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『天使と紫の炎』  作者: Bro_Be_Like_83
第3部 — 賑わう王都の中の天使。
53/62

チャプター44 ― 王宮地下に潜む、忌まわしき発見……

私はアンジェリーナとヴァルダの後ろについて、宮殿の中を素早く、しかし慎重に歩いた。

大理石の床に私たちの足音がかすかに響く。

空気はひんやりとしていて、肌に触れるたび、微かな緊張が電気のように走る。

目は自然と前を捉え、これから目にするものへと意識が引き寄せられていた。


階段を降りて地下へ向かうほど、奇妙で金属のような匂いが漂い、緊張感が増した。


ついにその部屋へ足を踏み入れた瞬間、静寂が背筋を這い上がった。

ヴァルダが足を止め、目を大きく見開く。


ヴァルダは小さな声で呟いた。

「こ、これ…一体何…?」


私たちの前には、まるで実験室のように整列されたカプセルが並んでいた。

中には濃い紫色でほぼ不透明な液体が満たされ、小さな人型の影が眠っているかのように静止している。


私は眉をひそめ、紫の液体から目を離せなくなった。

――凝縮マナだ。落ち着きを保とうと、ヴァルダに向き直る。


「ヴァルダ……この液体は凝縮マナだ」

言葉を選びながら、私は続ける。

「性質は二つに分かれる。一つはスライム。柔軟性は高く、マナの伝導性も優秀だが、広い面――特に人体には定着しにくい」

一拍置いて、もう一つ。

「もう一つはエーテル。やや硬質だが、体全体に均一に付着し、高い伝導性を保つ」


ヴァルダは目を瞬きし、信じられない様子でアンジェリーナを見る。

アンジェリーナは続けた。


「エーテルが臨界点に達すると……この物質は中の人型に絡みつき、魔物へと変質させる」

彼女の声が低くなる。

「昨日の夜に現れた、あの狼蜘蛛――あれも、その結果よ」


(……エリーが事前に教えてくれていなければ、理解できなかっただろう)


ヴァルダは一歩後ずさり、手を自然に胸に当てる。

「でも…自分の宮殿にこんなものがあるなんて…全く知らなかった…」


私は頷き、さらに説明する。

「このタイプのマナは非常に不安定だ。管理を誤れば極めて危険になる。このカプセルは、エーテルマナから魔物を生み出す実験用だ。臨界点――つまり特定の濃度に達した瞬間――が変化を引き起こす。そしてそれが、私たちが目にしたあの怪物たちを生み出した原因だ」


ヴァルダはアンジェリーナに向き直り、声を震わせながらも決意を込める。

「本当に…全て制御できるのですか?」


アンジェリーナは頷き、しっかりとした声で答える。

「ええ。でも迅速かつ慎重に動かないと。小さなミスでも連鎖反応を引き起こす可能性があります。今のところ、すべてのカプセルは無事なので、手遅れになる前に介入できます」


私はしばし沈黙し、カプセルを見つめながら思考を巡らせた。


「……なるほど」

低く呟き、視線をカプセルに戻す。

「この装置が、最近の事件の原因だ。制御されないまま起動すれば……街で起きた一連の襲撃も説明がつく」


ヴァルダは手で口元を覆い、ショックを受けつつも注意深く観察する。

「まさか…自分の宮殿で…こんなことが…」


アンジェリーナは真剣な瞳で彼女を見る。

「だから私はここに来たの。危険な場所を安全にし、不安定な源を中和し、災害を防ぐため」


私は深く息を吸い、二人に向き直る。

「では始めよう。各カプセルを分析し、手遅れになる前に安全を確保する。小さなミスも許されない」


ヴァルダはゆっくり頷き、冷静さを取り戻す。

三人とも状況の重大さを理解していた。

そして、この一瞬一瞬が街を守り、さらなる怪物の出現を防ぐために重要であることを知っていた。


カプセルの問題をどう処理するか考えながら歩いていると、突然、感覚が鋭く警告を発した。

振り向く間もなく、アンジェリーナの背後で空気が裂ける音がした。

短剣が彼女に向かって一直線に飛んできた。

反射的に私は跳び、手でそれを受け止めた。

心臓は激しく打ち、アドレナリンで身が震える。


「ひぃっ!」ヴァルダが驚きの声を上げた。


私は攻撃の発信者を見た。

その短剣…見覚えがある。

暗い金属、完璧に研がれた刃、柄の刻印…ルドヴァーンだ。


私は彼に視線を向け、目を細めたが、内心は冷静を保った。


「ルドヴァーン…」低く、しかし抑制された声で告げる。


彼は歩みを進め、コートが後ろで揺れる。

暗い青の瞳は刃のように鋭く、私とアンジェリーナを見つめ、口元には冷酷な笑みを浮かべていた。


「間に合ったようだな、ほほう」と、ほとんど丁寧に言ったが、その言葉には冷たく硬い響きがあった。「お前たちは、俺の望まぬ場所に来た」


私は腕を組み、緊張の中で口元にわずかな笑みを浮かべる。


「で、お前は何をするつもりだ、ルドヴァーン?」目を彼の瞳に据えた。


彼は嘲笑し、さらに一歩踏み出す。

その一歩一歩が地下室に響く。


「誰にも俺の計画を阻止させはしない」と、計算された速度で言う。

「誰にも…そして俺に逆らう者には代償を思い知らせてやる」


私は短剣を握りしめ、動揺せずに構えた。

彼の視線は冷酷だが、通す気はなかった。

後ろのアンジェリーナは背筋を伸ばし、決意の炎が瞳に宿っている。


(もし彼が彼女に触れたら…間違いなくただでは済まないな)心の中でそう思った。


ルドヴァーンは一瞬私を評価するように見つめ、冷たい笑みを浮かべて一歩後退した。

部屋の中、私の反応、アンジェリーナの動き、周囲の状況を注意深く観察している。

まだ正面からの攻撃はしてこないが、次の手を準備しているのは明らかだ。


地面が足元で震えるのを感じる前に、ルドヴァーンは大太刀を抜き、熟練の戦士でも驚くような速度で突進してきた。

私は冷静に構える。

両手で大太刀を握り、滑らかで自然な動きで構えた。


「さあ、ルドヴァーン…お前の力を見せてもらおう」小さく自分に呟く。


彼の刃が猛烈な力で襲いかかる。

私は自然に受け流す。

衝撃が腕を打つ。だが、動きに迷いはなかった。

重い彼の大太刀は私の大太刀と打ち合うたびに戦鼓のように響いた。


わずかに身を旋回させ、正確な動きで刃を弾く。

ルドヴァーンは一歩下がり、眉をひそめた。

驚きが瞳に見える — 誰かがこれほど容易に攻撃を受け流すとは思わなかったのだ。


「悪くないな、小さきエルフよ…だが、ずっとは通用しないぞ!」叫び、再び攻撃を仕掛ける。力強く精密な動き、計算された技と力の融合。


私は集中の仮面の下で微笑む。

攻撃は強力だが重く、筋肉の動きやマナの流れを感じる者には予測可能だ。

すべての攻撃を防ぎ、時に後退し、時に旋回して彼自身の力を跳ね返す。


横振りを一撃で受け止める。

腕に圧力がかかるが、微動だにしない。

刃が顔の数センチをかすめる音が風に乗って聞こえる。


「成長したな、だがまだ予測可能だ」小さく、ほとんど楽しげに囁く。


ルドヴァーンは歯を食いしばり、連続攻撃を繰り出す。

私は全ての動きを駆使し、滑らかで計算された防御で押し返す。

彼の攻撃は力強いが、私は空間を支配していた。

刃がぶつかるたび、金属音が地下室に響き渡る。


攻撃を繰り返すたび、彼の苛立ちは増し、私が容易な相手ではないと気付き始める。

緊張とアドレナリンが高まり、この最初の戦闘フェーズが真の力量を示すことを私は理解していた。

しかし現状、私は優位を保ち、正確な動きで大太刀を自在に操る。


次の攻撃に備え、呼吸は一定に、体は緊張しつつも柔軟に。

ルドヴァーンの攻撃すべてに対応する準備を整える。

彼はまだ終わっていないが、私は次の攻撃をすべて返せる自信があり、それが彼を苛立たせているのを感じた。


ルドヴァーンの冷笑が室内に響き渡る。

背後のヴァルダは驚き、目を見開く。

アンジェリーナは拳を握り、真剣な構えで紫の瞳に決意の光を宿す。


そして彼は叫ぶ。

「ルドヴァーンの原子破壊大砲!!!」


長い部屋の奥、紫のカプセルに囲まれた巨大な装置が赤い光を放ち始めた。

カプセル内の凝縮マナが大砲に流れ込み、一秒ごとに振動するのが感じられる。


「見ろ、この傑作を!」彼は冷酷な笑みで続ける。「最新技術の頂点だ!ルドヴァーンの殺戮大砲!カプセルのマナを吸い上げ、100%充填されれば…通過するもの全てを原子単位で粉砕する!!」


私はアンジェリーナとヴァルダを見る。

脳内で私たちの動き、位置、破壊装置を無力化する最適な方法を計算する。

ルドヴァーンはその力に酔い、自信に満ちたまま冷酷に笑っていた。


「分かるか?5分以内に俺を倒し、大砲を無効化できなければ…全ては終わりだ」


時間は刻一刻と過ぎる。

空気は張り詰め、危険は差し迫る。

大砲はマナを吸い上げ、赤い光は増していく。

間違いの余地はない。


「5分…」自分に低く呟く。

「この狂人を成功させるわけにはいかない」


私は大太刀を握り、跳躍の準備を整える。

アンジェリーナは隣に構え、大砲を見据える。

ヴァルダも驚きと恐怖を抱えつつ、真っ直ぐに立ち、行動の準備を整える。

見えないカウントダウンが、確かに始まっていた。

宮殿――そして街全体を守るため、これから下す一つ一つの判断が、すべてを左右する。

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