チャプター25 ― 違う角度で見た王都の絶景。
駅に着くと、五分後にアナウンスが流れた。
「王立ヴォルタ学園行き、最終案内。発車はただちに、2番線。」
「いやあっ!」ヴィオレットが叫ぶ。
「急いで、急いで、出ちゃう!」
「走れ!」エリーも叫びながら、もう駆け出していた。
僕たち四人は全力で走る。
人混みを縫い、鳩を避け、看板をかすめ、制服のバッグが体にぶつかる。
駅構内はエンジン音と人々の声で振動していた。
「もっと速く、ヴィオレットさん!」僕は笑いながら叫ぶ。
「頑張ってるのよ!」彼女は息を切らしながら、長い紫色の髪を風になびかせる。
一方、エスターはすでに怒り顔。
「もしこの電車に乗り遅れたら、絶対に――」
チーーーッ
電車はゆっくりと、しかし堂々と動き出した。
僕たちはギリギリでホームの端に到着…間に合わなかった。
「冗談でしょ?!」ヴィオレットは膝に手をつき、怒鳴る。
「たった二秒で電車を逃すなんて!」
「もう…無理…」エスターはうめく。
「いつもあなたたちと一緒だとこうなるのよ。」
エリーは笑いをこらえきれず、爆笑する。
「ねえ、魔法さえあればチケットなんていらないんじゃない?」
僕は微笑む。
「その発想、いいね。」
ヴィオレットが僕を見つめ、戸惑う。
「え?エンジェルくん、何…」
僕はそっと手を握る。
彼女は固まった。
心臓が早鐘のように打っている。
「え、エ、エンジェルくん…?」
僕はウィンクする。
「信じて。」
隣ではエリーが楽しそうに、エスターに手を差し出す。
「さあ、プリンセス、次はあなたの番よ。」
エスターは真っ赤になる。
「そんな呼び方、しないで…!」
「もう遅い。」エリーは手を握りながら言う。
「高所恐怖症なら目を閉じなさい。」
「高所――」
ピュウウウウッ!
一瞬で世界が歪む。
音が糸のように細く伸び、光はねじれ、太陽の熱が一点に集中するかのようだった。
そして…
ドンッ!
僕たちは再び現れた。
しかし、今回は…電車の上。
屋根の上だ。
十三時五十の温かい風が顔を打ち、眼下には街が広がる。
「うそ…」ヴィオレットが呟く。
「…電車の上に…?!」
エリーは両手を広げ、はしゃぐ。
「わあああ!すっごく楽しい!」
エスターは手すりにしがみつき、叫ぶ。
「楽しいって…!?ここ、地面から六メートルはあるのよ!」
僕は笑う。
「二十メートルどころか、二百メートルはある。でも大丈夫、僕が全部コントロールしてる。」
「コントロール、だって?!」ヴィオレットは必死にバランスを取りながら言う。
「もし滑ったら…!」
僕は彼女の手を少し握る。
「そのときは、僕が受け止めるよ。」
彼女は驚き、顔がじんわり赤くなる。
「そ、そんなこと、自然に言っちゃダメ…!」
エリーは大笑い。
「エスターの顔、見て!まるで玉座から放り出された貴族みたい!」
「黙れ!」エスターは叫び、髪を風になびかせる。
「もし落ちたら、あなたも一緒に連れて行くんだから!」
「約束守るよ!」エリーはさらに笑う。
僕は立ち上がり、遠くを見つめる。
眼下にはヴォルタの街が広がる――黄金の屋根、曲がりくねった大通り、交差する橋。
そして遠くには青い海が見える。
電車は緩やかな坂を下り、崖や古い街並みを縫うように走る。
すると遠くに、壮麗な光景が現れる。
黄金のドーム。高くそびえる塔。
その中心、光に包まれたのは――王立ヴォルタ大宮殿。
「わぁ…」ヴィオレットが胸に手を当てて息をのむ。
「ここからでも美しい…」
「まるで海の上に置かれた巨大な宝石みたい…」エリーは目を見開く。
緊張の中、エスターもゆっくり頷く。
「…私たちの誇り。王国の中心ね。」
僕はしばらく黙って、宮殿の金色の反射が海に揺れるのを見つめる。
そしてそっと息をつく。
「面白いな…美しいけど、圧倒される。まるでこの壁の向こうに世界全体があるみたいだ。」
ヴィオレットが僕を見つめ、柔らかく微笑む。
「いつか、一緒に見に行けるかもね。」
僕は少し驚いて振り向く。
「一緒に、か?」
「うん。」彼女は静かに言う。
「あなたと私、そしてエリーとエスター。」
エリーは顔をしかめる。
「待って、私は王家の馬車の余った車輪にはなりたくないんだけど。」
エスターは目を天井に向ける。
「誰もあなたを乗せろとは言ってないわ。」
「おおっ、痛いとこ突くね、貴族!」エリーは笑う。
「大好き。」
温かい風の中、笑い声がレールの響きと混ざる。
空中の電車に揺られる四人の影、そして遠くに輝く宮殿――夢のような一瞬。
僕は思わず微笑む。
多分、今日のヴォルタは今までで一番美しかった。




