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『天使と紫の炎』  作者: Bro_Be_Like_83
第3部 — 賑わう王都の中の天使。
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チャプター28 ― 何もかもが狂う前の、ささやかな散歩。

僕たちはゆったりと中心街の駅に向かって歩いていた。

だが、大きな石畳の広場に一歩足を踏み入れた途端、空気が一変した。

そこにいた通行人や市民はすぐに一礼し、顔を真っ赤にする者、目をそらす者もいた。

三人の姫が揃っただけで、周囲の人々は息をのんだ。


「わあ…」エスターはマントを直しながら小さく呟く。

「みんな、すごく緊張してるわね。」


ヴァイオレットは真っ直ぐ立ち、頬を赤らめたまま小さく頭を下げる。

「こ、こんにちは…えっと…良い一日をお過ごしください…」


ブランシュは僕の隣で、氷のように冷たい瞳を向けながらも動じない。

周囲の羨望の視線にも微動だにせず、ただ僕だけに集中しているのを感じる。

(ここに…私の天使…完璧…ずっと守る…)


思わず小さくため息をつき、ヴァイオレットに耳元で囁く。

「ねえ…そんなに赤くなって儀礼モードはやめてくれ。僕は今、ただ食べたいだけなんだ。」


ヴァイオレットはさらに赤面し、少し僕に体を寄せて、声を詰まらせながら答える。

「エンジェルくん!そんなこと言えるわけないでしょ!人々が…あの…えっと…」


「落ち着け」僕は手を上げて苦笑する。

「ただの食事だよ。王室の行列じゃない。」


エリーは後ろで笑い声をあげる。

「本当だな!こんな美女に囲まれて、注目の的になったら俺だって赤面するぜ。」


エスターも僕を見てくすくす笑う。

「でも、エンジェル…あなたって…なんていうか…完璧すぎて恥ずかしいくらいね。」


僕は肩をすくめ、髪をかき上げる。

「まあ、褒めてくれてありがとう…でも今は…ピザが食べたいだけなんだ。」


ブランシュは横目で僕を見つめ、頬にわずかに紅が差していた。

それでも冷静さは崩さず、声は礼儀正しく冷たく響く。

「では、エンジェルくん…今日訪れたいのは、この街ですか?」


(彼の一言一言……動作の一つ一つ……愛しい……見てほしい…私の存在を感じてほしい…私の天使…私はここにいる…)


「ああ、そうだ。」僕は小さく微笑みながら答える。「さあ、ビギー・ピザズに行こう。」


ヴァイオレットは小さく息を詰めて叫ぶ。

「ビギー・ピザズ?!今…?!」


「そう。今だ。お腹が空いてるんだ、それだけ。」


エリーは大笑いする。

「エンジェル、姫様に囲まれ、注目の的になっても変わらないな。いつだって食べ物が最優先だ。」


エスターも頭を振って笑う。

「さあ行きましょう。でも、またあなたの笑顔でみんなをとろけさせるんでしょうね。」


ブランシュは僕にゆっくり視線を向け、冷静な表情を保ちながら、軽く頭を下げる。

「分かりました…でも、ずっとそばにいます。たとえピザのことしか考えていなくても、私はあなたを守ります。」


(うん…たくさんの賞賛や視線…でも私は…ただそばにいるだけでいい…私の天使…)


僕たちは中心街に向かって歩き続ける。

人々は依然として感心し、赤面したり、三人の姫に敬意を表したりしている。

しかし、僕の頭の中はただモッツァレラとブラウニーのことでいっぱいだった。


いつもの大きな橋を渡り、陽の光が水面に反射し、街全体が穏やかに見える。

人々は忙しく動いているが、何も問題はないように思えた。

だが、少し先に少し奇妙な集団を見つけたとき、僕は微かに笑った。


背の高い男たちが十人ほど、黒いフードに身を包み、僕らのそばでじっと立っている。

ほぼ同じ背丈で、その妙に真剣な様子に、僕は思わず微笑んだ。


「ふむ…真剣そうだな」僕はエリーに囁きながら小さく笑う。


エリーは悪戯っぽく笑い、僕を見つめる。

「真剣?それとも、ただフードを被ってカッコつけてるだけ?」


「たぶん、映画の悪役ごっこだろうな」僕は吹き出す。


ヴァイオレットは眉を少しひそめるが、主に興味深そうに見ている。

「ちょっと怪しいけど…でも心配するほどじゃないでしょ?」


「まあ、遠くから見ておこう。すぐにヒーローごっこをする必要はない」エリーは答える。


エスターは腕を組み、二人の少年たちを叱る。

「いい加減にして!何かあったら笑えないわよ!」


「はいはい、わかったよ、エスター」エリーは手を上げ、茶目っ気のある笑みを浮かべる。


ブランシュは僕の隣で軽く眉をひそめるが、普段通りの冷たい表情を保つ。彼女の視線は一瞬僕に向けられ、微かな心配を感じる。

(危なさはなさそう…でも、私は油断しない。私の天使…どんな時でも守る…)


僕はヴァイオレットをチラリと見る。

彼女は半分楽しそうで、半分興味津々な表情だ。

僕は思う。

まあ、大したことじゃない。

ただピザに行くまでの小さな笑い話だ。


「さあ、行こう」僕は笑顔で囁く。

「向こうを通り抜けて、くだらないフードごっこは放っておこう。僕はピザが食べたいんだ。」


「そうね、エンジェルくん…」ヴァイオレットは控えめに微笑む。

「警戒はしつつも、先に進もう。」


こうして僕たちは橋を渡り続ける。

緊張は消え、軽い雰囲気が広がり、エリーの小さな笑い声や僕のフードに対する冗談が、楽しげに響いた。


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