。
雨が降っていた。
放課後の校舎裏は、人の気配がほとんどなかった。
傘をさして歩いていた私は、小さな鳴き声を聞いた気がして足を止める。
「……にゃ。」
声のした方を見ると、段ボール箱の影に黒い塊があった。
黒猫だった。
全身が雨に濡れていて、細かく震えている。
「うわ……大丈夫?」
思わず近づくと、黒猫は逃げなかった。
むしろじっと、こちらを見ている。
金色の目が、不思議なほど落ち着いていた。
「風邪ひいちゃうよ」
私はそっと黒猫を抱き上げた。
軽い。
そして、やけに大人しい。
まるで最初からそうされることを知っていたみたいに。
その日、私はその黒猫を家に連れて帰った。
翌日。
教室がざわついていた。
「転校生だって」
「めっちゃイケメンらしいよ」
そんな声の中で、彼は教室に入ってきた。
黒い髪。静かな目。
どこか、昨日の黒猫を思わせる雰囲気。
彼は軽く自己紹介をすると、ゆっくりと視線を動かした。
そして――私で止まる。
目が合った瞬間、なぜか息が詰まった。
彼は小さく笑った。
「神代黒羽です」
その声に、教室がさらにざわつく。
だけど次の瞬間。
彼は、私にだけ聞こえる声で言った。
「昨日はどうも」
「……え?」
意味が分からず聞き返すと、彼は少しだけ目を細めて続けた。
「猫」
「助けてくれたでしょ」
その言葉を聞いた瞬間、私は固まった。
昨日の黒猫。
あれが――この人?
まだ何も知らないまま、私はただ彼を見つめていた。
読んでくれてありがとうございます。
次回もお楽しみに




