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『天使と紫の炎』  作者: Bro_Be_Like_83
第3部 — 賑わう王都の中の天使。
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チャプター15.1 ― ピザと愛情過剰な姉。

物語にほんの少しだけ手を加えました。以前の名前「エリエ」を、個人的にしっくりこなかったので「エリー」に変えただけです。

この章に至る前では、これが唯一の変更です。

皆さんに楽しんで読んでいただけたら嬉しいです。どうぞよろしくお願いいたします。

店内には陽気なざわめきが響き渡り、窓を通して差し込む夕陽の橙色の光が、空間を柔らかく染めている。

ダフネーが湯気の立つ皿をテーブルに置く。


ダフネー ― 「はい、どうぞ!三つの大きなピザ、そして約束通りエリーのためにペパロニのピザも!熱いから気をつけてね。」


エリー ― 「おお、これは本気だな!匂いだけで、三回おかわりしたくなるぞ!」


俺は静かに黙ったまま、湯気が立ち上るのを眺め、そっと自分のピザにかぶりついた。

瞬時に目が輝き、心からの感動が顔を駆け抜ける。


「……おいしい……。」


短い沈黙。

ヴァイオレットが俺を見つめながら、突然左腕を掴む。


「えっ、ホント?!エンジェルくん、美味しいの?!」


エリーは眉を上げて、楽しげに。


「おお…始まったな。」


ヴァイオレット、激情に駆られた声で続ける。


「じゃあさ、望むなら、もっとたくさん買ってあげる!

王国中のピザ、ヴォルタのすべてのピザ!いや、世界中のピザだって!」


俺は目を丸くして見つめ、無言で静かに噛む。少し戸惑いながらも。

ダフネが腹を押さえて笑い転げる。


ダフネー ―「 神々の名のもとに、ヴァイオレット、相変わらずね!ちょっとした言葉で燃え上がるんだから!」


エリー(茶化して) ― 「ハハハ!こんな約束ばかりしてると、俺たち破産しちゃうぞ!ダフネー、気をつけろ、彼女は“天使”のためなら店を丸ごと買い取ろうとするかもな!」


ヴァイオレットは真っ赤になり、俺の手を離すと、頭のフードをかぶり、白く長い髪で顔を隠す。


「や、やめて……ただ言っただけよ……」


俺は落ち着いて、もう一口かじる。


「……本当に、美味しい。」


今度はダフネも柔らかな笑顔になる。


「気に入ってくれて嬉しいわ、エンジェル。よかったら次は、私の特製“クレーマ・ディ・タルトゥーフォ”も味わってみてね。」


ヴァイオレット、僅かに顔を上げ、嫉妬の眼差し。


「……一緒に行くならね。」


エリー(冷やかして) ― 「王族の独占欲だな。」


ヴァイオレット(睨みつけて) ― 「黙って、エリー。」


店内の雰囲気は再び和やかに。

ヴァイオレット、エリー、ダフネが笑いながらお互いをからかう。

俺、エンジェルは静かに窓の外を眺める――

川に反射する金色の光、ライトアップされた橋、首都を行き交う人影。

珍しく心が穏やかに満たされていく。


突然、店のベルが鳴り、静かな空気を切り裂く。

驚きと興奮が混じった女性の声が響く。


「神々の名のもとに、夢じゃないわよ!!!」


皆が振り返る。

入り口の女性が目を見開き、ほとんど非現実的な叫び声を上げた。


「アアアアア!!! エンジェル!!!!!!」


俺は驚き、ゆっくりと頭を上げる。

言葉を発する間もなく、彼女は猛スピードで俺の元へ駆け寄る。


エリー ― 「ああ…来たか…」


一瞬で、彼女は文字通り飛びつき、俺を強く抱きしめる。

椅子が軋むほどの力で。


「アハハハ…弟よ!!愛しの弟!!神々の名のもとに、本当にあなたなのね!!!」


長い茶髪が膝まで流れ、俺の銀髪と絡む。

細身だが均整の取れた体が感情で震え、紫の瞳に涙が光る。


俺、少し押しつぶされ気味で、小さく呟く。


「……ヘレナ?」


俺の姉、ヘレナ、身長一七五センチ、茶髪、紫の瞳、均整の取れた体、いつもの学園服。

俺をさらに強く抱きしめる――彼女の身体能力の強さを完全に忘れていた。


少し離れ、両手で俺の顔を挟む。


「うん……私よ……ああ、あなた、大きくなって、美しくなって……まるで……天使みたい。」


エリー、腕組みしながらため息。


「相変わらず大げさだな、姉さん。息を詰めるぞ。」


ヘレナ、少し楽しげに、少し怒り混じりに視線を送る。


「黙れ、エリー!二度と会えないと思ったのよ!」


ヴァイオレット、目を見開き、立ち上がる。


「ヘレナ?!いたの?!」


ヘレナが顔を向け、ヴァイオレットを認識。


「あっ! ヴァイオレット!」


二人は驚きの声をあげ、抱き合いながら神経質に笑う。


ヴァイオレット ― でも、気をつけて、肋骨折れるわよ!


ヘレナ(笑いながら、まだ抱きつく) ― 無理!弟よ、六歳から抱えてるんだから、たとえ……


首の包帯に目を留め、一瞬表情が曇るが、すぐ柔らかくなる。


「……変わったけど、大丈夫。」


俺は目を伏せ、照れながらも、ヘレナに髪をくしゃくしゃにされる。


「心配しないで。会えたことが嬉しい、それだけ。」


エリー、大笑い。


「まるでファミリー再会が店内で行われてるみたいだ…客が寄ってくるぞ!」


ダフネー、カウンター越しに、微笑みながら。


「もう見てるわよ。皆、こっちを注目してる。」


ヴァイオレット、ため息混じりに微笑む。


「……ようこそ、首都へ、エンジェルくん。ここでの再会も壮観ね。」


ヘレナ、輝きながら再び俺を抱きしめ、隣に座る。


「もう離さないわ、弟よ。今度はずっと一緒。」


俺は、普段の彼女の遠慮にも関わらず、微笑みを浮かべる。


ヘレナ、息を整えながら起き上がり、茶髪に手をやる。

他人の視線に少し赤くなり、小さく神経質に笑う。


「ハハハ…ごめんね、あの…ショーのせいで。」


ダフネー、カウンター越しに笑顔。


「おやおや、ヘレナじゃない!久しぶりね。相変わらず派手ね。」


ヘレナ、嬉しそうに近づく。


「ダフネー!エプロン姿だと分からなかったわ。元気?」


「元気よ!あなたは?いつも弟を追いかけてるの?」


ヘレナ、優しく笑い、俺を見る。


「ずっと。そして今回は離さないつもり。」


二人は温かい言葉を交わし、ダフネーがメニューを渡す。

ヘレナ、さっと目を走らせ、元気に宣言。


「ペパロニピザ一枚、お願いします!いつも通り、カリッとね。」


ダフネー、頷く。


「了解、食いしん坊の姉さん!」


ヘレナ、笑いながら戻り、俺の向かい、エリーの隣に座る。

そのエネルギーは、店内の落ち着きと対照的で、俺を見つめる笑顔は優しい。


「信じられない…ここにいるのね、目の前に。夢みたい。」


俺、少し窓の外を見る。

川に反射する夕陽の光。


「夢じゃない、ヘレナ。」


エリー、グラスを傾けつつ、笑って口を挟む。


「気をつけろ、真面目に答えたら魔法が壊れるぞ。」


ヘレナ、肩を小突く。


「黙れ、エリー。この素晴らしい瞬間を楽しませて。」


俺、微笑む。

客の喧騒、ピザ窯の熱気、それでもこの場面は優しく穏やかだ。


ヘレナ、エリー、ヴァイオレット、そして背景のダフネ…

過去と現在の一部が、ただ一つのテーブルに集まっていた。


俺がピザを食べ終える頃、腹が反乱を起こす。

大きな音の鳴る腹鳴りが静寂を破る。


次の瞬間、ヴァイオレットとヘレナが俺を振り返る。

二人の瞳が光る…しかし違う輝きで。


「だ、だめ、まだお腹空いてるの!?!」

ヘレナ、両手をテーブルに置く。


「放っておけないわ」

ヴァイオレット、冷静ながら決意に満ちた声。


俺が口を開く前に、二人は同時に立ち上がる。

椅子が床に軋む。


「待って――」


「戻るわ!」

ヘレナ、得意げに。


俺、ため息。

エリー、頭を抱えながら笑う。


「お前のことになると、二人とも獅子みたいだな。」


俺は睨む。


「喋りすぎると食われるぞ。」


彼、喉を鳴らして笑う。


カウンターでは二人の“姫”がすでに行動を開始。


「ダフネー!」

ヘレナ、金貨を振りかざす。

「大好きな弟のために、四種チーズピザ一枚!」


「うちの天使よ」

ヴァイオレット、胸に手を置き、劇的に。

「チーズはたっぷりよ、最高のものをあげなきゃ。」


ダフネー、手を上げ、茶目っ気たっぷりに笑う。


「ほほう…彼を養うための指輪付きね。」


俺、立ち上がる。


「いいよ、自分で払う。」


ヘレナ、振り向く。


「え?!あんた?!まさか!」


「俺が連れてきたのよ」

ヴァイオレット、抗議。

「次は私が払う番。」


俺、呆然。


「知ってる?ただのピザだよ?」


「エンジェルくんのためのピザよ」

ヴァイオレット、真剣な表情。


「その通り」

ヘレナ、付け加える。

「彼のことになると、“ただのピザ”なんてない。」


俺、額に手をやる。


「ほんとに手に負えない…」


エリー、テーブルから、劇的に叫ぶ。


「ダフネー!二人に一枚ずつ置け!さもないと喧嘩するぞ!」


「いいアイデアね!」

ダフネー、笑いながら。

「四種チーズ二枚、オッケー!」


二人の姫、固まって見つめ合い…

ささやき合いながら共謀者のように相談。


「全部食べられると思う?」

ヘレナ。


「分け合えば…一緒に、ね」

ヴァイオレット、頬を少し赤らめ。


俺、ため息。


「まったく…」


ついに二人は勝ち誇って席に戻る。

俺の両脇に座り、ダフネーが持ってきた湯気の立つピザを見つめる。


ヘレナが軽く肘で押す。


「さあ、食べて、私のエンジェル。君のためよ。」


ヴァイオレット、そっと添える。


「うん…前のより美味しいか教えてね。」


俺、ため息をつき、一口かじる…

無意識に、微笑む。


「前より美味しい。」


沈黙。

そして同時に二人の声。


「本当に?!」

二人は互いに向き合い、天使のための最高の一口”を巡り、また言い争う準備をしていた。


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