チャプター17 ― ヴォルタの紫色の影たち。
ようやく私たちは駅に到着した。
広々として明るく、朝の喧騒がすでに活気を帯びている。
大理石の床は、天井の大きなガラス窓から差し込む光を反射し、空気は列車の笛の音やスピーカーから流れるアナウンスで満たされていた。
ヴァイオレットは私の隣を歩きながら、真剣な口調で説明を始める。
しかし、どこか誇らしげな響きがその声に混ざっていた。
「この駅には、四本の主要な線路があります。端には二つのホームがあり、中央には二本の線路を占める大きな中央ホームがあって、ほかのホームよりずっと広いの……」
彼女は一度言葉を切り、周囲を流れる人々の波を見渡す。
「学園とは反対方向では、線路が二手に分かれています。一方は町の外へまっすぐ伸び、もう一方は首都の北西部まで延びるのよ。」
私は興味深そうに彼女を見つめる。
その背後でエリーが、悪戯っぽく笑った。
「おいおい、まだ列車に乗ってもいないのに、首都の公式ガイドを始めるつもりか?」
ヴァイオレットは冷たく、威厳を帯びた顔で彼に向き直る。
だが、その瞳の奥には微かに柔らかな気配が滲んでいるのを、私は感じ取った。
「もちろんよ。行き先を知ることは大事だから、エリー。エンジェルくん、あなたも知っているかもしれないけれど、私たちが乗るホームは――二番目の端のホーム。学園に直接繋がるホームよ。」
私は頷き、選ばれたホームを目で追った。
朝日の下で光る線路、駅の建築、デジタル掲示板、急ぐ人々――すべての細部を頭の中に刻む。
エリーが肩を軽く叩く。
「さあ、小さな天使、ホームへ行くぞ! 遅れると、ヴァイオレットに魔法でもかけられて早歩きさせられるぞ!」
私は口元に微かな笑みを浮かべ、ヴァイオレットは兄の冗談など気にも留めず、優雅に二番ホームへと私たちを導く。
その姿は自信に満ち、今日一日を私と共に過ごすのを心待ちにしているようだった。
列車は軽くブレーキをきしませながら駅に滑り込む。
驚いたことに、車内は意外なほど空いていた。
私は窓側の右の席に座り、流れる景色に視線を遊ばせる。
街は緩やかな坂に沿って広がり、現代的な建物と伝統的な建築が入り混じる。
複雑な高低差が、まるで生きた絵画の中を旅しているかのような錯覚を与える。
遠くには穏やかな海が広がり、太陽は西に昇り始め、柔らかな色彩で水平線を染めていた。
私はヴァイオレットに目を向け、少し皮肉めいた声で尋ねる。
「ねえ、学園まであと何駅だっけ? どれくらいかかるんだ?」
彼女は微かに笑みを浮かべ、いたずらっぽく答える。
「八駅、だいたい三十分よ、エンジェルくん。」
私は小さく不満の息を漏らす。
するとエリーもすぐに口を挟む。
「三十分…マジかよ!」
ヴァイオレットは柔らかく、ほとんど聞き取れない程度に笑い、目を細めてウィンクした。
「景色を眺める時間はたっぷりあるでしょう? それに、私が一緒にいるから退屈しないわ。」
私は目をそらし、背後に広がる街を眺める。
エリーは座席に身を乗り出し、皮肉めいた声で呟いた。
「海や丘を見てたって、時間は短くならないんだぜ…」
ヴァイオレットは楽しそうに私を見つめ、心の中で思っていることがわかる――
私とこの時間を過ごすだけで、彼女はもう喜んでいるのだ。
私は言葉を返さず、ただ軽く微笑む。
目の前に広がる海と街を見つめながら。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
列車が発車してから十数分が過ぎ、すでに三駅を通過していた。
車内は次第に混み合い始め、新たな学生たちが乗り込む。
皆、少しそわそわし、楽しげに話す声が響いていた。
その中で、ヴァイオレットの姿を見つけた瞬間、何人かが小さく囁き合う。
だが、彼らの視線は私から離れなかった。
車内の光が私の白銀の髪と紫の瞳に反射し、自然と視線を引き寄せていたのだ。
少し離れた席の男子が、友人に小さく囁く。
「こ、こいつ…姫の友達じゃないか?」
友人は顔を赤らめ、言葉をつまらせながら答える。
「う、うん…でも…見てよ、この顔…まるで天使みたいだ!」
ヴァイオレットは、自分がすでに注目を集めていることを意識しながら、そっと彼らの方へ顔を向ける。
表情は冷たく凛としているが、唇の端には小さな微笑みが浮かんでいた。
「皆さん、おはよう」
その声は落ち着いているが柔らかく、ささやきはさらに驚きの目に変わった。
別の学生が、抑えきれずに叫ぶ。
「そして、そこの…白髪の少年! お名前は? あなた…本当に素敵です!」
私はいつも通り、沈黙を守る。
ただ窓にもたれ、流れる景色を見つめているだけだ。
その背後でエリーが、思わず笑みを浮かべて囁いた。
「おいおい…女の子たちがメロメロになるのは分かってたけど、男の子までか?」
ヴァイオレットは少し突き放すような口調で、でも楽しそうに答える。
「エリー…黙って。」
しかしその目には微かな遊び心が光っていて、彼女がこの光景を内心楽しんでいることが伝わってきた。
ある女子が、我慢できずに隣の友人に囁く。
「まるで…天から降りてきた天使みたい。こんなの…初めて見た!」
友人は大きく頷き、ヴァイオレットをちらりと見やる。
「そして彼女…姫様! 本当にすごいわ!」
その背後で、エリーが笑い声を上げる。
数人の学生にも聞こえるように言った。
「忠告しておくぞ、白髪の少年はほとんど喋らないから、名前を聞こうとするなよ!」
ヴァイオレットは軽く唇を結ぶが、やはり微かな笑みが零れる。
ささやきや囁きは続く。
私は沈黙を守り、視線を海と街の起伏に向ける。
それでも、この注目と賞賛の重みを感じていた。
車両の向こう端の男子が友人に向き直る。
「…あいつに話しかけることって、できるかな?」
友人は顔を赤らめ、小声で答える。
「無理だ…あいつは…非現実的だ…エンジェル…本物の天使だ…」
ヴァイオレットはそっと頭を振り、微笑む。
その表情から、彼女もまた皆と同じように魅了されているのがわかる。
ただ、冷静さと王女としての威厳を保とうとしているだけだった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
だが、すべてが穏やかで静かに見えたその瞬間、外から突如として低く重い衝撃音が響いた。
街の高台にそびえる建物から、海へ向かって下る斜面の方向だ。
金属と石の床が微かに震え、ほとんど同時に、厚く黒と赤の混ざった煙が空へと舞い上がり、渦を巻きながら街の上空に広がっていった。
生徒たちは驚き、窓際へ駆け寄って声を潜め、囁きながらその光景を見つめる。
「な、なにあれ…?」
一年生の一人が目を大きく見開き、恐怖と驚嘆の入り混じった声で呟く。
「火事…なのか?」
別の生徒も小さな声で疑問を漏らす。
私は顔を向け、眉をひそめた。
煙の立ち方が異常で、まるで…意図的に作られたかのように見える。
冷静さを保ちながらも、全身にぞくりとした感覚が走った。
ヴァイオレットは窓際に立ち、生徒たちに落ち着いた声で語りかける。
「皆さん、心配しなくて大丈夫。ヴォルタの部隊は非常に効率的です。この煙も数分で収まります。」
数人の生徒はほっと息をつき、拍手を送る。
その落ち着きと威厳に感心したのだ。
エリーと私は視線を交わす。
言葉は必要なかった。
これが単なる偶然ではないことを、二人とも理解していた。
煙、衝撃音、場所――何かがおかしい。
エリーは小声で囁いた。
「不自然だ…ただの事故じゃない。」
私はゆっくりと頷き、視線を黒と赤に染まった煙の塊に向け続ける。
外で起きていることは、街がこれまで経験したどんな危険よりも大きな事態の始まりかもしれない、と理解しながら。
ヴァイオレットは外見上は冷静で威厳に満ちているが、私たちの視線を察し、軽く眉をひそめる。
彼女も、これはただ事ではないと感じていた。
「落ち着いて。ヴォルタは私たちを守ってくれるわ。」
その言葉の裏で、エリーも私は、この列車が単なる目撃者に過ぎないことを知っていた。
より複雑な問題の到来を静かに見守る存在にすぎない、と。
外の煙はまだ静かに揺れ、列車は速度を少し落とす。
生徒たちも、ヴァイオレットも、エリーも、そして私も、よりはっきりと現場を見渡すことができた。
赤と黒に染まる空を背景に、人影が鮮明に浮かび上がる。
約三十人の女性たち、皆が高く、すらりとした体型で、異様なまでに統率された動きを見せる。
まるで場所を知り尽くしているかのように軽やかで、彼女たちの一挙手一投足には無駄がなかった。
「な、なに…あれ?」
窓に顔を押し付ける一年生が、口を半開きにして囁く。
「火を…操っているの?」
別の生徒も小声で驚きと恐怖を混ぜて囁く。
私の視線はすぐに、七つの異彩を放つ人物に引き寄せられた。
皆高く、すらりとしており、それぞれの動きが正確に計算され、互いの一挙手一投足を先読みしているかのようだった。
炎はまるで見えない力に制御されるかのように退き、混沌に見えた光景は瞬く間に統制された火災へと変わった。
「す、すごい…!」
生徒の一人が感嘆の声を上げる。
「ヴォルタの首都の新兵…じゃないのかな?」
ヴァイオレットは眉をひそめ、目をその群れに走らせる。
心臓が少し速く鼓動する。
だが表情には戸惑いも認識もない。
「違う…知らない。彼女たちは…公式な新兵ではない。」
「え? でも火の扱い方…!」
近くの生徒が囁く。
「まるでプロみたいなのに!」
ヴァイオレットはわずかに首を振る。
視線は困惑しているが冷静さを崩さない。
「本当に…誰だか分からないの。」
エリーは小さく鼻を鳴らし、不満げに呟く。
「まったく…またかよ…」
私も眉をひそめる。
「うん…時間を無駄にせず、すぐにその存在を示したんだ。」
「誰のこと?」
ヴァイオレットが私たちの囁きに反応する。
「何でもない…気にするな。」
エリーはぎこちない笑みを浮かべて言う。
「ただ…楽しむのが好きな連中だ。」
私はエリーを見て、言葉を交わさずとも互いに理解していた。
この七人の長身の女性たち…私たちはずっと前から知っている。
彼女たちは常に独自の方法で混乱をもたらし、私たちの限界を試す。
だが決して無意味ではない。
「また…遊んでいるだけだな…」
小声で、自分に言い聞かせるように呟く。
ヴァイオレットは眉をひそめる。
「まるで…誰か分かっているみたいに言うわね。」
エリーは小さく笑い、低く囁く。
「まあ…以前に一度、関わったことがあるだけさ。」
「以前…?」
ヴァイオレットは目を細める、警戒心を露わに。
「そう…以前。でも今は説明する時じゃない。とにかく、その光景を楽しめ。」
エリーの声には少し茶目っ気が混ざっていた。
煙は徐々に薄れ、女性たちは影に溶け込む。
残されたのは無傷の建物と、ほとんど現実とは思えない静けさ。
生徒たちはまだ拍手を送る。
驚嘆の声が小さく囁き合い、グループの力と統率に感心していた。
ヴァイオレットは視線を外せず、心臓が少し速く打つ。
「…理解しないと…」
彼女は自分に囁く。
エリーと私は視線を交わし、思わず皮肉な微笑みを漏らす。
「うん…彼女たちは私たちと遊ぶのが好きなんだ。」
エリーが囁く。
「そして、ここで止まるつもりはない。」
私はそう続けた。




