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『天使と紫の炎』  作者: Bro_Be_Like_83
第2部 — 天使とその崇拝者たち。
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チャプター8.5 — 月影に交わした約束。

村に夜が静かに降りていた。柔らかな月光が屋根を銀色に染め、そよぐ風が高い草を揺らす。

僕たちは少し崩れかけた古い建物の屋上に腰を下ろしていた。

足元の石はかすかに軋むけれど、集落全体を見渡せる景色は、まるで絵画のように完璧だった。


エリーはひび割れた石板の上に籠を置き、胡座をかいて座る。

目はいたずらっぽく輝き、真剣さと冗談めいた雰囲気が混じっていた。


「さて…ブラウニー試食ミッションを始めるとするか」

その声は、まるで儀式を告げるような重みを帯びていた。


僕は小さく笑った。


「まるで極秘作戦みたいに言うね」


「でも、実際そうだろ」とエリー。

冗談めかして真面目な顔をする。

「ヘレナに全部食べちゃったのがバレたら、寝ている間に殺されるぞ」


隣に座るアンジェリーナは、金色の長い髪の一筋をそっとかき上げ、にっこり笑う。


「じゃあ…八人で責任を分け合えばいいのね」


「うん」ローザは小さな声で答える。

「でも、お母さんの作ったものを味わえるなら、少しのリスクくらい価値はあるよね」


七人の少女たちは円を作って座り、それぞれがブラウニーの一切れを手にしていた。

甘い香りが夜の涼しさと混ざり合い、夢のような対比を生む。


僕は一口かじった。

柔らかく、口の中でとろける。蜂蜜とチョコレートの香りが胸に温かさを呼び覚ます。


「ん…本当にすごい…」

目を半分閉じ、僕はそっと呟いた。


「ね、そうだろ?」とエリーは誇らしげに笑う。

「母さんが最高だって言った通りだ」


アンジェリーナは優しい眼差しで僕を見つめる。


「気に入ってくれたなら、すごく嬉しいわ、エンジェルくん」


ステラが少し嫉妬混じりに言い足す。


「私もブラウニー作れるよ、エンジェルくん!…たぶんだけど」


「わあ、食べたい!」ルナがいたずらっぽい笑顔で叫ぶ。


「ダメ!絶対ダメ、ルナ!」クララは赤くなって抗議する。

「また散らかすでしょ!」


オーレリアは落ち着いた様子で、そのやり取りを面白そうに眺めていた。


「皆さん、手に負えないわね…でもそれがこの瞬間を完璧にするの」


風がアンジェリーナの髪を揺らし、地面に置かれたランタンの炎も揺らめく。

僕たちは月光の下、優しい笑い声とともにそこにいた。


僕は空を見上げる。

銀色の海のように広がる静寂の夜。


「ねぇ…」僕は静かに言った。

「こんなにいろいろあった後で、こうしているだけで心が落ち着く。ただ、ここにいるだけで、皆と一緒に」


少女たちは一瞬沈黙し、僕の方を見つめる。

アンジェリーナがそっと僕の手に自分の手を重ねる。


「これからも一緒にいようね、エンジェルくん。ずっと」


僕は彼女を見て、次にエリーを見る。彼は指先にブラウニーを持ち、満足そうに微笑んでいた。


「ああ…」彼は続ける。

「それは約束だ」


再び静けさが訪れる。柔らかな笑いは消え、風の音と古い屋根の軋みだけが残った。

その瞬間、僕は確信した。

暗闇や痛みがあっても、僕には確かなものがある――家族、絆、夜に差し込む光のかけら。


月は高く、満ち、雲ひとつない空に浮かぶ。

風がアンジェリーナの髪をそっと撫でる。

僕たちは古い屋根に座り、ブラウニーを食べ終え、笑い声も次第に消えた。空気は落ち着き、神聖なほどに静かだ。


アンジェリーナは月を見上げ、しばらく沈黙した後、ゆっくりと僕の方を向く。


「エンジェルくん?」柔らかい声。

「平和な世界を作らない?」


僕は眉をひそめ、半分笑った。


「平和な世界を作る?でも…もう僕たちがやってることじゃない?」


彼女は静かに笑い、言葉を探す。


「うん…でも…それを公式にしたいの」


僕は瞬きして首をかしげる。


「公式に?グループ…組織…それとも宗教?」


答える前に、ステラは耳をピクピクさせて身を乗り出した。


「うん!そういう感じ!でも宗教にするわけじゃないよ!」

手を小さく動かして緊張した仕草。

「でも共通の目標、旗印…大きなものを作るの!」


ひび割れた暖炉に寄りかかるエリーは腕を組んで、皮肉な口調で言う。


「白いトーガを着て山の上で説教させられなければ、ついていけるかな」


少女たちは笑い、アンジェリーナも微笑む。

そして彼女の視線は真剣になり、熱を帯びる。


「もし…」深く息を吸う。

「もし、エンジェルくんとエリーが私たちの主だったら?指導者、あるいは…神様だったら?」


驚きの沈黙。言葉には神秘的な力があった。


僕は少し戸惑いながらも、緊張混じりの笑いを漏らす。


「神様、か…分かった。でも名前を考えるのは勘弁してくれ」


「いや!」

ルナは笑いながら抗議。

赤い頬。

「神様なら、天の王国の名前はあなたが決めるんだ!」


「そうだ!」クララも笑顔で同意。

「神聖な責任を奪うわけにはいかない!」


ローザは静かに頷き、微笑みをこらえる。


「それに…エンジェルくん、似合ってるよ」


僕は空を見上げる。


「なるほど…お寺も建ててないのに信者がいるな」


みんな笑う。

エリーは面白そうに僕を見つめ、穏やかに言った。


「この世界でも、宗教でも、夢でも――何と呼ぼうと、現実にするためには準備が必要だ」


僕は興味深く見返す。


「準備?」


エリーは頷く。


「ああ。二年後、ヴォルタの大学院に入る。そこで全てを学ぶんだ…この世界を理解するために、そして変える力を手に入れるために」


少女たちは目を輝かせ、アンジェリーナは胸に手を当てる。


「エリー…本当にやるつもり?」


「もちろんさ」彼は自信たっぷりに微笑む。

「そして、エンジェル…君も同じことをするんだろ?」


僕は少し考え、月と風に遊ばれる髪を眺める。


「うん…でも後で。四年後、その時が来たら。そしてそれまで…準備しておく」


オーレリアは静かに囁く。


「それって…誓い?」


僕は彼女を見て、エリーと目を合わせる。沈黙の中で互いに覚悟を確かめる。

手を差し出し、エリーが迷わず握る。


「それまで、準備しよう」

「一緒に」エリーが答える。


アンジェリーナはほほ笑み、少し感動しているようだ。


「じゃあ…これを、みんなとの誓いにしよう。今夜、この月の光の下で、新しい世界を築くことを約束する――でも、エンジェルくん、あなたの存在そのものを愛し、守り、全てをあなたのために捧げると誓うの」


ステラは最後のブラウニーを掲げ、乾杯のように言った。


「私たちの世界に!」


「私たちの世界に!!」少女たちは声を合わせ、夜風と混ざり合う。


崩れかけた屋上で、銀色の光に包まれ、何かが生まれた――アイデア、夢、あるいは…伝説の始まり。

第二部『天使と紫の炎』――これにて完結です。

ここまで読んでくださった皆さま、本当にありがとうございます。少しでも楽しんでいただけたなら嬉しいです。


続く第三部『第3部 — 賑わう王都の中の天使』は、まもなく公開予定です。

物語に加えたい小さなアイデアやご意見などがありましたら、ぜひコメントで教えてください。


それでは、また次の章でお会いしましょう :)

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