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『天使と紫の炎』  作者: Bro_Be_Like_83
第3部 — 賑わう王都の中の天使。
36/47

チャプター27.2 ― 大吹雪の姫の想い。

チャイムが校舎中に鳴り響き、一日の授業が終わったことを告げる。

生徒たちは教室を出始め、笑い声をあげながらおしゃべりを楽しみ、黄金色に輝く校庭の陽射しを満喫していた。


僕はゆっくりと荷物を整理し、少し考え事をしながら、流れに沿って正門へ向かう。

そこには、桜並木に囲まれた大きなアーチの下で、エリー、ヴァイオレット、エスターが待っていた。


エリーはにっこり笑って手を振る。

「やっと来たな!天文の授業で星に閉じ込められてるかと思ったぞ!」


僕は肩をすくめる。

「まあ、少しはまだそっちにいたかも…」


ヴァイオレットは、ヴォルタの姫としての制服をきちんと着こなし、凛とした姿勢で腕を組み、くすりと笑う。

「でも、しばしば別のことを考えているように見えるわ、エンジェルくん。月のことばかり考えて、私たちのことは…」


エスターは小さくクスリと笑った。

「まあ、勝手にテレポートされなければいいけどね…」


半ば微笑みかけた僕の言葉は、背後から響く凍てつくようでありながら、どこか礼儀正しい声に遮られた。


「エンジェルくん。」


その落ち着いた、冷たさの中に微かな歌のような響きを帯びた声を聞き、思わず足が止まる。

夕陽を背に、ゆっくりと現れたブランシュの姿が、周囲の空気を一瞬で凍らせた。


長い金髪が床をかすめるたび、威厳ある佇まいが際立ち、ささやき声が消えていく。

足取りは計算され尽くしたかのようで、まるで振付のように正確だ。

それでも、頬にわずかに赤みが差しているのが見え、緊張の中にも人間らしい温かさを感じさせた。


「ブランシュ…え、ブランシュさん?ここに…」と僕は驚きつつ口にする。


彼女は軽く頭を傾け、自然な優雅さを見せる。

「あなたたちが出発する前に、会えると思っていました。」


ヴァイオレットは眉を上げ、興味と警戒を混ぜた表情で言う。

「ふむ。エーテルの姫自らが顔を出してくださるとは。いったい何のご用でしょう?」


ブランシュはヴァイオレットには答えず、視線を僕に固定した。

「エンジェルくん、もしよろしければ、街までお供させていただけませんか。」


僕は目を瞬かせ、少し戸惑う。

「お供…ですか?」


「ええ。」

彼女は僕のすぐそばで立ち止まり、冷たい香りをかすかに感じる距離まで近づく。

「授業の後によく街に行くと聞きました。私も…」

— ほんの一瞬、視線をそらす —

「…ただ、一緒に時間を過ごせればと思っただけです。」


背後のエリーはくすりと鼻で笑った。

「ほう、面白いな。エンジェル、人気者になったんじゃないか。」


エスターはため息をつき、半分呆れ半分微笑んで言う。

「今さらだけど…今度は外国の姫様まで…」


ヴァイオレットは落ち着かない様子で、腕を組み、軽い口調で言った。

「ならば、ブランシュさまがお供くださるのなら、断る理由はありません。」


僕はこめかみに汗を垂らす。

「え、えっと…僕は…本当にいいんですか、ブランシュさん?街は賑やかで、人も多いですし…」


ブランシュは目を細め、微笑みを浮かべる。

「構いません。人混みには慣れていますから…そして、騒音を楽しみに来るわけではありません。」


僕の心臓は一瞬止まったような気がした。


エリーがエスターに小声で囁く。

「間違いなく、彼女はエンジェルくん目当てだ。」


エスターは頷く。

「一目瞭然だね。」


ヴァイオレットは深呼吸し、冷静さを保とうとする。

「それなら、行きましょう。街行きの列車はあと十分で出発です。」


ブランシュは穏やかに頷き、視線は僕から離さない。

「わかりました、エンジェルくん、ついて行きます。」


僕は首の後ろをかき、赤面を隠そうとする。

「はい、でも…あまり面白い街歩きにはならないかも…」


彼女はほんの少しだけ近づき、落ち着いた声で言った。

「あなたがそばにいれば、それだけで十分です。」


エリーは低く口笛を鳴らす。

「おお…遠回しな言い方はしないな…」


僕は目を伏せ、完全に困惑する中、皆で駅へと向かい始める。

桜並木の下、校庭を抜ける間、彼女の視線がずっと僕に向けられているのを感じた。

冷たくも熱い視線だ。


僕はこの謎めいた姫が何を考えているのか全く分からなかった。

だが一つだけ確かなことは、この瞬間、彼女こそが世界で最も僕を動揺させていたということだ。


列車は金属の小さな警笛を鳴らし、扉が開く。僕たちは素早く乗り込む。まだ数名の生徒や急ぐ通行人がいたが、僕たちの小さな一行はすぐに目立った。


ブランシュはゆっくりと僕の横に立ち、かすかな笑みを浮かべ、頬に淡い赤みがさす。制服は身体にぴったりと沿い、冷たく威厳ある佇まいは相変わらず僕を魅了する。


ヴァイオレットは思わず真っ赤になり、僕の右脇に寄り、腕を組みながら眉をひそめる。

「今日のエーテルの姫は模範生の役を演じるつもりみたいね…」と耳元で呟く。


ブランシュは動じず、横目で僕を見つめる。青い瞳は氷のようだ。

「演じてはいません、ヴァイオレットさま。ただ…よい御供です。」


僕は肩に手を置き、和ませようとする。

「二人とも…落ち着いて。この列車には全員座れるよ。」


ヴァイオレットは小声で文句を言う。

「落ち着けって?!だって…あそこに…彼女が…完璧な笑顔で…!」


僕は優しく肩に手を置く。

「ヴァイオレットさん、落ち着いて。僕もいるんだから。」


ブランシュは僕の方に少し顔を向け、微笑みを強める。

「そうですね。でも…エンジェルくん、あなたは観察するのが実に面白い。」


ヴァイオレットは目を見開き、さらに眉をひそめる。

「面白い?そんな…!」


ブランシュは視線を外さず、微かに首を傾げる。

「面白い…そう。混乱の中でも落ち着いている、特別なオーラがあります。」


僕は飲み込みながら答える。

「ありがとう…かな。でも、そんなに特別じゃ…」


ヴァイオレットは小さく吐息をつく。

「特別じゃない?彼女があなたを神か何かのように見てるって分かってる?!」


ブランシュは冷たく威厳を保ったまま腕を組む。

「神か…ふむ。まあ、勇気と力がある者には注目します。」


僕はヴァイオレットに視線を向け、半ばあきれた笑みを浮かべる。

「ヴァイオレットさん…君は特別だって分かってるでしょ?」


ブランシュはほのかに笑うが、視線は僕から離れない。

「そして私は反対意見を言ったわけではありません。エンジェルくん…大切なものを見守りたいだけです。」


ヴァイオレットは腕を組んだまま少し下がり、僕にさらに寄る。

「ああ…ダメだ…全然ダメ…」


僕はため息をつき、半分楽しみ半分困惑して言う。

「ヴァイオレットさん…深呼吸。街に行くだけで、食事するだけだよ。」


ブランシュは優雅に頭を傾け、微笑を浮かべる。

「お待ちかねですか、エンジェルくん?少しの時間でも、喜んでお供します。」


僕は頷く。

「はい…来てくださって嬉しいです。」


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


列車の警笛が再び響き、出発の準備が整った。

僕たちが席に腰を下ろすと、ブランシュの冷たくも妖しく魅力的な視線が、じっと僕を捉えている。

その一方で、ヴァイオレットの熱い体温が脇に押し付けられ、正反対の感情が同時に押し寄せる。

二つの強烈な存在の間に立ち、なんとか心を落ち着けようとする僕の鼓動は、自然と速くなる。


「さて」と、笑顔を作ろうとしながら僕は言った。「お互いに踏んだりしないようにしよう、いいか?」


ヴァイオレットは小声で文句を言う。

「踏むって?!私のことじゃなくて…彼女のことじゃない!」


ブランシュは、礼儀正しくも集中した微笑みを浮かべる。

「気をつけます。邪魔をしたくありません、エンジェルくん。」


僕は黙る。

少し戸惑うが、不思議なことに…この時間が終わってほしくないと感じていた。


列車が足元でかすかに振動し、ブランシュの存在がそばにあるのを感じる。

その冷たさの中に、奇妙な安心感が混ざっていた。

彼女は小さく微笑み、僕はつい、バカみたいに笑顔を返してしまう。


「エンジェルくん、」彼女は柔らかく声をかける。

「授業は今のところ順調ですか?」


僕は肩をすくめ、冷たい青い視線を感じながらも、少しでもリラックスして見せようとする。

「まあ…悪くない。天文はやっぱり好きだ。」


ブランシュは軽く首を傾げ、金色の髪が完璧な顔を縁取る。

「天文…面白いわね。星を観察し、宇宙を理解する…あなたにぴったりです。」


僕は少し眉をひそめ、驚きつつ微笑む。

「そう思う?」


(このエルフ…この紫の瞳を持つ少年…一挙手一投足、全てが完璧…!)


「それから、友達とは上手くやっているの?」彼女は声に出して尋ねる。


僕は右にいるヴァイオレットをちらりと見、エリーとエスターは笑いをこらえきれずにいるのを確認する。

「ヴァイオレットさんは少し…独占欲が強いかな」と微笑みながら答える。


ヴァイオレットは唸り、腕を組み、さらに僕にくっつく。

「独占欲が強いだって?!私が?!バカ!」


ブランシュは依然として冷静で、礼儀正しい微笑みを浮かべながら彼女を見る。

(こんなに騒がしくて…それでも、エンジェルくんはすべての中心にいる…魅力的…そばにいるだけで幸せ…守らなくちゃ…)


再び僕に視線を戻す。

「なるほど…だから、これだけ熱心な存在に囲まれているのも当然ですね、エンジェルくん。」


僕は小さく笑い声を漏らす。

「ええ、それも魅力の一つだろうね。」


(ヴァイオレット…うるさいけど、彼じゃない。私の視線も、愛情も、心も…全部彼のもの…彼の言葉も笑顔も…大切にする…私の天使…私の英雄…私のすべて…)


エリーはエスターに小声で囁く。

「見たか?ブランシュさま、完全にエンジェルくんにメロメロだ…でも氷のように冷たい。」


エスターは笑いを抑えきれず爆笑する。

「マジで笑える!エンジェルって、賞賛を引き寄せる磁石みたい…」


ヴァイオレットは大きく息を吐き、反論しようとするが、僕は肩に手を置き落ち着かせる。

「ヴァイオレットさん…放っておこう。彼女は…僕に魅了されているだけだ。」


ブランシュは微かに頭を傾け、ほとんど気づかれない微笑みを浮かべる。

「魅力的…混乱の中でも落ち着いていられる…この騒がしさの中でも、エンジェルくん、あなたは…立派です。」


(大好き…もし彼が知っていたら…もし理解してくれたら…でも、彼は僕を見て、笑ってくれる…それで十分。私の天使、私の英雄…私はいつもここにいる…)


僕は少し赤面するが、何も言わず、二人の間に柔らかな沈黙が訪れる。

ヴァイオレットは静かに苛立ち、エリーとエスターは笑いをこらえきれない。


「さて…」僕はやっと口を開く。「中心街に着くまで、あまり目立たないようにしよう。」


ブランシュは頷き、青い視線を僕から離さない。外見は冷たいが、心の中では愛で燃えている。

(うん…行きましょう。でも、どんなことがあっても、私の天使のそばにいるわ…)


ヴァイオレットはまたため息をつき、エリーとエスターは笑う。

そして僕は…二つの全く異なる熱い視線に挟まれながら、つい笑みを浮かべてしまうのだった。


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