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『天使と紫の炎』  作者: Bro_Be_Like_83
第1部 ── 天使、再臨す。
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チャプター0 — 私の新しい光

皆さん、よろしくお願いします。楽しんで読んでください!

あなたは一人になったことがありますか…?

「うわ、すごく寂しい!」という意味での一人ではなく、他人の存在をまったく感じられなくなる、そんな一人です。

何も見えない。目の前には虚無しかない。

未来はぼんやりとして霧の中のようで、遠くにあるかのように感じられる。まるで壁が道を阻んでいるかのように。

泥にまみれた道でも、血にまみれた道でも、進むべき道は同じ。あなたは孤独である運命なのです。


誰かに大切にされているという温もりを感じられないことはありますか?

抱擁、愛撫、優しいキス…何もない。心は完全に凍りつき、吹雪が心を凍らせる。

こんな人生を耐えられると思いますか?

私は…わからない、いや…もうわからない…。

どうしてそんな人たちが笑顔を作れるのかもわからない。

そして、そんな虚無を抱えている人たちが paradoxal に他人に優しく、思いやり深く、献身的であることも…

これが「天使 」と呼ばれるものなのでしょうか?


月を見ながら夢を見たことはありますか?

月に足を踏み入れたごく限られた者の仲間に入るとかではなく、ただ夢を見る…

何も考えず、長く歩きながら、光もなく、目的もなく、ただ歩く…


私は歩く…また歩く…そしてまた歩く…

細かい雨粒が私に当たる。何だろう?雨か?それとも悲しい空が悲しみを他人に伝えているのか?


目的もなく、温もりもなく、感情もなく、虚無の中、極寒の中…私は歩く…


空が泣いている。


どれくらい歩いたのかはわからない。

地面は濡れ、足は泥に沈む。それでも歩き続ける。

なぜかも、どこへ行くのかもわからない。


何もない。

目の前にも、後ろにも。

骨を食い破るような寒さと、足跡を消す雨しかない。


空腹も恐怖も痛みも感じない。

体はただの空の殻、最初から放置された器のようだ。


手を見る。震えているが、寒さのせいではない――虚無で震えているのだ。

名前も、記憶も、光もない。

世界は灰色で、凹凸もない。風さえも疲れているようだ。


時々、自分がまだ呼吸しているのか、それとも生命を装っているだけなのかを疑う。

私は歩く、歩き続ける、足が折れるまで。


泥に倒れると、ついに何かを感じる――かすかで脆く、ほとんど非現実的な音。

声でも呼びかけでもない。

ただ…存在。

弱く、遠く。

しかしこの絶対的な虚無の中で、それだけはまだ失っていないものだ。


目を落とす。

手は包帯に覆われ、濡れ、重く、皮膚に貼り付いている。

布は赤く、古い血で染まり、寒さで乾き、雨で再び色を取り戻している。

指は震え、一つずつゆっくり動かす。異物のように感じる。

腕も肩まで包帯で覆われ、暗い痕が布を通して伸び、痛みが隠されることを拒んでいる。


左脚は包帯で固められ、ほとんど死んでいる。歩くたびに痛みが増すが、それでも歩き続ける。


首に手をやる。包帯はよりきつく巻かれている。押すと、治りきらない傷の焼ける痛みを感じる。

金属の味が口に広がる。

咳が出る。乾いた深い咳が全身を揺さぶる。


なぜこの傷があるのか、なぜまだ生きているのかはわからない。

感じるのは、虚無だけ…誰かが自分のすべてを奪い去り、廃墟のような体だけが残され、存在理由のない息だけがあるようだ。


雨が血を洗い流すが、沈黙は消えない。

私はもはや記憶だけ…何も覚えていない。


洞窟に避難する。

暗い隙間、雨が届かない岩の間。

空気は重く湿っており、濡れた石と冷たい土の匂いが充満している。


疲れ果て、赤い跡を地面に残しながら、そこに這い込む。

壁に背をもたれかける。石は冷たく、背中に張り付く。


目を閉じる。

少しでも眠りたい。ほんの数分だけ。

しかしまぶたは閉じようとしない。体は震え、燃え、同時に凍る。

熱が上がる。


さらに咳き込む。洞窟に響き、虚無に消える。

呼吸の一つ一つが戦い、鼓動の一つ一つが胸の鈍痛だ。


石の天井を見る。雫がゆっくりと落ち、規則正しいリズムで地面に落ちる。

数える…一、二、三…

そして数を忘れる。


私は一人だ。

そして初めて、恐怖を感じる。

死ぬことではなく…このまま生き続けることが怖い。


膝を抱え、もはや存在しない温もりを探す。

冷たさが骨に染みる。

疲労と痛みにも関わらず、眠りは訪れない。

そこにあるのは沈黙だけ。

そして私。


翌日、世界は変わらない。

雲は低く垂れ込み、地面を押し潰すかのよう。

風は木々の間で叫び、氷の雨が容赦なく降る。

私はまだそこに座り、空っぽのままだ。


だが、音が騒音を突き抜ける。

かすかに、遠くで。

金属のぶつかる音、かすれた叫び。

戦いだ。


私は一瞬動けずに立つ。体は抗議し、筋肉はここに留まれと懇願する。

しかし、心の奥で何かが拒む。好奇心か、単なる本能か。


私は立ち上がる。

一歩一歩が苦痛だ。左脚は引きずり、包帯は皮膚に貼り付き、呼吸は乱れる。

雨が視界を曇らせ、風がほとんどバランスを奪う。


それでも音は明瞭になる。金属と金属の音、泥の中の足音、短い叫び――そして沈黙。

私は立ち止まる。心臓が早鐘を打つ、理由はわからない。

助けようとも逃げようとも思わない。

ただ…見たい。

まだ戦う理由を持つ者たちに、世界が何をするのか見たい。


さらに進む。疲労と痛みに満ちた一歩一歩。

そして目にする。

少年だ。

黒い中くらいの長さの髪は乱れ、ほとんど顔を覆っているが、目は隠れていない。

暗い前髪の向こうに、かつて見たことのない輝く青が燃えている。それは説明できない衝撃を与える。


動きは恐ろしく精密だ。

一つ一つの動作は計算され、流れるようで、致命的だ。

周囲の山賊は次々に倒れ、叫びも迷いもない。

彼は笑う。

残酷で鋭く、理解できない自信に満ちた笑いだ。


私は動けず、目を逸らせない。

彼はまだ私に気付かない。

だが、その青は私を貫き、凍らせ、同時に惹きつける。

虚無の中の光だ。

しかし、柔らかな光ではない。

全てを焼き尽くす炎のような光だ。


私は恐怖か魅了か、わからない。

違いがあるのかも、わからない。


彼は一瞬立ち止まり、腕で血を拭う。

そして死体を見渡し、明確で自信ある声で話す。

「哀れだ…」

まるで退屈なものを嘲るかのように。

「全員…弱い…無能…本当に、人生で何かしたことあるのか?自分の足で躓くだけか?」


頭を振り、残酷な笑みを浮かべる。

言葉一つ一つが打撃であり、音節ごとに軽蔑が刺さる。


私は立ちすくむ。口は乾き、目を逸らせない。

彼は冷たく、容赦なく、それでも自信に満ち、厚かましい。


そして私が抱えてきた虚無、この空白…青い瞳の少年は予想外の閃光だ。

退くべきか、逃げるべきか、わからない。

ただ瞬きをできないことだけはわかる。


黒髪の少年が突然振り向き、目が合う。

彼は近づき、精密な歩みが私に迫る。

私は後退するが、力はない。脚が裏切り、泥に倒れる。


彼は身をかがめ、青い瞳がまだ輝き、雨と寒さを貫く。

「おい…君…」

鋭く、しかし好奇心のある声で言う。

「君は誰だ?」


私は答えられない。

わからない。

何も思い出せない。名前も顔も家もない。


頭を振り、口を開けるが、声は出ない。

彼は私を見つめ、包帯や傷を観察する。

何かを探しているかのように。


そしてため息をつき、わずかに楽しげに。

「…何も知らないのか?」

その声に好奇心と無関心が混ざる。


私は空っぽだ。

それでも彼はそこにいる。

青い輝きが、長年抱えた虚無を一瞬だけ満たすかのようだ。




私は見る…やっと、見つめる。

彼は小さく、か弱く、どうやって立っているのか不思議なくらいだ。


白い髪は中くらいの長さで、汚れ、顔に貼り付く。

しかし雨の中でかすかに輝き、世界が与えようとしない光のようだ。


目は…紫色で、輝き、ほとんど非現実的で、凍りつくような視線が突き刺さる。


顔は不思議なほど…天使的だ。

優しさや無垢という意味ではなく、冷たく、非現実的な美しさだ。

近づけば誰もが震えるだろう。


動き一つ一つ、か弱い体の全てが過去の痛みと傷を語る。


耳も尖っていて、エルフのように繊細だ。

異質さがさらにその完璧さを引き立てる。


体は傷つき、血で覆われた包帯で覆われている。

しかし暴力の中でさえ、調和の取れた彫刻のように見える。


私は奇妙な感情を抱く。

魅了され、困惑する。


か弱く、壊れている。

それでも存在感は無視できない。


小さく、か弱く、壊れている。

そして…天使的だ。


私は震え、包帯は雨と泥で滴る。

青い瞳の少年を見つめる。


彼は自信に満ちて立ち、しかし奇妙な落ち着きで近づく。




「君…誰?」

かすれた声で尋ねる。

「そして…どうしてそんなに強いの?」


彼は青い瞳でほほ笑む。

「私?この腐った世界をより良い世界に変えようとする子供さ。」


私は頭を振る。

「人を殺して…略奪して…?」


彼は明るく笑い、手を差し伸べる。

「私はエリエだ。君は?」


私は目を閉じ、虚無に飲まれる。

「名前…わからない…もう…わからない…」


エリエは柔らかく笑う。

「じゃあ名前をつけよう…」

少し考え、私を見つめる。

「そうだ…エンジェルだ。」


「エンジェル?」私は繰り返す。

「天使 のように?」


彼はうなずく。自信満々だが、私は自分がそれに値するか分からない。

生きる資格すらあるか分からない。


「エンジェル…」

エリエは穏やかに言い、疑いの余地を残さない。

「受け入れろ。」


私はそうする。

他に何もないから。

虚無の世界、寒さ、痛みの中で…名前だけが始まりになり得るかもしれない。


私はつぶやく。

「エンジェル…」


そして初めて、完全に一人ではないと感じる。

「エンジェル…」エリエは見つめながら言う。

「…強くなりたいか?」


私は沈黙する。言葉が頭に響く。

「強くなる…?」


「そう!その通りだ!」

彼は生き生きとし、青い瞳が夜の炎のように輝く。

「守り、救い…そして世界をより良くする!」


私は包帯で覆われた震える手を見る。

雨は血を洗い流すが、象徴するものは消えない。

「わからない…」私はつぶやく。

「本当に力が必要なのか?」


ゆっくり指を開く。

「この力…どう使えばいいか…わからない…」


エリエは奇妙な笑みを浮かべる。

「…もしかして正しいかもね」穏やかに言う。

そして口調が変わる。冷たくなる。

「もしかして君は無価値かもしれない、エンジェル。」


私は固まる。無価値という言葉が刺さる。

しかし彼はさらに近づき、強く燃える瞳で見つめる。

「でも…本当にそうか、小さな天使よ?虚無しか感じないのか?」


私は見つめる。言葉が出ない。

戦う彼を見て、何かが目覚める。

戦慄、温もり、欲望…


「エリエ…」声が震える。

「教えて…」

拳を握る。

「強くして!お願い!」


彼は長く見つめ、微笑む。

その自信に満ちた笑顔が胸を貫く。

手を差し伸べる。

「さあ、来い、エンジェル。」


私はその手を握る。

その接触で心に火花が生まれる。

初めて目標ができた。存在理由ができた。

強くなる。

これが私の新しい光だ。


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