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『天使と紫の炎』  作者: Bro_Be_Like_83
第3部 — 賑わう王都の中の天使。
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チャプター33 ― 戦闘は激化した。

俺は動かず、大太刀を握り締めたまま立っていた。

ルドヴァーンと髭の男が、演劇的な冷静さで物語を語る。

その空気が、背筋を凍らせる。

ヴァイオレット、ブランシュ、エスターは俺の後ろに立ち、沈黙を守っているが、ブランシュの周囲には緊張が張り詰め、彼女は「牢獄」という言葉に反応して一瞬硬直した。


ルドヴァーンが一歩前に出る。深い蒼の瞳が、鋭く俺を射抜く。


「よく聞け、始める――。

 私の隣にいるこの二人の男は、秘密の秩序に属している。

 その名は、お前たちの安全のために明かせぬ。」


俺は目を細め、警戒を強める。

「……それで、俺を驚かせるつもりか?」と皮肉めいて問う。


彼は微笑むことなく、容赦なく続ける。


「この秩序は、原初の大悪魔リリスの血を持つ者を探している――」


俺は眉をひそめ、情報を頭の中で整理しようとする。

髭の男が手を広げ、足元の凍った魔物たちを指差して説明する。


「リリスの七人の娘の子孫だ。」


ヴァイオレットは小さく声を漏らし、一歩後退する。

ブランシュは緊張で体を硬直させ、目は言葉一つ一つを分析している。

頬は冷たく、しかしわずかに赤みを帯びた。


ルドヴァーンは低く鋭い声で続ける。


「この生物たち……わかるか?

リリスの七人の娘の子孫の血が、これほどの業を可能にしたのだ。」


俺は凍った怪物たちを見回し、その言葉の重さを感じる。

ヴァイオレットの拳はラピエールに強く握りつけられているが、沈黙したままだ。

俺の反応を待っているのだ。


「続けろ。時間は限られている、物語を聞く余裕はない。」

歯を食いしばりながら言う。


ルドヴァーンは頭をわずかに下げ、ほとんど敬意を表すように続けた。


「かつて、秩序の偉大なる指導者の一人――名前は未だ知られぬ――が、非常に特別な子供を見つけた。

 紫の瞳と白髪のエルフ……少し――エンジェルに似ていた、と私は思う。」


俺は歯を食いしばり、すぐに返す。


「偶然だろう。」


だが彼は動じず、冷静に語り続ける。


「その子は、リリスの血と完全に相関する唯一の血を持っていた。

彼らはその血を用いて、魔界を創造し、昨日見たサイクロプス・ドラゴンのような恐ろしい生物を設計した。」


背後でブランシュが硬直し、目に一瞬の陰が差す。

「牢獄」という言葉が彼女の記憶を刺激し、冷静な表情の奥で痛みがよぎる。

顔を少し背けるが、目は凍った怪物たちを離さず、細部まで分析している。


ルドヴァーンは教授のように言葉をまとめる。


「だが、その子は秩序の牢獄から消えた。そこにいた何千もの子供たちとともに。

誰も、彼がどうやって脱出したのか、どこにいるのか知らない。」


俺は沈黙し、目をそらせなかった。

言葉の重さが圧し掛かる。


俺は何も言わず、視線だけを凍りついた魔物たちに向けたまま動かなかった。

胸の奥に、じわりと重たいものが沈んでいく。

理解は追いついているはずなのに、感情だけがわずかに遅れてくる。


脅威は明白だが、まだその一部しか見ていないことも感じる。


ブランシュは冷たい表情のまま、ラピエールを強く握る。

目には怒りと尊敬が入り混じる。

ヴァイオレットは小さくため息をつき、エスターは目を見開いたままだ。


俺は大太刀をさらに強く握り締める。


「よし、承知した。では、俺たちに何を期待しているのか、正確に言え……おとぎ話は聞きたくない。」


二人は短く目を合わせ、俺が続きに値するか評価するかのように静止している。

その場に留まるだけで、一歩踏み出すごとに重さを感じるほどだ。


数秒の沈黙。重く、厳粛な空気。

周囲の凍った生物たちは太陽の光にかすかに輝き、これが始まりに過ぎないことを示している。


俺はヴァイオレット、ブランシュ、エスターの数メートル後ろに立ち、大太刀を構えたまま、場面を観察する。

ルドヴァーンが説明を終え、次に何をするつもりか尋ねようとしたその時、背筋にぞくりとした感覚が走る。


七つの女性の姿が現れた。

背が高く、引き締まった体躯。

黒いマントが軽く揺れ、フードが顔を覆う。

冷たく圧倒的な気配が漂う中、一人が際立っていた。

より高く、威厳ある姿。わずかに紫の瞳が俺を見据え、魂まで貫くようだった。


彼女はゆっくり前に進み、澄んだ氷のような声を放つ。


「親愛なるルドヴァーンさん、

 我らの友人に非常に秘密な情報を明かしてしまいましたね?」


ルドヴァーンは眉をひそめ、素早く振り返る。


「……あなたは、誰だ?」


俺は薄く笑みを浮かべる。

「悪夢を見せてやれる女性たちだ」と、落ち着いて答え、大太刀を手で揺らす。


その後の戦闘は、精密で迅速、そして圧倒的な緊張感の中で繰り広げられる。

ルドヴァーンは必死に応戦し、しかし女性の指揮するチームリーダーの動きは完璧で、速度も精度も圧倒的だ。

ヴァイオレットが小声で囁く。


「……エンジェルくん、すごい……完璧すぎて怖いけど、憧れちゃう……」


俺は彼女をちらりと見て、恐怖と賞賛が混じる紫の瞳を確認した。

ブランシュは冷静だが、わずかな瞬きで各動作を評価している。


ルドヴァーンはわずかな隙を突くが、チームリーダーは神業のようにかわし、反撃を重ねる。

火花が散り、金属がきしむ。俺は距離を取り、分析しつつ、大太刀を構え続ける。


ヴァイオレットは動けず、エスターは目を輝かせ、ブランシュは冷静に観察。

俺とエリーだけが互いに笑みを交わし、この戦いの格を理解していた。


戦闘は続く。

チームリーダーの攻撃は、ルドヴァーンの防御を次第に圧迫する。彼の腕や肩が叩かれるたびに、金属が軋む音が響き、ルドヴァーンの表情にも疲労が浮かぶ。


「……ふん、ルドヴァーン……もう手に負えないな?」と俺は小声で呟く。半分は自分に、半分は状況を確認するために。


ルドヴァーンは息を切らし、筋肉を緊張させながらも攻撃姿勢を維持する。

しかし、攻撃の精度は次第に落ち、チームリーダーは一歩も譲らず、流れるような動きで攻撃と回避を繰り返す。


「敵を侮ってはいけないわ」とブランシュが低く、冷たい声で俺に忠告する。

「もし何かあれば、後ろの者たちを守れ。」


俺は頷き、大太刀をさらに強く握り締める。視線はチームリーダーとルドヴァーンに釘付けだ。

戦いの緊張が、空気を切り裂くかのように張り詰めている。


エリーが隣で、少し前のめりに観察しながら小さく笑う。

「見ろ、エンジェル、力だけじゃない。これが本当の熟練だ。全て計算されている。」


ヴァイオレットは少し離れた場所で立ち尽くし、驚きと畏怖が入り混じった表情をしている。

「どうして……どうしてこんなに正確なの……?」と、息を詰めるように呟く。


エスターも言葉を発さず、瞳を輝かせて戦いを見守る。


ルドヴァーンが最後の力を振り絞り、無理やり攻撃を仕掛ける。

だがチームリーダーは一瞬の隙も見逃さず、素早くかわし、反撃の一撃を与える。

ルドヴァーンはバランスを崩し、重く床に倒れ込む。

その瞬間、彼の周囲にいた髭の男も一歩後退し、明らかに苛立ちを隠せずにいる。


「ふん……弱いな、ルドヴァーン」とチームリーダーは冷たく言い放つ。

その表情には、軽蔑と冷徹さが入り混じる。


ルドヴァーンは何とか体を起こし、俺たちに向き直る。

「これは……さよならではない……また戻る……」


チームリーダーは黙ったまま、満足そうな視線を俺に向ける。

その目には、冷たさと計算された敬意が混ざっていた。


そして、彼女はゆっくりと俺とエリーの方を見た。

フードの影に隠れていても、わずかに表れる瞳の輝きが変化したのを感じる。

微かな優しさ、そして尊敬の色――それが隠されながらも確かに伝わってくる。


「若き勇者たち……」と低く、しかし力強い声で俺たちに語りかける。

「三つの塔の中心にある大きな建物に来なさい。お話をしましょう。」


言葉を止め、計算された光を宿す瞳で俺たちを見つめる。


俺は何も言わず、その場に立ち尽くしていた。


「ただし、その前に、エルフの少年さん。持っているものを手放すこと。」


俺はすぐに理解した。手にしているアーティファクトのことだ。

「……ああ」と単調に呟き、言われた通りに投げ放つ。


球体は天高く舞い上がり、海上で爆発する。

衝撃波が町に吹き荒れ、強風を巻き起こす。

しかし、建物や人々には一切の被害がない。


「エンジェルくん! もう、最悪!」とヴァイオレットが怒鳴る。


エスターは歯を鳴らして呆れる。

「何してるのよ、真面目に!」


俺は笑みを浮かべる。

小さな勝ち誇ったような笑み。タイミングの良さに満足している。


ブランシュは冷たい笑みを零す。

「ふふ……すごいわ、エンジェルくん。相変わらずね。」


そして、チームリーダーも澄んだ、深い笑い声をあげた。

「はははは! 変わらないね、天使くん!」


俺はその瞳と一瞬見つめ合う。

フードで隠れていても、笑いの真摯さと静かな尊敬が感じられた。


七つのシルエットは、夕暮れの空に向かってゆっくりと消えていった。

霧と紫の光の渦に吸い込まれるように、姿を消す。


「さて……次の約束だな」と俺はエリーに肩をすくめて言う。


「覚悟はできてるか?」と彼は微笑む。

荒れた海を見つめながら、爆発後の余波を感じている。


ヴァイオレットはまだ憤慨し、エスターは少し安心したように息をつく。

ブランシュは相変わらず冷静で、しかしどこか優しげな表情も見せる。

俺は不思議な感覚に包まれつつも、戦いの余韻に満ちた空気の中で、静かにその場に立っていた。

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