チャプター45 ― ヴォルタ内部で勃発する混乱。
ルドヴァーンは嘲笑し、大太刀を肩にかけたまま、部屋奥の大砲から赤い光が増していくのを見つめていた。
マナカプセルは振動し、圧力で破裂寸前だった。
私は彼から目を離さなかった。
彼は跳躍し、獣のような速度で私に斬りかかってきた。
私たちの刃が金属の衝撃音を立ててぶつかり合う。
衝撃波で柱は揺れ、床の埃が舞い上がった。
「お前は俺と一緒だ!」私は大太刀を握りしめ、声を荒げる。
「よかろう」ルドヴァーンは笑みを浮かべ、獰猛な光を瞳に宿す。
私が彼を抑えている間に、ヴァルダとアンジェリーナは左右に分かれ、部屋の側面へと走った。
床の一部が不穏に光り輝く。
ヴァルダが一歩踏み出すと、天井から矢の嵐が襲いかかる。
「気をつけて!」
アンジェリーナが手を伸ばし叫ぶ。
彼女の周囲にバリアが形成され、毒矢の一部を吸収するが、いくつかの矢は床に突き刺さり、緑がかった煙を立ち上らせた。
アンジェリーナは壁を見渡し、鋭い視線で素早く状況を把握する。
「廊下全体に罠を仕掛けている…マナ、毒、氷、火…この狂人はすべてを死のフィールドに変えている!」
ヴァルダは息を切らしながら武器を構え、頭の数センチをかすめる鮮やかな青い光線を避けて後退する。
「どうやって渡るんだ、これを!?」ヴァルダは叫んだ。
「正確に、冷静に」
アンジェリーナは眉をひそめ、指示する。
「お前は左、私は右。止まるな。」
私はルドヴァーンの笑みを見た。
彼の攻撃はさらに重く、速くなる。
「彼女たちが俺の生きている大砲にたどり着けると思うか?」彼は投げかける。
私は新たな斬撃を受け流す。
衝撃で足元の床に亀裂が走る。
「できるのは彼女たちだけだ。」
周囲で戦場が生き返る:光の閃き、爆発する罠、部屋中に解き放たれるマナ。
そして中央で、私たち二人が火花を散らしながら刃を交える。
その間、首都の中心では状況が悪化していた。
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南部地区では、かつて人で溢れていた通りが、赤みを帯びた光に包まれた砂漠のような大通りになっていた。
重苦しい静寂を引き裂くように、低い轟音が響き、地面が震え始めた。
黒い亀裂が走り、濃紫色のマナの霧が立ち上った。
そして、その霧から恐怖が飛び出した。
牙を滴らせた蜘蛛狼――有機体とエーテルが混ざり合った存在――が建物の間をすり抜け、八本の脚が石畳を叩く音が響く。
さらに奥の路地からは、紅い瞳の黒獅子が現れ、超自然の力で咆哮し、その鬣は暗い炎のように揺らめいた。
空中には不明瞭な飛行体が現れ、次第にその姿をあらわにする――人間の頭部で叫びを上げる巨大猛禽類、その叫びは悲痛な嘆きのように響く。
そして、さらに高く、倒壊した塔の上空で、三つ首のドラゴンが轟く――三色の炎を吐く頭、それぞれ赤、黒、紫。
王都の衛兵たちはバリケードに配置につき、最前列がマナを込めた槍を構える。
「構えろ!撃て!」隊長が叫ぶ。
青い光の矢が飛び、異形を貫く。
しかし倒れると同時に、二体の新たな魔物が地面から現れる。
ボルタの特殊部隊――灰色のマントと強化武器で識別できる――が援軍として駆けつけた。
「こちら、特殊部隊第一!中心街が陥落寸前です!」ある隊員が通信機で叫ぶ。
王立アカデミーでも、同様に混沌が広がっていた。
廊下が揺れ、かつて平和だった庭園は戦場へと変貌する。
石像はモンスターの攻撃で粉砕され、建物自体も不安定なマナの圧力に呻く。
魔導士が空を見上げる――紫色の裂け目が首都上空の雲を切り裂き、純粋なエネルギーが流れ落ちていた。
「…これが、破滅の始まりか…」彼は恐怖で囁いた。
混沌の中で、ただ一つ確かなことがあった――これは、まだ始まりにすぎない。
首都中心部の大橋、両岸をつなぐその橋の上では、怪物たちの喧騒が悪夢の交響曲のように響いていた。咆哮、爪撃、槍と甲殻の金属音…すべてが衝突する。そして突然――
透き通るような威厳ある声が街区に響き渡った。
「クライオ!」
轟音が応える。
レイピアの先端が地面を突き、凄まじい冷気の波動が広がる。
風は青白い突風に変わり、一瞬で動くものすべてが死の静寂に凍りついた。
数十体の魔物がその場で石化し、純粋な氷の層に覆われ、悲鳴は凍てつく霧の中でかき消される。
橋の上、呪文の源は堂々と立っていた――ブランシュ姫。
氷のような美しさを持つ若き女性、極端に長い金髪が風になびき、夕暮れの銀色の光を受けて輝く。
氷の青い瞳は鋭く、静けさが恐ろしいほど。
王立アカデミーの白銀の制服は、その冷気のオーラと鮮烈に対比していた。
「……街中を這い回るには、十分すぎるわね。」彼女は冷たい口調で言い、レイピアを凍った橋の石に突き刺したままにする。
傍らにはヴァイオレット。
白く少し乱れた髪、集中した蒼紫の瞳で戦場を見つめる。
制服は同じ白と紫の戦闘用に調整されており、タイトなジャケットに強化手袋、彼女のレイピアが腰に優雅にぶら下がっている。
「…相変わらず見事ね、氷の姫様。」
彼女は微笑みを浮かべ、静かに囁く。
「見事だが、疲れるわ…」ブランシュ姫。「まだ第一波に過ぎないのよ。」
少し離れた場所で、エスターは両側に跳ねた金髪のツインテールを揺らしながら、半分凍った魔物の頭を斬り落とし、剣を納める。
「ははは!今日は退屈するかと思ったけど、全然違うね!」と笑顔で叫ぶ。
「魔物で遊ぶのはやめてほしいわ。」ヴァイオレットは呆れ顔で応える。
「ちょっとは楽しませてよ!」
そして、エンジェルの養兄であるエリーが橋の端に数歩進む。
手はポケットに入れ、肩まで届く黒髪が二分されたスタイルで風になびく。
蒼い瞳は、まだ煙を上げる氷を注視していた。
「ふむ…相変わらず効率的だな、姫様…」彼は茶目っ気たっぷりに笑いながら言う。「でも、やりすぎると俺たちに遊ぶ余地がなくなるぞ。」
「遊ぶのが目的ではないのよ、エリー。」ブランシュは冷たく答える。
「ただ、少しアクションを残しておけってことさ。」
「アクション?あなたのこと?」ヴァイオレットは目を上げて問いかける。
「俺?いやいや…監督してるだけさ。」彼はだらりと伸びをし、口元に小さな笑み。
しかし、空気は一瞬で変わる。ヴァイオレットは手を胸に当て、瞳が一瞬暗くなる。
「…エンジェルくん…」
沈黙が二人を包む。
エスターは視線を落とす。
「彼、大丈夫かしら?」
ヴァイオレットは深呼吸する。
「感じる…マナはまだ安定してる。彼はどこかにいる。」
「そうだな」エリーは少し真剣になり、「俺の弟を知っていれば、きっと狂った科学者と騒ぎを起こしてるだろう…でも大丈夫。いつも通りだ。」
ブランシュ姫はわずかに頭を動かす。
長い髪がその動きに追従する。
「もし影の王子が動くなら、私たちは表面を守る義務がある。守るのも役目の一つ。」
ヴァイオレットはラピエールを握り、先端を凍った地面に向ける。
「なら続けるわ。彼のために。」
エリーは少し嘲笑気味に微笑むが、瞳には確かな温もりが宿っている。
「ああ、俺たちの小さな天使のためにな……。」
冷たい風が橋を吹き抜け、四人は再び戦闘態勢に入る。
夕日のシルエットが背後に落ち、彼らは世界と、そして愛する者を守るために全力で立ち向かう隊列として姿を現した……
……すると轟きが空を引き裂いた。
橋全体が音の衝撃で震え、王都の兵士たちは顔を上げた――しかし手遅れだった。煤のように黒い三つ首の巨大ドラゴンが、雲を切り裂きながら急降下し、その三つの口から炎と赤く輝くエネルギーの火花がほとばしる。巨大な翼が破壊的な突風を巻き起こした。
エリーは一歩前に出て、口元に薄く笑みを浮かべ、構えをとった。
「こいつは…俺の相手だ。」
ゆっくりと手を空に掲げ、青いマナの波を放とうとした――しかし間に合わなかった。
三つの閃光が超音速で空を横切る。スッ……瞬きする間に、ドラゴンの三つの頭がそれぞれ完璧な角度で切り落とされた。巨体の竜は橋の中央に落下し、金属と炎の破壊音を響かせた。切り落とされた頭はまだ煙を上げながら転がり、マナの粉塵に消えた。
一瞬、世界から音が消えた。
エリーは手を掲げたまま目を瞬かせ、呆然とする。
「…え?」
ヴァイオレット、エスター、ブランシュ姫も顔を上げた。
隣接する小さな建物のバルコニーに、三つの女性の姿が誇らしげに立っていた。
夕暮れの光が彼女たちの顔を柔らかく照らす。
左端にはステラがまっすぐ立ち、手はまだ刀の柄に添えられていた。
濃紺の柔らかいコンバットスーツに、細い紫のラインが走り、まるで生きたマナのように微かに脈動している。薄手でフィットした生地は動きに合わせてぴったりと体に沿う。袖には手袋が自然に繋がり、軽いフードが首の後ろに落ちる。
伸縮性のあるパンツは細長い脚の形を描き、小さなヒールで足取りを優雅にする。左腕には金のブレスレットが輝き、星のように控えめな階級の印を示す。栗色の髪は左右対称に分けられ、風に揺れる。左目の前の髪がわずかに隠れ、柔らかさに神秘を添える。細いマフラーがそよぎ、襟の銀刺繍には月の模様があしらわれている。
その隣で、ローザは小柄でいたずらっぽく、腕を組んで軽く笑った。
チャコールグレーのタイトなコンバットスーツは、しなやかで引き締まった体のラインを際立たせるが窮屈さはない。非対称の袖は柔らかな手袋に繋がり、まるで猫のような印象を与える。肩にフードを落とし、肩までの黒髪には右側に編み込みがあり、ほとんど見えない紫のヘアバンドが飾られている。
ジャケットには細かい銀の模様が走り、夕暮れの光を巧みに反射する。ヒールは静かに歩くための設計。服のカットは調和のとれたシルエットを強調しつつ、動きに完璧な流動性を与えている。
最後に、少し後ろに下がっているが、優雅さで輝くオーレリア。
濃紺でタイトかつ流れるようなコンバットスーツは、曲線美を自然に際立たせる。七分袖からは白く滑らかな肌が見え、袖と繋がる手袋は第二の皮膚のよう。左胸には小さな青い花が飾られ、純粋さと誇りの象徴となる。
深い青の髪が腰までまっすぐ伸び、穏やかで魅力的な顔を縁取る。濃紫の瞳は夜の闇と対比し、ほとんど神秘的な輝きを放つ。襟と袖口の紫の細刺繍には波や雲の意匠が施されている。
三人の女性はそのまま立ち、そよ風がマントや髪を揺らし、ほとんど神々しい気品を漂わせていた。
「ふっ…まさに間に合ったわね。」ステラが落ち着いた声で刀を納めながら言った。
「そうでなきゃ、あなたのイケメンがバーベキューになるところだったわね。」ローザが茶目っ気たっぷりに笑う。
「相変わらず歓迎が粋だな。」エリーは眉を上げ、楽しげに応える。
ブランシュ姫は眉をひそめる。
「あなた方は一体…?」
ヴァイオレットは緊張した声で言った。
「まるで何事もなかったかのようにドラゴンを仕留めた。学園にも宮廷にもあなた方を見たことがない…」
エスターは腕を組み、頷く。
「同感。あなた方、一体何者?」
オーレリアは冷静に視線を下ろす。
「重要じゃないわ。」
その声は穏やかで落ち着いており、反論の余地はない。
ローザは小さく笑う。
「まあ…あるエルフの友達、ってところかしら?」
三人の女性は互いに意味ありげな視線を交わした。
次にステラが一歩前に出て、声を真剣に戻す。
「王宮に向かうべきよ。エンジェルはあそこにいる。状況は悪化している。」
その名を聞き、視線が瞬時に変わった。
ヴァイオレットは拳を握る。
「エンジェルくんが王宮に!?!」
「ええ。そして君たちが必要なの」ステラが確認する。
言葉少なに、ヴァイオレット、エスター、ブランシュ姫は王宮に向かって走り出した。
エリーはしばし立ち止まり、バルコニーの三人の姿を見つめる。
懐かしげな笑みが口元に広がる。
「君たち、全然変わってないな?」
ローザは頭を傾け、いたずらっぽく緑の瞳を輝かせる。
「ひひっ!全然よ、イケメン!」と無邪気に答えるが、明らかに魅力的な色気を帯びていた。
エリーは柔らかく笑い、肩をすくめる。
「気をつけるんだぞ。」
そして、黄金色の夕暮れに照らされながら、彼もまた追いかけていった。
バルコニーの上、三人のエルフは数秒静かに立ち、凍った橋と風で揺れるマントを見つめる。
オーレリアは微笑を浮かべて囁いた。
「いいわ…ついに全てが始まるのね。」
そして赤く染まる夕日の光の中、彼女たちは青と紫のマナの霧に包まれ、視界から消えていった。




